グレアム・ジョイスのレビュー一覧

  • 人生の真実

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    海外SF叢書に入っているけれど、そして世界幻想文学大賞受賞ということだけれど、SFとかファンタジーとかというより、マジックリアリズムの小説みたいだったな。表紙に立っているのは少年だけれど、イノセントでもないし甘く懐かしいわけでもないよ。タイトルからすると教訓話かしらとも思うが、そうでもない。一風変わった家族、戦争のリアル、生と死、生者と死者の交流、それらが違和感なく混ざり合う。

    ウィリアムとリタの話が、とても切なくてもの悲しかった。

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    2016年10月09日
  • 人生の真実

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    ネタバレ

    グレアムジョイスは初読。世界幻想文学大賞受賞作ということで、久々に海外ファンタジーの大作を読んでみたくなり、手に取った。

    正直、期待していたファンタジー感バリバリの作品ではない、ちょっと変わった人々の「秘密の花園」って評があったが、言いえて妙。

    これくらいなら現実にあってもおかしくないな…と思える程度の霊感をもつ母、霊感をもたない娘たち、やや現実離れした感性を持つ末娘、その末娘の子供もちょっとした霊感を持つ。母と娘と孫と娘たちの亭主…一族のリアルな戦後イギリス暮らしを、半歩だけ現実からずれた視点で描く家族小説なのだ。

    戦争(ドイツ軍の爆撃やダンケルクなど)という大きな災いが終わって、少し

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    2019年09月28日
  • 人生の真実

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    ネタバレ

     7人姉妹の末っ子のキャシーが男の子を産んだ。
     キャシーは少し変わった子だから、その男の子を養子に出した方が良いと皆は言った。
     キャシーは男の子を渡す日に、彼を連れて帰ってきた。
     この子は外にやらずに育てると。

     キャシーの母親のマーサは、彼女には育てられないと、いい、ほかの姉妹みんなで男の子を育てると決めた。
     彼の名はフランクと言う。

     どう説明してよいのか、分からないのだが、このあらすじは間違っていないのだが、コレは幻想小説大賞を受賞した作品なのだ。
     そして面白い。

     非現実的なことがいかに起きようとも、それが家族の愛情に影響しないというか、なんというか。
     私、翻訳作品を

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    2016年09月05日
  • 人生の真実

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    ちょっと変な人達が出てくる「若草物語」、なんて思いで読み進めましたが、死者と話しができたりキャシーのちょっと超然的な、理解できるようなできないような雰囲気など、結構不思議な感覚で読めました。エバーミングの描写も興味深かったです。十分SFだ。

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    2016年08月25日
  • 人生の真実

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    英国はコヴェントリー郊外に暮らす女系一家の物語である。母親のマーサを中心に姉妹が七人のヴァイン家。その末娘キャシーが産んだ子を養子に出すところから話がはじまる。何か大事なことがあれば、姉妹たちとその夫がマーサの家に集まって会議を開くのが、ヴァイン家の決まり。キャシーの子の父親は大戦中のG.Iで生死も定かでない。周期的に精神の変調が起きるキャシーに子育ては無理というのが家族の出した結論だった。

    ところが、キャシーは男の子を連れ帰る。自分で育てることに決めたのだ。フランクと名付けられた子は、おむつが外れるまではマーサの家で、その後は母子ともに交替で姉妹たちの家で面倒を見ることに決まった。農場を経

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    2016年08月15日
  • 人生の真実

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    千里眼の母、マーサには女ばかり7人の子どもがいる。双子の次女と三女と末っ子の七女は結婚していない。しかし、気ままな七女・キャシーは、セクシーで男がついてくる。そして、父親のいない子供を身ごもってしまう。最初の女の子は、子どもをほしがっている人にあげた。二人目の男の子もそうするはずだったが、受け渡しの場所に相手が遅刻してきたことを機に、自分で育てると言い出す。
    気まぐれで、時々精神を病んでしまうキャシーが育てられるはずがない。一家の家長であるマーサは、この子を姉妹みんなで育てると決める。
    マーサと同様に千里眼を受け継ぐキャシーとその息子・フランク。風変わりな姉妹たちに囲まれて成長していく。五女・

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    2016年10月29日