甘利俊一のレビュー一覧
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現在、[第一部]AIは何ができているのか、[第二部]AIは今後社会をどう変えてゆくのか、[第三部]AIの歴史と未来(AIの原理、どうやって出来てどんな原理で動いているのか)などを解説した内容。
特に第二部では第一次産業、第二次産業、第三次産業で具体的にAIが活用されている現場のレポートがあり興味深い。
AIにより多くの仕事が機械に取って替わられることは見通せる。
しかし、それは社会から人間がやる仕事がなくなることであるのかどうはは不明と思う。新しい仕事が当然に生まれることになるのだから。高度な仕事を熟す人材が多く必要とされる時代がくることは見通せる。仕事はあるが人は足りないというアンバランスが -
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神経回路の数理研究の専門家による、脳のメカニズムや人工知能に関する本。数式など完全に理解できたわけではないが、脳のメカニズムや理論、人工知能についての解説は詳しく役に立った。脳の数理的研究の第一人者であり、日本の研究体制についての意見にも説得力がある。
「生命は自己複製、すなわち自分と同じものを作り出す奇妙な物質である」p16
「生命は揺らいでいる不確実な環境の中で自己を複製するが、ときに複製の誤りが起こる。誤ったものがより頑健で、この環境の中で生存に適していればこれが広まり、前のものは滅びていく。これが自然淘汰で、ダーウィンの唱えた進化論である。この仕掛けにより、生命体は発展していく。それ -
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人工知能をこれ以上無いと思われる背景、ビッグバンに遡り、生物と脳の発展を振り返り、脳とは何かについて分かり易く解説、そして、ニューロコンピューティングを中心に、現在の第三次人工知能ブームに繋がる第一次人工知能ブームと第二次人工知能ブームそしてその間に横たわる冬の時代をご自身の研究と重ね合わせて丁重に解説。続いて著者の専門である「数理脳科学」についての説明があり、再び人工知能の歴史の説明に戻りつつ未来を俯瞰、終章はでは人間の心に迫り、BMIやロボットの未来を示唆する。
長年の研究人生が滲み出る好著です。著者の専門である「数理脳科学」の部分は難解ではありますが、記憶の仕組みやパーセプトロン(初期の -
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AIがどのように発達し、ヒトの生活を変えてくれるかについて、現在と予測される未来を解説してくれています。ただ人新世からAI新生に移行しうるという主張については、あまり述べられていません(というか懐疑的)。やはりレイ・カーツワイルのような、いささか過激な主張は研究者の立場からは行いにくいのではと感じました。個人的にはタンパク質ベースの知的生命体では、環境への負荷や時間的制約等から、宇宙への進出なんかは難しいようにも思われ、いずれは全く異なる知性(AI)がうみだされるのではないかと思います。最近のSFはこのようなテーマが多いようにも思われます。
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AIの技術的な専門家が議論する様なことは理解できませんが、大規模なAI装置から小規模な手作りAIまで幅があること、当然ながら大規模なものはコストもかかり、どんな場面でも人間を完全に代替することが出来る訳でないこと、AIの限界、自ら問題点を見つけ、その解決策を探る力はないこと、AIを産み出した人間の限界を内包しており、人間の確認が全く不要とは言い切れないこと等々思いを馳せました。
当面、人材不足を補うツールとして有望だが、広く普及する為にはコスト面や人間との協業の工夫が必要だと理解しました。
産業面でのAIの活用には今世界で議論されているように規制や歯止めもあるのだろうと思いました。