【感想・ネタバレ】女の国になったカンボジアのレビュー

あらすじ

ポル・ポト大虐殺の事実を現地取材で確認、虐殺した側の人間の深層にも迫る衝撃の記録。大虐殺の真実を追求した衝撃のレポート――世界で最初にポル・ポト軍の大虐殺を確認! 難民の話はほんとうだった。到る所に虐殺現場があった。実際に目の前で発掘してもらった穴からは、痛ましい白骨の山が現われた……。カンボジア人がカンボジア人を大量虐殺した事実を、みずから各地で直接取材と遺体発掘で確認して世界に先がけて報道し、さらに虐殺する人間の深層に迫った衝撃の書。ポル・ポト政権(1975~79年)の大虐殺をいちはやく現地で取材して、写真と文とでその事実を明らかにし、虐殺したポル・ポト派幹部の証言も得て迫る衝撃のレポート。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

戦争や内乱のあとの人々を撮り続けるカメラマンが、ポル・ポト政権
崩壊後の1980年にカンボジアを訪れて書き記したルポルタージュである。

忘れがちではあるが、ベトナムと同様、カンボジアもアメリカの阿呆な
介入で多くの不幸を被った国である。

フランス領からの独立を勝ち取り、シアヌーク国王(当時)のもと、
不完全ではあるものの肥沃な国土で「国」としての姿を作りつつあった。

しかし、お節介焼きのアメリカによって、首相であったロン・ノル将軍の
クーデターが起こる。

そして、腐敗したロン・ノル政権に対するポル・ポト率いるクメール・
ルージュの台頭で国内には恐怖政治の嵐が吹き荒れる。

まず弾圧されたのは宗教だ。僧侶であるというだけで殺され、次には
知識階級・富裕階級、医師、教師、看護人と続き、フランス語や英語を
解するというだけの理由で多くの人々が殺害された。

政権崩壊後、クメール・ルージュによる虐殺はでっち上げだという論議が
あった。だが、著者は強制移住させられた人、クメール・ルージュの
元幹部等に取材し、その残虐さを見事に書き上げている。

また、ジェノサイドの証拠ともいえる人骨を発掘し、写真に収めてもいる。

老人と子供を残し、多くの男性が殺害された国で、後に残されたのは女性
ばかり。その女性たちが恐怖政治を耐え抜き、再度、人生を立て直そうと
している時代の話だ。

秀逸なルポルタージュだが、現在は絶版らしい。残念…。

0
2017年08月17日

Posted by ブクログ

1980年当時、「虐殺なんて嘘だ。ポル・ポト政権にも多少の間違いはあったかもしれないが、それは理想的な社会主義を目指していたからこそだ。その政権を力で崩したベトナムは許せない。」という意見が大多数をしめていたときに、果敢に現地取材を試み、ポル・ポト政権の真実を暴こうとしたルポルタージュ。

本の内容はもちろんのこと、掲載されている写真も痛々しいものが多く、改めて当時の悲惨な状況のことを知ることができました。ポル・ポト派幹部の証言などもあり、まさに迫真の取材です。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング