新田享子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ー 第1章で、2つの衝突の道について詳しく説明した。一つは、アメリカ国内の共和党支持勢力と民主党支持勢力との争いで、世界唯一の超大国であるアメリカの政治生命と民主主義の高潔な精神にひどいダメージを与えている。もう一つは、既に大国として君臨しているアメリカと、新たに台頭してきた中国との対立だ。この2つのリスクによって、他の大国の政府や国際機関が、我々を待ち受ける真の課題に取り組まなくなると、それがさらに大きなリスクになってしまう。
我々はみな衝突の道を進んでいる。再び公衆衛生危機が世界を襲うことは必至で、気候変動もあり、破壊的な新技術が猛威を振るって、我々の生活や社会を不安にするかもしれない。これらは世界共通の未来へのリスクなのだ。自国内で、あるいは紛争地域で、あらゆる時間、意見、エネルギー、財源が争いのために無駄に費やされている。このような地球規模の脅威が、私たちの手に負えないほど大きくなったとき、私たちはともに苦しむことになるのだ。
アメリカの毒された政治が民主主義を破壊するとは思わない。 実際にアメリカの政治制度が汚されるかもしれない脅威はあるが、アメリカはこれまでにも大きな衝撃を吸収してきている。 有害なパートナーシップがアメリカ社会にもたらすダメージを過小評価しているわけではないが、民主主義が本当に脅かされたとき、アメリカは民主主義を守ろうとし、議会も文化的偏見より法律を重視すると、私は今も信じている。同様に、米中が台湾などをめぐって戦争を起こすとは思わない。そのような壊滅的衝突を起こせば、両国が失うものはあまりにも大きい。また、アメリカ政府も中国政府も、他の国々の政府が米中のいずれかに追従し、ともに不幸への道を歩むはずだなどと期待すべきではない。
しかし….…私が本書を執筆したのは、アメリカ国内の共和党と民主党や、米中の首脳が、互いの紛争の準備にかまけて、真の「嵐」に備える作業を怠るのではないかと懸念しているからだ。 将来の危機に備えるには協力が必要だ。 何が最重要なのかを勘違いしてしまうと、協力できなくなってしまう。 ー
米国内の動向や米中対立とそれに関連する動向、加えてロシアの動向が重なり、危機的な時代が議論されているが、彼の主張は、それも大きな課題だが「真の課題はそこじゃねぇ!」と言うもの。
まぁ、誰でも知っていることだけれど、感染爆発、気候変動、テクノロジーの脅威、これらの課題を世界規模で一致団結して取り組まないと世界が取り返しのつかない状況に進んでしまうのに、米国内の分断とか米中のデカップリングとかロシアのウクライナの侵略とかでヒヤヒヤしていてはいけませんよね?
と言う主張。
危機はチャンスと言うけれども、取り返しがつかなくなる手前で危機に気が付き、大国が対処を行えるのか、それこそが一番重要で課題、今回失敗したら次は来ないよ、と言う警告。
失敗したらジ・エンド。これが最後のチャンスDeath。みたいな事を分かりやすく解説している作品。
まぁ〜、考える頭があればそれは分かる話だし、大国のリーダーは考える頭があるからこそリーダーをやっているはずなのに、それが実現しないのはいったいぜんたい何ででしたっけ?何で本質的に正しいであろうことが、世界のリーダーが実現できないんでしたっけ?それが問題。それが出来ない構造が問題。リーダーはバカじゃない。じゃぁ、なんで正しい事が実現されないのか?
