【感想・ネタバレ】女の国になったカンボジアのレビュー

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Posted by ブクログ

戦争や内乱のあとの人々を撮り続けるカメラマンが、ポル・ポト政権
崩壊後の1980年にカンボジアを訪れて書き記したルポルタージュである。

忘れがちではあるが、ベトナムと同様、カンボジアもアメリカの阿呆な
介入で多くの不幸を被った国である。

フランス領からの独立を勝ち取り、シアヌーク国王(当時)のもと、
不完全ではあるものの肥沃な国土で「国」としての姿を作りつつあった。

しかし、お節介焼きのアメリカによって、首相であったロン・ノル将軍の
クーデターが起こる。

そして、腐敗したロン・ノル政権に対するポル・ポト率いるクメール・
ルージュの台頭で国内には恐怖政治の嵐が吹き荒れる。

まず弾圧されたのは宗教だ。僧侶であるというだけで殺され、次には
知識階級・富裕階級、医師、教師、看護人と続き、フランス語や英語を
解するというだけの理由で多くの人々が殺害された。

政権崩壊後、クメール・ルージュによる虐殺はでっち上げだという論議が
あった。だが、著者は強制移住させられた人、クメール・ルージュの
元幹部等に取材し、その残虐さを見事に書き上げている。

また、ジェノサイドの証拠ともいえる人骨を発掘し、写真に収めてもいる。

老人と子供を残し、多くの男性が殺害された国で、後に残されたのは女性
ばかり。その女性たちが恐怖政治を耐え抜き、再度、人生を立て直そうと
している時代の話だ。

秀逸なルポルタージュだが、現在は絶版らしい。残念…。

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2017年08月17日

Posted by ブクログ

1980年当時、「虐殺なんて嘘だ。ポル・ポト政権にも多少の間違いはあったかもしれないが、それは理想的な社会主義を目指していたからこそだ。その政権を力で崩したベトナムは許せない。」という意見が大多数をしめていたときに、果敢に現地取材を試み、ポル・ポト政権の真実を暴こうとしたルポルタージュ。

本の内容はもちろんのこと、掲載されている写真も痛々しいものが多く、改めて当時の悲惨な状況のことを知ることができました。ポル・ポト派幹部の証言などもあり、まさに迫真の取材です。

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2009年10月04日

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