大石芳野のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦争や内乱のあとの人々を撮り続けるカメラマンが、ポル・ポト政権
崩壊後の1980年にカンボジアを訪れて書き記したルポルタージュである。
忘れがちではあるが、ベトナムと同様、カンボジアもアメリカの阿呆な
介入で多くの不幸を被った国である。
フランス領からの独立を勝ち取り、シアヌーク国王(当時)のもと、
不完全ではあるものの肥沃な国土で「国」としての姿を作りつつあった。
しかし、お節介焼きのアメリカによって、首相であったロン・ノル将軍の
クーデターが起こる。
そして、腐敗したロン・ノル政権に対するポル・ポト率いるクメール・
ルージュの台頭で国内には恐怖政治の嵐が吹き荒れる。
まず弾圧されたのは宗教だ。僧侶であるというだけで殺され、次には
知識階級・富裕階級、医師、教師、看護人と続き、フランス語や英語を
解するというだけの理由で多くの人々が殺害された。
政権崩壊後、クメール・ルージュによる虐殺はでっち上げだという論議が
あった。だが、著者は強制移住させられた人、クメール・ルージュの
元幹部等に取材し、その残虐さを見事に書き上げている。
また、ジェノサイドの証拠ともいえる人骨を発掘し、写真に収めてもいる。
老人と子供を残し、多くの男性が殺害された国で、後に残されたのは女性
ばかり。その女性たちが恐怖政治を耐え抜き、再度、人生を立て直そうと
している時代の話だ。
秀逸なルポルタージュだが、現在は絶版らしい。残念…。 -
Posted by ブクログ
コソボ紛争と一般には言われていますが、セルビア系によるアルバニア系民族の虐殺と言ってもいいのではないか。
写真の説明書きを読むと、本当に心が痛みます。
この恐ろしい殺戮が10数年前に行われたということが信じられない。
今もなお、二つの民族間には深い溝があるようですが、きれい事は通じないかもしれませんが、もう二度とこのような悲劇を繰り返さないでほしい。
著者の言葉
「人間の命に重さがあるはずがないのだが、実際は、歴然と重さの違いがあり、秤に乗せながら(乗せられながら)動いて(動かされて)いる。忍耐を強いられる国民(民族)と、しない国(民族)がある。矛盾と理不尽が渦巻く。どろどろとした濁流の中で、私たちは現在、生きているのである。