【感想・ネタバレ】父 水上勉のレビュー

あらすじ

日本の近代文学史上、稀代の私小説作家として知られ、数々のベストセラーを生み出した水上勉の生涯を、実子である無言館館主が書き下ろす、注目の力作。戦前、小説家になることを志し、福井から上京した水上は、食うや食わずの状態で転職を重ねながら、やがてある女性と同棲、彼女は一子を設ける。いろいろな事情で父母は幼な子を他家に養子に出すことになるのだが、その子が著者だったことは、これまで水上の『冬の光景』などに詳しい。一方戦後三十余年を経て、著者は「父」と奇跡の再会を果たす。二十年もかけて実父を捜し歩いた記録はNHKの連続テレビドラマで放映されたこともあり、感動的な物語としてよく知られるところとなっている。早い話、父母から捨てられた形ではあったが、その後著者は「父」を許すどころか、敬意をもって接することとなる。本書は〈わたしは父親の真実を知りたいという欲求におそわれる。その「人」に惹かれる。何とかして、その「人」を知りたいと思う〉という著者の強い意欲がもたらしたもので、丹念な資料収集や作品の精読はもとより、何よりも「父」との対話を通じて、評伝を超えた評伝としての姿を見せている。

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Posted by ブクログ

水上勉を読み進めるは、全集で何十冊、楽しみだが、骨もおれる。日本はいまだに搾取社会。その底辺から上り詰めた人気作家は人間くさい。日本人とし、読むべき作家のひとり、水上勉。

その人間臭さを、側面から観察し書いた本。
暴露本というより、実物大の父について詳細を考察。

水上勉を読んで理解するに、役立つ
文章は、水上勉にはおよばずとも、まあ読みやすい。

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2022年02月16日

Posted by ブクログ

衝撃的な再開を果たした父子のその後の交流は、双方にとって意味あるものとなったようだ。放浪癖、普請癖、そして艶福家(?)を父からの遺伝としたとする息子。
作家・水上勉の作家、そして晩年の個人像に迫る好書。

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2013年07月02日

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