伊藤彰彦のレビュー一覧
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良くも悪くも角川春樹さんの作ってきた本や映画に影響されて育ってきた世代。
角川春樹さんのことは、もちろんメディアを通してしかしらないが、あの一見こわもて、文人らしからぬ風体から、あまり好んで知ろうとは思わずにいた。
しかし、この本を読んで、かなり印象は変わり、その筋を通した生き方には敬服。
見た目で、イメージだけで判断してはいけない、と今更ながら思わされた。
著者の伊藤彰彦さんは角川春樹さんに関する過去の著書、インタビューや関係者の証言など、徹底的に調べ上げていて、まさに博覧強記。
とにかく、角川春樹という人を知るにも、角川春樹が生み出してきた書籍や映画について知るにも、その時代の文化を -
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出版人として稀有な存在であり、映画プロデューサー、監督としても名を馳せた人物、そして俳人としても評価される角川春樹の一代記。ノンフィクション作家への語り下ろし。
角川氏は、ご存じの人も多いと思うが、麻薬の所持などで逮捕、収監されたことのある人物で、毀誉褒貶相半ばするような男である。
しかし、というか、だからというべきか、この一代記は滅法面白い。
彼がかつて率いたKADOKAWAは、今は出版社の大手で売上、純利益ともに3本の指に入る。しかし、かつてはそうではなかった。講談社、小学館、集英社、文藝春秋などに比べ、とても小さな会社だった。それを、小説の映画化などで大キャンペーンを仕掛けて、ベストセラ -
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[地獄より深きところへ]松方弘樹を主演に迎え,ヤクザ映画の転換期に上映された東映の『北陸代理戦争』。この映画の上映からわずか数か月後,主役のモデルとなった「北陸の帝王」が映画の展開とまったく同じように殺害される。関係者に衝撃を与えたその暗殺劇に,いったい『北陸代理戦争』はどれほど関わりを持っていたのか......。映画(特に脚本)とヤクザという業について掘って掘って掘り下げまくった一冊です。著者は,自身も映画の製作及び脚本を担当した経験を持つ伊藤彰彦。
あらすじに惚れ込んで購入したのですが,その期待をまったく裏切らない作品。70年代を中心とする東映ヤクザ映画についても,北陸の裏社会について -
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東京五輪のスポンサー選定をめぐる贈賄疑惑で、KADOKAWAの角川歴彦社長が逮捕されたから読み出したわけじゃなく、向こう3ヶ月分の積読本の順番がこの度とたまたま重なる。
本書は、創業以来文芸路線をひた走り、海外文学作品においても通を唸らせるラインナップをしていた角川書店。
その創業者であり実父の角川源義との長きにわたる諍いを経て、1975年二代目社長に就任するやエンタメ路線に大きく舵を切った角川春樹。
たちまち破格の構想力と行動力で一躍時代の寵児に。そして二度の服役と社長解任からの再起…激烈な半生を、2年間・延べ40時間を費やし、インタビュー形式で語るオーラルヒストリー。
70年代半ば -
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この前に読んでいたのが文春文庫の正力松太郎の評伝「巨怪伝(上)」であまりの濃厚濃密濃縮っぷりに(下)に行く前に、いったん休憩、とエスケープしたのが本書。出版社にいる友人に、最近、面白かった本として勧められたので手軽に手にした訳なのです。ところがどっこい、本書も相当に波瀾万丈なのでありました。なにしろ、びっくりなのは正力、角川、共通するのは富山をルーツとすること。「越中強盗、加賀こじき、越前の詐欺」という言葉に表される越中出身者の荒ぶるバイタリティも時代は違えども繋がっていました。そして富山の米騒動が角川生家の商売である米問屋をスルーし、警視庁正力は徹底的に弾圧した、という妙な偶然も、それぞれに
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ネタバレ角川春樹といえば、角川映画と文庫本のイメージとあと覚醒剤。
この本は膨大なインタビューから成る、多分収まりきれなかった数々に逸話もあるんだろうな。
渋谷で200人相手にひとりで闘ったエピソードや硬派だったのがある時から女性をとっかえひっかえで結婚歴が6回?だったかな。(安井かずみとも関係があったのには驚き)
70歳で再婚して子どもまでもうけてたのね。
父親(源義)との確執。
覚醒剤は所持してたのは事実だけど、会社にお金は手をつけなかったので、全部否認したら実刑になったとか。
うーん、とにかく自分に嘘は付けなかったんだね。
覚醒剤は、持ってた時点でアウトだと思うけど。
松田優作とも懇意で彼は伊丹