広岡裕児のレビュー一覧
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古本屋をぶらぶらしていて発見した本。
カバー裏の「ひらめいた。パリでおじさんを集めよう」という太文字にピンときて購入。
おしゃれゆるい本なのかと思っていたけど、フランスの現状というかありのままをリアルに知れた感じがして良い買い物だった。
ユダヤ人で家族がホロコースの犠牲者になったおじさん、難民支援をしているおじさん、画家のおじさん(ピカソと知り合い)など魅力的なおじさんが多すぎる。おじさん集め最高。
個人的に刺さったのは「どこの国に行っても、たとえことばが通じなくても、気持ちよくはたらいている人というのは、すぐにわかるものだ。独特の光がさしている」という文章。
個人的に仕事で思う事があり、これでいいのかということもあったけど、真面目に働こうと、パリでもたくさんの人がこうやって生きてるんだし、と背中を押してくれた。本当に読んでよかった。 -
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色々面倒な世の中である。本が好きで本の話をしていたら、本好きの人はああだこうだとハンを押したような陰口を書かれたり、もう人のことなんかどうでもいいじゃんと思うのだが、私は人に色々言われやすい人間らしいから仕方ないのか。いやもう心の声は誰も聞かれないところに留めておいて欲しいのだが、みんな相手にぶつけないと気が済まないのね。ストレス溜まってるのかなあ。それはさておき。
そんな自分と筆者を一緒にするつもりはないが、金井さんはおじさんを見極める目がある、外国が好き、人が好きという、自分の好きを貫いていて羨ましい。
きっとこれを企画として出版社に持ち込んだりするからには企画力があり、私とは雲泥の差があるのだが、色々言われる組に違いないと同類の匂いを感じる。でもその好きという点と点を繋いで、何かうっすらとではあるが面を見せてくれる力。
このパリのおじさんが先でその後でテヘランの女に続くのだが、取り上げる人物の背景に時事問題(パリの同時テロや、宗教問題)があるので少し古びている部分はあるものの弱者やマイノリティへの関心、丁寧に気持ちを向ける姿勢は同じ。そしてその温かさや好奇心はテヘランでパワーアップしている!両作とも読んで良かった。
一人異色なのはやはりホロコーストでご家族を亡くしたおじさんの懐古。自分だけがフランス国籍で自分だけが数多い子供の中からレジスタンスの人に救われて、自分だけが生き延びてしまったという。こちらの感受性も麻痺しているのではないかと反省しているところに改めて証言を聞くことができて、今の政治的立場やらなんやらとは別にして忘れてはいけない体験談であることは確か。
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パリに住んでいる“おじさん”にインタビューしたものをイラストと共にまとめたもの。
それが、こんなに面白い本になるなんて♪
『パリは人種のるつぼ』
ひとつの都市に、まずこんなに多種多様な人たちが暮らしていることに驚く。
世界中からさまざまな人種がパリにやって来て、一人一人その人だけの事情と歴史がある。
そんな彼らの唯一無二の経験から出た言葉には、深さと重みがありました。
金井さんの相手の話を引き出す力によるものなのか、そもそも出会う力なのか、実にフレンドリーで魅力的なおじさまたちがたくさん!
