河江肖剰のレビュー一覧
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昨年2022年は、エジプト考古学にとって、メモリアルイヤーだった。シャンポリオンがヒエログリフを解読してから200年、カーターがツタンカーメン王墓を発見してちょうど100年に当たったのだ。これに合わせて各種イベントが催され、大エジプト博物館もオープンし、盛大に盛り上がる…はずだったが、コロナ禍の影響でなかなか思うようにはいかなかった。(まあ大エジプト博物館は、本来ならもっと前にオープンするはずだったのだけど(^_^;)。さすが悠久のエジプト、数年は誤差の範囲である。今年こそ開館なるか)
本誌はツタンカーメン王墓の発見から100年を記念して刊行された、古代エジプトファンのみならず、歴史を愛する -
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副題に「最新科学で古代遺跡の謎を解く」とあり、ドローンによる3D計測、宇宙線によるピラミッドの透視なども書かれているが、地道で緻密な発掘調査や実験考古学により浮かび上がるピラミッド・タウンの復元こそが、本書の最大の魅力かもしれない。
以下、各章の概略を述べた上で、最後に全体の感想をまとめる。
<序 章>
昔は絢爛豪華な財宝が発掘の至上課題だったようだが、現代では古代人の生活を復元することが重視される。従来であれば捨てられていた異物が注目を浴びるようになった。モノから情報へ考古学もシフトしていることが語られる。
<第Ⅰ部>
ピラミッドがどのように築かれたかについて書かれる。石材の運搬 -
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ピラミッドは神秘であり、謎であり、ロマンである。一般の人間にとっては、そんなふうに、あくまで印象的にしか捉えられていないと思うが、現代のピラミッドに対する研究の姿、様子を、わかりやすく、かつ情熱をこめて説明している。エジプト学と考古学が違うものだということも知らなかった。ピラミッドの研究が、今は、考古学だけではなく、物理学や数学、建築学といった様々な学問領域の角度から複合的に、研究者がチーム体制を組んでなされている、ということもよくわかった。また、一番驚いたのは、実はピラミッドの石組みの構造が、よくわかっていないどころか、そもそも詳細に計測されたことがなかったという点。TV番組とのタイアップで
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ふしぎ発見などのメディアでもお馴染みの、エジプト考古学者・河江先生のピラミッドのわかりやすい解説本。
第1部はピラミッドの基本。
ピラミッドは何か?、いつ建てられたのか?、どこに建てられたのか?、なぜ建てられたのか?、誰が作ったのか?、どのように造られたのか?という5W1Hごとにわかりやすく説明。
第2部はピラミッドを建てるに当たって、労働者が住んでいた街の発掘についてや、出土品の解説、著者が発掘に携わるようになるまでのことが書かれている。
新しい調査方法や、ふしぎ発見との調査のことなど、写真や図をたくさん載せてわかりやすく書かれている。
ピラミッドについて知りたい人は、これを読むととても -
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2025年1-4月に森アーツセンターギャラリーで開催される古代エジプト展へ行く前の予習で読んだ。
本書は古代エジプトのピラミッドについて、基本知識や2016年当時最新の研究成果を平易に解説。
ピラミッドは多くの謎に包まれたロマン溢れる神秘的な建造物というイメージが持たれやすいが、実は多くの謎は既に解明済みだそう。
現代のピラミッド研究調査は、考古学に限らず異分野の様々な専門家がプロジェクトに参加し、最新のテクノロジーを使いながら行われる。「謎」を解明していくうちに、当時の人々の生活の営みが見えてきて、また新たな謎が生まれる。ピラミッドのロマンは尽きることがない。