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Posted by ブクログ
折口の息吹まで生々しく伝わる評伝。
即座に2度読みし、しばらくして、三度読みしたが、何度読んでも心に染み入る文章を堪能した。
それは、作者が愛情を以て折口の哀しい心に優しく寄り添っているからだ。
折口の途轍もない天才を感じるエピソードだけ一点。
折口信夫が、万葉集の全口語訳を初めて行った時のことだ。
その著作は何と題されているか?
「口訳万葉集」だ。
つまり、折口がを口述したものを筆記者が書き留めたものだ。
折口は、万葉集全20巻4500首を一気に語りおろしたという。
一日50首を100日口述し続けて完成させている。
その時、折口の手元には簡単な万葉集テキストのみ。
折口は、さも簡単そうに、貧乏で参考書を買う金もなかったが、万葉集の必要なことは全て頭に入っていると語った、という。
辞書言海もほとんど暗記していたという男のことだ。
万葉集4500首を暗記して、解説することなど、朝飯前だったのだ。
この記憶力は特異だ。
おそらく、映像記憶の持ち主だったのではないか。
そういう、ほとんど異界から来たとしか思えない天才を目撃した同時代人の驚きが伝わってくる。
同時代人ではないが、この異能の人を「未来から来た古代人」と名付けた中沢新一は、折口の本質を突いている。
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