小島一志のレビュー一覧
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徹底した調査と取材で明かされる大山倍達の「伝説」に対する「正伝」。
出自が韓国人・崔永宜(チェ・ヨンイ)であることはすでに知られているが、韓国在住の家族のインタビューを収録したのは初めてだろう。
日本にももちろん妻子がいるわけだが、なぜ二重国籍が可能になったかというと、戦後の混乱で戸籍が焼失し、自己申告で戸籍が作られたせいだ。
梶原一騎の「空手バカ一伝」がほとんど創作といっていいのは知られているが、それ以前の大山自身の多くの発言や記述の間にやたら矛盾や飛躍があるのを、徹底した裏取り取材で埋めている。
拓殖大学に在籍したことは大学の記録にはなく、戦後初の1947年に全国武術大会で優勝したこと -
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空手にも格闘技にもプロレスにも興味のないハマダです。
梶原一騎は作品を通してしか知りません。
(それもしっかりと読んだのは”空手バカ一代”・”巨人の星”・”プロレススーパースター列伝”・”男の星座”のみで”あしたのジョー”はアニメで)
梶原一騎伝を読んだのは斎藤貴男の”梶原一騎伝 夕やけを見ていた男”に続いて
2冊目。
著者の作品は”大山倍達正伝”に続いて2冊目。(それは梶原「作品」である”空手バカ一代”のリアルが知りたいと思ったから。)
情報源、記述等も格闘技界やその筋がほとんどで漫画作品に対する記述はわずか。
その方面はその筋に任せようということでしょうか。
客観的かどうかという疑問も残 -
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極真会館を破門になった武道家の一生涯。書評が良かったためまったく知らない人物だが読んだ。昭和の男たちの織り成す熱いドラマ。
著者は極真の黒帯で、主人公に私淑しているが、客観的にエピソードを重ねている。加えて著者の息子が現在の視点からあとを追っている。芦原英幸は極真黎明期の最強の人物だが、梶原一騎の空手バカ一代の主人公になったことで有名になり大山倍達の不興を買い破門となる。そのあと、四国を基盤に警察の逮捕術を取り入れたサバキと呼ばれる動きと極め投げ打撃を組み合わせた空手を完成させる。しかしそれはあまりに危険であり一子相伝すらできず、彼の病死の後は芦原会館はバラバラになり、結果的には途中で分裂した -
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極真カラテ創立者にして牛殺し。大山総裁。
呼び捨てに出来ない人物である。
この人の存在は高校の時に知り世の中にはこんなに凄い人がいるのかと感激した。知ってすぐに感激がピークのときに亡くなったので非常にへこんだ。その感激した大山倍達伝説のほとんどが虚構であったということがこの本を読むと分かる。だからといって騙されたとかいう嫌な感情はなくむしろ夢を見させてれたことに感謝している。 なんでも真実を知ればいいというもんじゃない。図らずも大山総裁がこの本の中で尊敬してやまない宮本武蔵について「武蔵は吉川先生が描いた嘘によって日本一の英雄になったんだから」「伝説とはいかに大きな嘘をついたかに価値がある -
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これは大変な力作である。
神格化されたともいえる大山倍達の素顔を、「伝説」を批判的にとらえつつ、客観的資料を徹底的に集め、証言を得るために韓国までも足を伸ばしてこの大著をつくりあげた2人の仕事ぶりには、編集を仕事とする人間として心から頭が下がる。
特に前半部を担当した塚本氏による、在日朝鮮人による民族運動についての取材は、大山個人の足跡を追うにとどまらない資料的価値のあるものと思う。
しかし気になったのは、本書の中で多用される、大山を評する言葉である。最も遣われていたのは「虚飾」という言葉だと思うが、ではなぜ大山は自らの出自・経歴を「虚飾」する必要があったのか、またはせざるを得なか