リチャード・J・サミュエルズのレビュー一覧
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日本のインテリジェンスの変遷がよくわかり、抽象的な事象と具体的な事例のバランスが取られた一冊。
日本のインテリジェンスとそれに基づく危機管理、意思決定などに興味がある方向け。
日本語訳者の小谷賢氏も日本のインテリジェンス史に関する書籍を出しているので併せて読むと理解も深まると思われる。
収集、分析、伝達、保全、秘密工作、監視という6つの要素から近代以降の各時期の日本のインテリジェンスを評価している。
また、将来の日本のインテリジェンスの能力拡充や対外的協力体制構築の方向性についても示唆を与えてくれる。
日本は(どの国でもそうだが)、内外の政治情勢、技術的な進歩、そして「失敗」に影響を受 -
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3.11によって日本の「安全保障」「エネルギー政策」「地方自治」はどう変わったのか、あるいは変わらなかったのか。国及び地方の政治家や各界の有識者たちの言動を掲げ、あるいはボランティア、自衛隊、米軍の活動を子細に検証しながら、客観的かつ明瞭な評価を示してくれる。3.11への対応は「復旧」という再建にとどまらず、「復興」という滞っていた現状から繁栄につなげる大いなる機会であった。が、その機運がなかなか行動に至らぬうち、「原子力ムラ」が復旧、いや復興しつつある。とはいえ、阪神淡路大震災での失敗を教訓に、地方自治体の協力関係と自衛隊の活動においては著しい成果もあげている。不幸にも大震災が頻発する今日、
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多くの関係者インタビューをもとに、日本のインテリジェンスの歴史やその問題点を分析する良書。NSS立ち上げ後も内調とのアクセス争いがあることなど、収集・分析機関間の争いや政策との関係が引き続き問題であることがよく分かる。結局は、不確実性を含むインテリジェンスを政治家・政策部局がどれほど重視できるのかという文化の問題かもしれない。以下興味深い点。
・戦前のインテリジェンス・コミュニティでは秘密工作の方が分析よりも高く評価された。
・東條英機はインテリジェンス不信。ナチスドイツのソ連侵攻に関する情報を信じようとせず。防諜組織も持っていなかった。
・合同情報会議は1986年に創設。この頃、内調室長の総 -
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日本における諜報の変遷を、アメリカの立場で検証している一冊。
現在アメリカにとっての極東地域同盟国の一つ日本ですが、戦前戦中のアジアでは全ての白人国家と渡り合える唯一の黄色人国家でした。
それには諜報・防諜の技術が必要であり、日本でも活用されてきました。
本書の焦点は戦後の日本に当てられています。
戦後日本の情報の扱い方がどのようなものか、詳細に解説されています。
どうしても難いものとなりますが最近の総理大臣や拉致問題など記憶に新しい話題も絡んできますので、多くの日本人が関心を持てる内容であると思います。
情報を得て未来を予測し要領良く行動する術は個人でも重要ですが、国家規模となれば必要です。 -
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東日本大震災、311は日本を変えたのか? それとも変えなかったのか?
米国の知日派という第三者の目から、特に「安全保障」「エネルギー政策」「地方自治」の3つの点に焦点を絞って分析している。
震災から5年目に出版された本書、当然執筆されたのはそれ以前のものであり、2013年頃までの状況を分析したものとなる。
本書にかかれた状況が、おそらく現在まで継続されているものは、自衛隊、防衛省をめぐる状況であろう。
311による大きな被害に、いち早く組織的に対応したのは、自衛隊と強力な同盟関係にあるアメリカ軍であった。
自衛隊は独立し行動できる部隊として、いち早く被災地に入り、被災者救出から被災地復旧、そ