親近感を感じさせる雰囲気。その語りはどれもこれも実に深くて興味深く、どんどん話に引き込まれていく。
もちろん目を背けたくなる悲しい過去もあるけど、みんな地に足をつけて、前を向いていて、エネルギーに満ちているのを感じます。
人生って面白いなぁと思います。
そして、人って逞しいなぁとも思う。
文に添えられている金井さんのイラストも、味があってすごく好き。
面白かったです! -
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ネタバレ私は今日本にいて、『パリのすてきなおじさん』という本を読んでいる。
しかしそこは私が想像していたエッフェル塔のパリではなく、色んな国籍の人、バックグラウンドを持つ人たちのお話だった。特に印象に残ったのは75年前「隠れた子ども」だったおじさんの話。これまで『戦場のピアニスト』や『コルベ神父』などアウシュビッツの話は観たり読んだりしてきたけれど、おじさんから語られるユダヤ人としての戦時中の生き方は心を打たれるものがあった。私はまだまだ知らない、知ろうとしないといけないと思った。
他には解説付きでパリで起きた同時多発テロの話や、アフリカから移住してきた方のお話もあり、読み応えのある本だった。 -
Posted by ブクログ
パリでおじさんに話を聞き、そのおじさんの話をイラストと共にまとめたエッセイ。
「はじめに」の時点からすでにおもしろい。著者の親しみやすい書きっぷりから楽しい本の予感がしたが、大当たりだった。旅行記などはよくあるが、おじさんをまとめるというのはなかなか斬新で、おもしろかった。以下、一部抜粋。
『経験を積めば積むほど、「選おじさん眼」は磨かれた。気づいたらわたしは無類のおじさんコレクターになっていた。(略)
商売道具である好奇心、と広岡さんが自在に操るフランス語、とわたしの選おじさん眼。この三本の矢を携えて、パリの街を歩きまわり、おもしろいはなしをしてくれそうなおじさんを探した。』
カテゴリーも、おしゃれなおじさん、アートなおじさんなどさまざまなジャンル。
フランスという国だからこそ、フランス生まれの人やアルジェリア、マリから来た人など生まれや育ちが異なる人も多く、新鮮だった。
各章の間にはアルジェリアとフランスの関係や、移民についての解説もあり、フランスという国をさらに理解することができる。
おじさんのまとめという軽い気持ちで楽しく読んでいたが、マリからきて数十年を妻子と離れてフランスで過ごすおじさんや(マリの出稼ぎコンシェルジュ)、ユダヤ人として迫害されたフランス国籍をもつおじさん(「隠れ子ども」だった人)など、一見普通に過ごしているおじさんでも色々な思いを抱えていた。
特に、章『「隠れ子ども」だった人』のおじさんは自分だけがフランス国籍だったことで両親と兄弟と離れ、奇跡的に生き延びた、ロベール。著者と同じようにユダヤ人迫害はドイツで起きたものとばかり思っていたので、フランスでもあったということを恥ずかしながら初めて知った。ロベールは父から「ユダヤ人であることを忘れるな」と最後に言われたにも関わらず、真面目に働いていれば神が助けてくれるというユダヤの教えが闘いを放棄するように思えたロベールは、ユダヤ教の信仰をやめた。それに罪悪感を持ちながら生きる姿に、ユダヤ人虐殺は決して過去ではなく、今もなおその苦しみを持ちながら生きている人がいて、繰り返してはならないと痛感した。
日本は島国であるし、民族をあまり考えることはない。移民問題や民族対立はニュースなどでは見てもどこか自分ごとと捉えられないのが実情だと思う(少なくとも私はそうだった、反省)。フランスの人々にとっては当然自分ごとで、普段街中を歩いている人に話を聞くだけでこれだけの思いがあるというのには驚いたし、私が自国のことについて聞かれてこれだけのことが話せるだろうか、と思った。
民族的なこともあるからこそ、今を生きることに強い思いをもっているのかも、と考えさせられた。 -
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何度か行ったことのあるパリの記憶が蘇ればいいな、そんな軽い気持ちで読み始めた。最初は確かにそんな感じだった。本の内容を無理矢理自分の記憶の中にあるパリの風景に結び付けようとしていたように思う。
ところが、読み進めるうちに、この本はそんな単に軽いものではなく骨太な重厚な内容であることがわかってくる。
植民地、LGBT、アルジェリア独立戦争、難民、フリーメーソン、PSG(サッカー)、イスラム教(パリの)、スリランカのタミル人、同時多発テロ、大統領選、ユダヤ、ホロコースト、クルド、ベトナム戦争…。キーワードを挙げればきりがない。
初めての人と何時間か話をしただけで、これだけの世界を文章表現するというのはものすごいことだ。著者は人から人生を聞き出す天才なのだろう。それ以前に人への興味が尽きない方なのだと思う。
想像力を働かせ、人と話をすることで人生が豊かになるのだ、と思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレひとつひとつは小さなかけらでも、うまく全体を連想できるかもしれない、というコンセプトでパリのいろんなおじをちょっとずつ取材する本
そのコンセプトがまず素敵
そして、両親の価値観に風穴を開けてくれるのがおじさんという定義。たしかにある程度価値観の完成された叔父さんってみんな個性があるし、それぞれに素敵なところや魅力があるなあと納得。自分の周りのおじさんたちも素敵じゃない!って気持ちが明るくなった笑
→読んでみて全体を客観的に連想できてるかはさておき、一人一人のメッセージや紹介は濃度が濃くて、すごく刺さると感じた
心に残った言葉
◾️はつらつといられることが一番大切
はつらつ!快活!
