窪島誠一郎のレビュー一覧

  • 「無言館」ものがたり

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    父の故郷の長野県上田市にあるので、一度行ってみたいと思っていた。設立者の窪島誠一郎氏にも興味があった。しかし、自分は何のためにここに行くのだろうか。絵に特別な興味のない自分が。

    第一に、絵を描きたいという思いを持ちながら、戦争によって妨げられた学生たちがいたことを知るため。そして、自分が当時よりは恵まれた現代に生きていることを感謝し、日々を一生懸命生きるため。

    第二に、戦争の愚かさ・悲惨さを忘れないため。窪島氏にとっては、戦争による両親の苦労を忘れないためでもあった。氏は戦時中は幼なかったため戦争の苦労は覚えておらず、五十過ぎまで戦争のことやそれによる両親の苦労を考えてこなかったことに後ろ

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    2024年03月04日
  • 父 水上勉

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    水上勉を読み進めるは、全集で何十冊、楽しみだが、骨もおれる。日本はいまだに搾取社会。その底辺から上り詰めた人気作家は人間くさい。日本人とし、読むべき作家のひとり、水上勉。

    その人間臭さを、側面から観察し書いた本。
    暴露本というより、実物大の父について詳細を考察。

    水上勉を読んで理解するに、役立つ。
    文章は、水上勉にはおよばずとも、まあ読みやすい。

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    2022年02月16日
  • 無言館 戦没画学生たちの青春

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    無言館、知らなかった。なんだろうもと思って手にした本。読んで良かった。これを読むと改めて、戦争末期の日本がいかに残酷なことをしてきたか、死なずに済んだ若者たちの命をどれほど奪ったのかと悔しい気持ちが湧き起こる。そして、その無念さを戦後抱えて生きてきた遺族たちの気持ちを思うと軽々しく言葉にできない想いが湧いてくる。
    また、並行して著書の生い立ちや養父母に対する悔恨も描かれている。戦争を体験しておらず、さらに複雑な生い立ちでもなく、戦中生まれでもない私には想像することも難しい。ただ、養父母にそうせざるを得なかったのだろう、と思う。それは著者にしか分からぬ気持ちであるし、そんな想いがあるからこそ、無

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    2025年08月11日
  • 無言館 戦没画学生たちの青春

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    ところどころで著者の生い立ちが語られているが、その部分ははっきり言って余計だった。
    というより、それは半ば懺悔のようで公にすることではないと感じた。
    その著者が「無言館」を創設するまでの話が書かれている。
    無言館に展示するための絵画を、遺族から引き取りに行く場面が多く、その時の遺族との遣り取り、戦没画家たちがどのような人物でどのように絵をかき、どのように死んでいったかということが語られている。
    何人かの遺族の言葉に、「多くの人に絵を見てもらいたい」というのがあり、印象的だった。
    若くして非業の死を遂げた彼ら画家本人にしても、思いは同じではないだろうか。
    むしろ、本人たちの意を汲んで遺族の想いや

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    2020年09月28日
  • 父 水上勉

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    衝撃的な再開を果たした父子のその後の交流は、双方にとって意味あるものとなったようだ。放浪癖、普請癖、そして艶福家(?)を父からの遺伝としたとする息子。
    作家・水上勉の作家、そして晩年の個人像に迫る好書。

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    2013年07月02日