吉野美恵子のレビュー一覧
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ジェイムズ・エルロイによる暗黒のL.A.(ロス・アンジェルス)四部作の第1作にあたる。第二次大戦後まもないロスを舞台に、実際に起きた事件を題材にしたミステリー。
語り手はロス市警の巡査で元ボクサーのバッキー・ブライチャート。 バッキーはやはり市警に勤める元ボクサーのリー・ブランチャードと、ボクシングの試合を通して知り合い、やがて仕事のパートナーとなった。 バッキーとリー、リーのガールフレンドのケイの三人には、奇妙な友情が育まれていった。しかし、1947年1月に起きたブラック・ダリア事件が三人の運命を狂わせてゆく。胴体を二つに切断された惨殺死体で発見された、ブラック・ダリアことエリザベス・ショ -
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1947年ロス市内の空地で若い女性の2つに切断された死体が見つかった。彼女は黒い髪に黒いドレスの姿で「ブラック・ダリア」と呼ばれた。女優に憧れ娼婦のような生活をしていた彼女を殺したのは誰なのか。元ボクサーでもあるロス巡査バッキーは複雑な人間関係に惑わされながら事件を追っていく。
『ロス暗黒史』4部作の第1册目。登場人物も多くて悲惨で暗い話なんだけど、すごいおもしろかった。事件を追っていく過程も容疑者が出ては消えていく過程も、元ボクサーのパートナーの過去と失踪、その恋人との関係とか。『フロスト』シリーズの重くて暗い版みたいな感じ。映画がおもしろ過ぎたからかもしれないけど、『LAコンフィデンシャ -
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ううむ、凄い小説。こんな凄い小説を今まで放置して読まずにいた自分がとっても愚かに思えるくらいの、凄い小説。単細胞さんからぜひ読んでみて下さいと言われて、なんだか楽しみに取っておいた気分もあるんだけど、その期待全然裏切られませんでした。本当に圧倒されました。ヴァクスに圧倒されて以来、久々に圧倒されました。
ただの警察捜査小説っていうのではないな、と感じたのは、まず事件に至るプロローグの長さ、ストーリー展開の奔放なまでの自由さ……。ロス暗黒史4部作の1作目とあって、史実に基づいた事件に現存した有名人たちの顔や名前が出てくるというのも驚いたけれど、多くの人間たちの情念や破滅をこれほどまでに追 -
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《ブラック・ダリア》とは、ロサンゼルスで惨殺されたひとりの女に献じられた呼び名である。
猟奇的な殺人事件とその核心に迫ろうとする警官が主人公という点で、これはれっきとした犯罪小説であるが、と同時にこのフィクションの肝はもっと別のところに、《ブラック・ダリア》という女の存在によってはからずも自身が抱える心の闇に向かい合わざるをえなくなった人々の孤独な葛藤とその悲劇的結末を容赦なく描き出すところにあるようだ。ひとつの事件をきっかけに、平和な日常がアリ地獄のようにグズグズと崩落してゆくことの恐ろしさ。息をのむようなスピード感とは無縁。物語は、からまった糸を忍耐強くほどいてゆくようにジリジリした歩み