平岡篤頼のレビュー一覧

  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    大学生の身でありながら学問はさぼりがちで
    人妻訪問にばかり精をだす
    ウージェーヌ・ラスティニャックがそうするのは
    社交界で人脈を作ることこそ、出世の早道と信ずるからであるが
    なにしろそのためには金がかかるのだった
    そんな彼の前に、二人の男が現れては破滅し、去っていく
    ジャック・コランとゴリオ爺さんだ
    一人は、資産家の娘を篭絡してしゃぶりつくすことをそそのかす悪党
    もう一人は、娘たちへの愛情だけを杖に生きてる惨めな老人
    ウージェーヌは、そのどちらにも一定の共感を抱くが
    しかし、どちらの示す道をも選ぶつもりはなかった
    いわば父性との決別
    それがナポレオン・ボナパルト斃れし後の
    フランス共和主義の気

    0
    2016年12月07日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    これは名作。哀しい父性退廃記と、青年成長記がうまく並行していて清々しい。必要以上でも以下でもない現実主義な文章が素晴らしい。

    0
    2016年09月18日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    初バルザック。こんなに面白いとはおもわなかった。
    愚かな娘と思いつつも、親に甘ったれている点には思い当たる節もある。

    0
    2015年06月07日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    すべてを愛す
    裏返しは盲目

    カミュの紹介から。
    流れるような矢継ぎ早の表現に絡め取られて、煙にまかれてしまいそうになる。
    同じパリに生きる人間を描いているというのに、サガンのそれとはまるで違う。サガンはたった数人の人間関係を持続させることで、気怠いパリの空気を吐き続けた。
    バルザックは、その気怠さを金と愛の汚泥から容赦なく叩きつける。
    描かれる人間それぞれに人生(ドラマ)を与えていて、きちんと役割をこなす。美しいものは美しく、汚れたものはとことん汚く、その予定調和さにどこか嫌悪を覚えてしまう。パリのみせる二面性があまりにもクリアなのだ。
    ヴォートランの存在は作品全体に色濃く印象を与えていて、

    0
    2015年06月04日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ゴリオ爺さんはかわいそうだけど、自分から進んで財布になってれば人間扱いもされなくなるでしょ。父親としての立場を放り出してお金で釣ろうなんて娼婦を買う男の発想だし、その根性に娘はけっこう失望してたと思うよ。
    この話で一番かわいそうなのはバカ娘を押し付けられた二人の婿さんと思う。まあこの人らも持参金目当ての結婚だったろうから自業自得とも言えるけど。
    ストッパーの奥さんが早逝しちゃったのが爺さんにとっての悲劇だな。救いのないラストだけど悲劇というには滑稽すぎて、「人間喜劇」って副題に納得。ジェットコースターみたいにズバッと読めた。

    0
    2015年04月02日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    これね、ホント感情を動かされる
    正しく感動って感じ
    特に終盤は大変よ、ぐっちゃぐちゃになる

    社交界を目指して出世欲を滾らせるウージェーヌに突きつけられた現実の残酷さに辛くなった
    フランス文学特有のアバンチュールも酷な現実を表すのに一役買っている
    善人が最期に愛情に裏切られて死ぬのをみて決意を固めるところは胸がすく思いだった

    眠気覚ましに最後サラッと読もうかと思ったら、感情ぐちゃぐちゃにされたわ
    いや…もう「金の切れ目が縁の切れ目」を間近に突きつけられた

    0
    2025年01月03日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    大事なことは見失いがちということかもしれない。
    というより、そもそも本能的に目を逸らしてしまうということなんやろう。

    娘たちはもちろん、お爺さんも、ラスティニャックも結局は欲望に取り憑かれてしまう悲しい性の渦にいとも簡単に、それとは気づかず飲み込まれてしまう。

    「さあ今度は、おれとお前の勝負だ!」

    人間たちの愚かなサーカスに挑む事で、進んでサーカスの団員になるこの光景は、自分自身もみたような気がする。

    0
    2021年04月05日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    バルザックはフランスではとても有名な作家ですが、その作品を初めて読みました。1835年の作品ですから、19世紀の前半、フランス革命やナポレオン帝政の後、7月王政の時代です。パリも都市として大きく発展していたころで、この小説の主人公ラスティニャックのように、地方から出てきて出世を目指していた若者も多かったようです。

    娘を溺愛しながらも省みられることなく最期を迎えるゴリオ爺さんが物語の中心にはあります。しかし、それを取り巻くしたたかな人物設定(特にヴォートランや下宿のおかみヴォケー夫人)や、パリの社交界が狩猟社会の様相を呈しているあたりの描写(192頁)が基調を作っていますので、読んでいて悲痛な

    0
    2018年11月10日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    2人の娘を盲目的に愛し、玉の輿に乗せた後も求められるがままに自分を犠牲にして全てを与えた哀れな老人ゴリオ。リア王にはコーデリアがいたが、彼には愛情を返してくれる娘はいなかった。

    登場人物が人間臭くて面白い。ここに出てくるラスティニャックは出世のためなら何でもする人間の代名詞になったようだが、ここではまだ純粋さを持った1人の若者、彼がその後どのように変貌して行くのか他の作品も読んでみたい。

    0
    2016年09月14日
  • ゴリオ爺さん

    Posted by ブクログ

    なんとか読み終えた…。序盤は正直読みにくくて何度も何度も眠くなっては挫折…を繰り返していたのだけれども、ラスト病床に臥せてからのゴリオ爺さんの独白はグッと引き込まれてそこからは一気読み。ゴリオ爺さんは娘たちにこんなに愛を注いでるのに…と切なくなってしまった。2013/186

    0
    2015年04月21日