この言葉、すごく私の憧れる人像とフィットした
自分なりに考えたはつらつとした状態
①時間にも体力にも心にも余裕がある
②生命力に満ちてて、目が輝いてる
③自分を知っていて、それを正直に自分にも周りにも公表してる
◾️そこに住む人が内面的に満たされていることが一番強い
素敵な考え方だ。
お互いを思いやれなくなると戦争が起きる。ではどういうときに思いやれなくなれるのかを考えたら、まさに自分に余裕がない時。
自分と周りの人の心を満たすこと、これも立派な平和活動
◾️選択肢はひとつ。前を向いて生きていくしかない
ありきたりな言葉かもしれないけど、これをアルジェリアから逃げてきたユダヤ人が言うからすごく心に響く
◾️世界は救えない。ただ1人の人に向き合うだけ
これも難民支援団体のトップが言うから腑に落ちる
読んでいて一番辛かった話
フランスに住んでいたお兄さんが、ベトナム戦争後に妹家族を呼び寄せようとしたが、難民申請の承認がなかなか降りず、そのうち彼らはそれを待てずに、ブローカーの誘いに乗り海へ出てしまい行方知れずとなってしまった。その2年後に承認された
→今となっても正解はわからないし、その当時なんて尚更。一つの決断が生死をわけてしまう残酷さが辛い。決断するまでも、したあとも、そして決断が間違っていたと感じたであろう時も、ずっと辛かったんじゃないかと思うとやるせない気持ちになる
やること
トマト常備
目を輝かそう!
たくさんねる23-7
家でも外でも5分前行動
7000歩あるく
英語で楽しく仕事する自分を諦めない
周りは気にせず元気に挨拶
収入の2%を寄付や大切な人のために -
Posted by ブクログ
ネタバレパリのたくさんの素敵なおじさんから、世界や歴史や宗教等まで視点を広げられる本。
見えてない大事なことに気づき、視野を少し広げられるかもしれない本!
▼大事だと思ったのは以下3つ
・歴史を知ること
・今を生きること
・他者を尊重すること
①歴史を知ることは、同じ過ちを繰り返さないことを今生きる人が感じられることであることはもちろん。それと同時に、異なる国や文化や価値観の人を理解することになる。
※例:植民地時代の背景からここで生き、家族のために生きている。差別の歴史があり、そこに対する柔軟な考え方がある。宗教の歴史と家庭があり、それを元にした生き方や考え方がある。
→つまり、歴史とはその人の生きた環境であり、環境とは、その人の考え方の根底である。歴史を知ることは、他者を理解するための方法である。
②今を生きること。それは全員が前を向いてもつとよい姿勢。いろんな歴史や境遇や経緯で今の場所で今の生き方をしているとして、それをどう捉えてどう生きるか。おじさんたちは、シンプルに今目の前のことを楽しんだり、目の前のことに向き合って捉えて素敵に生きていた。これは取り入れたい。
例:妹を不慮の事故で失ったおじさんはそれから絵を描き始めた。それが自分の表せない感情の出しどころでもあったのかもしれない。今では画家が本業になり素敵なおじさんに。出稼ぎでフランスで生きるようになったおじさん、今でも引き続きたまに祖国に帰りながらも、もうずっとフランスで生きるつもりらしい。それは単純に今はフランスが好きなんだと思う。
③他者を尊重すること。すべての問題や争いは突き詰めれば他者を尊重していないから?宗教は他の宗教を尊重しないものではない。自分たちが大事にするものなだけ。何かの宗教であっても、他の宗教も受け入れるし時には取り入れる、フランス流の宗教もある。
例:イスラム教だけど、娘がキリスト教の人と結婚するならそれも受け入れる。イスラム教で禁止されていてもフランスでいいなと思うものは柔軟にやるのもいい。よいか悪いかは人によるかもしれないが、大切なのは【他者を尊重する】こと。