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もともとイスラエルもユダも、古代オリエント世界の辺境に存した弱小国家に過ぎず、権力や覇権とはほとんど縁がなかった。その小さな国家が滅び、新バビロニア帝国の圧倒的な支配のもとで「ヤハウェの民」が最も非力で悲惨な境涯にあった時に、彼らの中から唯一神観が生まれた。それは、弱い者が生き延びるための知恵であった。──古代イスラエルで唯一神が誕生するまでを、壮大な筆致で描く。
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Posted by ブクログ
ユダヤ教における一神教の成立過程を、山我先生らしい平易な文体で書き表した一冊。同先生の「聖書時代史 旧約編」と併せて読むことで、時代背景も含めたユダヤ教史全体を概観することが可能になる。近年に出版されたため情報も新しく、入門書としては上質といえる。
旧約聖書の神の概念がどこから持ち込まれ、育まれたのかを、聖書学による文献としての聖書の精査と考古学の成果などの視点から解き明かそうという本。踏み込んだややこしい議論は避け、初心者的な宗教学の流れや俗説の排除などからフォローしてるし注すらなくて完全に一般向けの雰囲気だけど、とても面白くて夢中になって読...続きを読むんでしまった、というか面白い所だけを見せてもらっている。注とかがっつりつけてもっと専門的に踏み込んだ本書いてほしいと思うけど、この本でもどこが今議論になっているのか、誰がどんな意見で議論しているか、という部分はきちんと書かれているのでありがたい。興味あればぐぐってねという感じなのか。著者の意見と議論の流れがはっきり区別されているのも好印象。ちょうど今月同じようなテーマで訳本を出していらっしゃるのを知って即注文した。 神が「我々」と語る時に著者(編集者)は何を意味しようとしていたのかという話や、イスラエル民族の宗教観を国家ー地域ー家庭のレベルごとに理解していくべきだという議論、倫理的十戒の成立過程など、なるほど!となる話ばかりで、90年代以降の急激に進む議論のうねりの中で新しい聖書とイスラエルの姿が見えてきていることに感動する。もちろん紀元前1000~くらいの話は特にほとんど記録も痕跡も残っていないために「とても説得力のある仮説」以上のものには現状なりえないのだが、それでもかすかに残った痕跡からヤハウェとイスラエルの源流を追い求めるのはロマンがありすぎる。 申命記は話の流れ上かなりクローズアップされているが、この本を通して読むとイスラエルの歴史と文化、著者の意図がはっきり重層的に感じられて違った味わいになり俄然面白いと感じられるようになった。真剣に聖書を読もうと思ったらヘブライ語やらないとだな…道のりは長い。
当時の国際状況(エジプトなどの近隣諸国)も踏まえ、論理的に旧約聖書を解説しています。 旧約聖書ができるよりも前の時代から論じられており、旧約聖書成立の背景を知ることができました。
キリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教における 唯一神であるヤハウェが、歴史的に段階を踏みながら いかにして唯一神になったかということを平易な文章で わかりやすく解説した本。自説とは違う意見も書き記し それでも私はこう思うという誠実な態度も好感が持て、 言わんとするヤハウェの発展の歴史がすんなりと腑...続きを読むに 落ちてくる良書。だがおそらくはそのわかりやすさと 平易さゆえにこの本に反発する信者も少なからずいる だろうな。
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一神教の起源 ──旧約聖書の「神」はどこから来たのか
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山我哲雄
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