ロジャー・パルバースのレビュー一覧
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世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
「ほんとうのさいわいを探し求めるための旅」だったと感じています。言い換えれば、死ぬと人間の「魂」はどこに行くのかを考える旅、死というものの本当の意味を探るための旅であったのではないか。
ジョバンニは賢治の分身であり、川で亡くなったカムパネルラは、トシの死のメタファー(隠喩)である、と僕は解釈しています。
「善い行ないとは何か」ということが話の主題に。自分のことだけでなく、他人の幸せを思うことが「善い行ない」であり、それを実践すれば、たとえ命を失ったとしても、今よりもっとよい場所に行けることが暗示されています。
僕はもうあのさそ -
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ネタバレ太平洋戦争が終結する4か月前、沖縄の西表島の近くにある鳩間島で起きていたこと。
日本人の父と日系アメリカ人の母との間に生まれ、幼少期をアメリカで過ごした洋海。
母と兄はアメリカに残り、父と帰国して、父は仕事の都合で長崎へ、頼った叔母は空襲で亡くなり、今はたった1人で流れ着いた鳩間島で暮らしている。
牛乳瓶に海の星の砂を集める日々を日課にして過ごしていると、海岸の洞窟に暮らす脱走兵の日本人の岩淵さんと、同じく脱走兵のアメリカ人のボブに出会った。
岩淵さんとボブに、海で獲った魚をわけてあげたり、岩淵さんのおじさんの家から物を届けて、洞窟で暮らす彼らと洋海の交流。
足を怪我した岩淵さんの兄 -
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ロジャーパルバース 100分de名著 宮沢賢治 「 銀河鉄道の夜 」
オーソドックスな解釈で安心して読める
宮沢賢治作品は、人間中心の物語でなく、自然の中の、宇宙の中の人間がテーマであり、人間の死とはどういう意味を持つのかを伝えている
*自然の報告者〜自然こそ宮沢賢治の創造の源
*実家の生業が質屋であることの罪悪感
*浄土真宗の信徒である父と法華経(日蓮宗)に入信した賢治の宗教上の相違
自然の報告者
動物が言葉を話したり、風に命があったり〜賢治の目にはそう見えた、賢治は見たものをそのまま描いた
わたくしと言う現象
*人間も自然の一部である
*自分は、自然界を形づくる分子の一つで -
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ネタバレおすすめ度:85点
作者は40年以上もかけて、何度も英訳を繰り返してきた。「宮沢賢治は19世紀に生まれた、21世紀の人だった」という。賢治の作品には、21世紀に生きる世界中のすべての人に向けてのメッセージが隠されていて、国籍や人種、時間をも超越した普遍的はメッセージがそこにはある。
『銀河鉄道の夜』は悲しい「死」を描きながらも、「いかに生きるべきか」という「生」を語る物語でもあるといえる。
さらに、『銀河鉄道の夜』には、死を受け入れる方法だけでなく、大切な人を失った悲しみをどう乗り越えればいいのかについてもちゃんと書かれている。
みんながお互いに相手を思いやれば、どんな大きな悲しみもやがては -
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この本の著者であるパルバースさんは特殊な能力の持ち主らしい。言語能力が著しく高そうだ。この本はもっと古くに書かれたものだと思っていたけど、そうでもないらしい。比較的新しい本だった。彼は僕が知らない立派な日本人をたくさん知っている。また彼は最近著書を読んだ若泉敬さんのこともよく知っている。これにはすごく驚いた。日本人の良いところや日本文化の良いところ素晴らしい日本人といった我々が認識していない側面を外国にオリジンを持つ人だから見つけられると言う、そういう本が好きだ。彼が好きな早川雪舟や宮沢賢治、南方熊楠、高峰譲吉と言った日本人を僕は知らない。もっとそういった人を勉強しなければいけないなと思った。