岡野弘彦のレビュー一覧

  • 釈迢空全歌集

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    民俗学者にして歌人の釈迢空の歌をすべて収める決定版。ぽつりぽつりと言葉を編みながら、自己の内面へ深く降りていく語り口が魅力的だ。「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし。この山道を行きし人あり」「人も馬も 道ゆきつかれ死ににけり。旅寝かさねるほどのかそけさ」「道に死ぬる馬は、仏となりにけり。行きとどまらむ旅ならなくに」「ながき夜の ねむりの後も、なほ夜なる。月おし照れり。河原菅原」「なき人の 今日は、七日となりぬらむ。遭ふ人も あふ人も、みな 旅人」「たゝかひに果てし我が子の 還り来し夢を語らず。あまりはかなき」「山の葉のわかやぐ村に かへりゐて つくづくに思ふ。われは死なざりき。」「いまははた 

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    2023年08月18日
  • 折口信夫伝 ──その思想と学問

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    折口の息吹まで生々しく伝わる評伝。
    即座に2度読みし、しばらくして、三度読みしたが、何度読んでも心に染み入る文章を堪能した。
    それは、作者が愛情を以て折口の哀しい心に優しく寄り添っているからだ。

    折口の途轍もない天才を感じるエピソードだけ一点。
    折口信夫が、万葉集の全口語訳を初めて行った時のことだ。
    その著作は何と題されているか?
    「口訳万葉集」だ。
    つまり、折口がを口述したものを筆記者が書き留めたものだ。
    折口は、万葉集全20巻4500首を一気に語りおろしたという。
    一日50首を100日口述し続けて完成させている。
    その時、折口の手元には簡単な万葉集テキストのみ。
    折口は、さも簡単そうに、

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    2024年08月03日
  • 折口信夫伝 ──その思想と学問

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    何度も読もうとしては挫折してきた折口。折口の年譜的歴史と個々の論文・短歌等の作品を行きつ戻りつして読者を導いてくれる本作を読み通して、折口独特のあの文章、思考過程の幾許かが理解できたような思いである。

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    2020年05月19日