それこそが本質的に問う事だと思う。
民主主義、資本主義の限界とか、独裁制、共産主義の限界とか、まぁ、そうなんだけどさ、そうは言ってもやるべき事って決まってるじゃん?イデオロギーはさておき、目の前の危機に対して、何で正しい事が出来ないんでしたっけね?って話よ。 -
Posted by ブクログ
筆者の深刻なリスク認識が伝わってきて、人類はもう滅びる直前なのではないかと思わせられる。
米ソ冷戦と違って、米中は互いに大きく依存しているため、どちらか一方だけが生き残るという解決策はあり得ない。そのため、共存を前提に共通の深刻課題に対しては、少なくとも協調する姿勢が大事だという。
また、米国は世界各国に軍事拠点を持ち圧倒的軍事力を誇っているが、今後の戦争の勝敗を決するのは、サイバー攻撃や経済制裁となるため、軍事的な優位性は下がっているという。このサイバー兵器を巡る脅威から、第三次世界大戦が起きる可能性もあり、今は第二次世界大戦前夜の1930年代よりも危険な状態とのこと。
歴史を振り返っても、民主主義国家は最善の政治体制だと思うが、「待ったなし」の課題・リスクへの対応や新たな覇権争いに勝ち抜くには、民主主義は不利なのではないかとも思った。AIをはじめとする破壊的テクノロジーを発展させるには、人権や倫理に配慮しない方が早いだろうし、経済制裁によって生活用品の価格高騰がおきても、民意を気にしない権威主義の方が耐性がありそうだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルからして、シリーズ「はたらく女性」! 米軍には男性が多い! だが活躍している女性兵士も中にはいる! 取材してみました! みたいな三文記事を想像してしまうが、実際には全く異なる。彼女らは女性の権利運動などは考えておらず、単純に自分の夢と国家、仲間のためだけに女性だけの特殊部隊に志願している。その性質上、機密性が高く、「隠されたアフガンの戦士」と呼んで差し支えないだろう。
アフガンはソ連もアメリカも撃退した国として有名だ。アメリカは現在進行系でテロ対策に追われている。友軍の情報をリアルタイムで追えるというハード面の進歩がある一方で、現地住民との信頼関係の構築といったソフト面ではまだまだである。この物語はその点に着目している。
アフガンの女性は文化的にとても大切にされる。夫以外の男性に顔を見られるとそれはすなわち侮辱だ。その点を利用して、女性がテロの武器を運んだり、女装テロリストがまんまと検問を抜けたりする。テロとの戦いにおいて、女性兵士はこの点で必要とされる人材なのである。
ソ連の女性兵士の物語は『戦争は女の顔をしていない』などで有名だが、アメリカの女性兵士の話は聞かない。そもそも米軍では女性兵士の地上戦闘を禁じている(いた)し、女性兵は艦船に乗ることもできない(できなかった)。その意味でこの小説は非常に興味をそそられる。
タイトルこそ『アシュリーの戦争』だが、実際にはチームのみんなが主人公で、誰か誰だかわかりにくい。戦争の雰囲気は楽しめるが。タリバン怖いねえ。 -
Posted by ブクログ
借りたもの。
米軍の内部事情、女性の社会進出の契機ではなく、対ゲリラ作戦のために生まれた女性兵士たち。
「(アフガンの)女性を侮辱した!」という抗議の声には、文化の違い――見ず知らずの男性(兵士)が女性に話しかけたり、服越しでも触れてはいけない事など、価値観の差もあることを知った。
それ故に身体検査ができなかったり、アメリカ兵(見ず知らずの男性)の事を、アフガン女性が信用できないという事も。
女性(女装している男性がいる可能性も…)を尋問する女性兵士が必要になったことがきっかけだった。
男ばかりの兵士の世界の中で、女性らしさを保ち、それが活かせるのか――それが気になり読み進める。
前半はアシュリーや彼女の同僚たちの話(物語のバックボーン)。
軍への入隊、プログラムへの参加が、自己実現のためであること、男性的な価値観にも基づいている事に驚きつつ、男性と同じ過酷なプログラムをこなしてゆく様を応援しながら読む。(男性兵士の女性の生理にまつわる迷信には苦笑)
実際に特殊部隊との作戦に関わると、やはり男性中心の社会で(多少、男性兵士から気遣いを受けつつ)、時に女子力を発揮する。
それが兵士の排他的・支配的な男性社会を変えていくのではないだろうか――
第二次大戦と、911以降の戦争の在り方は変わった。
そんなアメリカの戦術史も垣間見る。
結末は残念だけど、彼女たちの活躍、布石となった事、それらにおいて彼女たちの勇気と行動に、敬意を。