山我哲雄のレビュー一覧
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ドストエフスキーで正教会が出てきたので、キリスト教をざっくりと理解するために再読。
キリスト教の歴史は、世界史と切っても切り離せない。
キリスト教は大きく分けて、ローマ・カトリック教会、東方正教会、プロテスタント教会。
キリスト教と一括りに言っても、全く違う。
聖餐でパンに酵母を入れるかどうかから始まり、十字架の形が違ったり、イコンの有無、神・キリスト・マリアの立場の考え方が違ったり、聖書に書いてあることだけを正しいとするかどうかなど、多岐にわたる。
教会の権威において、ローマ・カトリック教会は中央集権的、東方正教会が地方分権的というのは興味深い。
ちなみに、日本の正教会はロシア革命の混乱期に -
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キリスト教と言っても、一言で言い表すことは当然のことながらできず、様々な流派があり、場合によっては他宗への不寛容が社会的な事件を引き起こすこともあるということが心の隅に引っ掛かった。
また、時代の流れと共に内容の解釈が困難になることは珍しくない宗教にあって、今後の多様性をどこまで認めることができるのかが課題にあると思っている。
本書はできるだけ多くの視点からキリスト教を解説しており、周辺知識も教養として十分な量を保っているため、上記のような問題意識や当事者意識をもって課題を考えることができるようになるだろう。
ジュニア新書ではあるが、宗教観を学ぶ上で、万人にすすめられる一冊に仕上がって -
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山我哲雄(やまが・てつお)
1951年,東京生まれ.北星学園大学教授.同大学大学院文学研究科教授を兼任.北海道大学文学部非常勤講師.専攻は聖書学,宗教学,キリスト教学.日本聖書学研究所所員.岩波書店版『旧約聖書』(旧約聖書翻訳委員会訳)では「出エジプト記」,「レビ記」,「民数記」を担当.主著に『聖書時代史 旧約篇』(岩波現代文庫),『海の奇跡 モーセ五書論集』(聖公会出版),『一神教の起源 旧約の「神」はどこから来たのか』(筑摩書房),『聖書』(PHP研究所),『図解これだけは知っておきたいキリスト教』(洋泉社)など.訳書にノート『旧約聖書の歴史文学』(日本基督教団出版局),シュミート『旧約聖 -
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何かの本で紹介されていたため手に取った。今まで読んだキリスト教関連の本で最もわかりやすい。
キリスト教の成立過程を、ユダヤ教から遡り、イエスの思想や言動を、神話的にではなく現代的な解釈を交えて伝えてくれるため、とても納得感があり分かりやすい。特に、キリスト教が、キリスト教として生まれたのではなく、ユダヤ教イエス派として解釈できることは恥ずかしながら知らない背景だった。
ペテロやパウロなど名前が似ていて覚えづらい登場人物のバックグラウンドや思想の変遷、磔刑前後の役割なども理解しやすかった。
そして、キリスト教成立後の、ローマ・カトリック協会、東方正教会、プロテスタント協会への分化やそれぞれの思想 -
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旧約聖書の神の概念がどこから持ち込まれ、育まれたのかを、聖書学による文献としての聖書の精査と考古学の成果などの視点から解き明かそうという本。踏み込んだややこしい議論は避け、初心者的な宗教学の流れや俗説の排除などからフォローしてるし注すらなくて完全に一般向けの雰囲気だけど、とても面白くて夢中になって読んでしまった、というか面白い所だけを見せてもらっている。注とかがっつりつけてもっと専門的に踏み込んだ本書いてほしいと思うけど、この本でもどこが今議論になっているのか、誰がどんな意見で議論しているか、という部分はきちんと書かれているのでありがたい。興味あればぐぐってねという感じなのか。著者の意見と議論
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2025.4月分読書
非キリスト教徒がキリスト教の歴史と信仰の概略を学ぶ入門として適切な1冊だと思った。また、高校世界史などで宗教史(キリスト教史)に苦手意識があったり時系列がごちゃごちゃになっている人にも薦められる内容だと思う。また、自分自身はプロテスタントの細かな教義や日本での広がりの知識が乏しかったので、その点を知れてよかった。東方正教会についても、組織の特徴など興味深く確認できた。
個人的に印象的だったのは、キリスト教と仏教の重なる部分を感じられたことだった。親鸞の悪人正機説とイエスの教えや、ユダヤ教からキリスト教への流れと上座部仏教から大乗仏教への流れなど、救いを求める人間の普遍的な -
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〇〇入門って、内容難しいこと多いですが、この本も難しかったです。
基本的には、キリスト教の歴史についてわかりやすく(簡単ではない)まとめてくれています。
ユダヤ教から始まり、イエスの史実的な解釈、カトリック、正教、プロテスタントへ別れていった経緯、などなど
私が小さかった頃、両親が聖公会に所属していて、よく連れてかれていました。当時は訳も分からず、日曜学校で礼拝して遊んで、ミサに参加したり、しなかったり。いろんな記憶の断片が残ってます。
私にとってのキリスト教は聖公会の時のイメージしかなかったんですが、それが実はプロテスタントから派生していて、カトリックの特徴をたくさん残してるなんて知る -
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いろんな芸術作品を味わうために必要な知識が歴史的な背景も含めて詳しく書かれている。
新約聖書に書かれているパウロの宣教活動については、この本を読むと概要が理解しやすい。
宗教と政治が複雑に絡んでいるので、世界史の授業で聞いた単語がたくさん出て来て、試験勉強してる気分になった。
イエスキリストとされた人物が存在していたことは、歴史的研究でも証明されているらしいから、それから2,000年経っているということは事実として、それ以前にも人類の文化にはたくさんの神様が崇められていて、古代の解明されてない文明にもなにかしらを崇拝してる跡がある。
その中でも、ひとりひとりを平等に救済すると説いた宗教はめずら -
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ネタバレキリスト教を勉強してみたくなり、入門書を探しており、こちらを購入。
世界史のバックグラウンドがないとちょっと難しいかなと感じますが、コンパクトにまとまっていると思います。
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キリスト教を学ぶとなると、ユダヤ教なしには話が進みませんが、ユダヤ教の言わば「閉鎖的」な部分の改良版的に始まった点などは、実はあまり知られていないかもしれません。そうしたキリスト教の端緒やユダヤとの違いは、簡潔で分かりやすかった。
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まあ、キリスト教というと、カトリック、プロテスタント、正教と分かれていることは多くの人がぼんやり理解していることと思います。本作はそれぞれの流派の歴史をたどるのは当然のことなが