瀧澤弘和のレビュー一覧
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本屋で何気なく目をとめて、興味を惹かれて買った本だったのですが、大正解でした。
僕自身は法学部出身の元公務員なので、あまり経済学はきちんと勉強したことがなく、仕事の必要に応じてちょっとずつかじったり、興味を持って本を読んだりした知識だけなのですが、それにしても最近の経済学はジャンルが分かれすぎてよく判らないという印象をずっと持っていました。
ところがこの本を読んで、いろいろな経済学のジャンルが歴史的にどのように登場し、相互にどのような位置づけにあり、現実の経済状況をどういう問題や方法で分析しようとしているのかということが、実に明解にまとめられており、全体像が実にすっきりとわかりました。まさに、 -
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本書は、現代経済学の先端分野で研究・議論されていることを紹介したもの。新書なので、紙数を多く割くわけにはいかず、短く紹介されている。
私は大学は政治経済学部経済学科で学んだ。卒業してから40年以上が経過する。真面目な学生だったとは、とても言えないが、本書で紹介されていることの多くは、40年前の大学の経済学科では勉強しなかったことだ。ゲーム理論・行動経済学・制度論、等は、全く記憶にない。私が勉強しなかっただけということではなく、大学で教えるまでには成熟していなかったのだ。
全てが新鮮であったが、特に制度論の議論が面白かった。
【引用】
制度間の補完性の度合いが強いほど、一つの分野で制度改革を行 -
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「現代経済学」なんて門戸広そうなタイトルだけど、実際のところぜんぜん門戸広くない。たとえば「ファスト&スロー」を読んで行動経済学に興味持ったくらいでは、ぜんぜん歯が立たない。瀧澤先生、かつ、中公なので、無難なものになるわけないのだが、それにしたってこれはレベル高い。
各章で、マクロ、マクロ、ゲーム理論、行動経済学、実験経済学、制度の経済学、経済史が紹介されるが、初心者向けの簡単な紹介ではない。経済学における各領域の位置づけ、領域間の関連、その領域が抱える課題と展望といったあたりを、それこそ科学哲学や認識論の議論にまで踏み込んで検討する。瀧澤先生らしく、学際的な研究についても広範に渉猟しながら -
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なぜか、最近、アダム・スミスを読んで、近代経済学のはじめに立会い、スミス的な自由主義の現代的な再解釈ともいえるハイエクを味わっているところ。(ハイエクは、複雑系とかネットワークとかにつながるアイディアがたくさんあって、すごいよ)
で、そういえば今の経済学って、どうなっていたんだっけと確認のために読んでみた。
かつて、経済学といえば、経済人とか、合理的な利潤最大化とか、市場均衡の話しというイメージだった。
最近は、行動経済学とかいろいろでていて、話しはちょっと変わっていることは知っていたのだが、この本を読んで、その全体像がかなりすっきりと見晴らせた。
学生時代に、経済学の合理的な人間とい -
Posted by ブクログ
【こんな方におすすめ】
・ゲーム理論や行動経済学を体系的に理解したい初学者
・経済学の変遷を知りたい方
・経済学の主要な法則の概念や背景を理解したい方
【知っていること】
・不確実性の高い意思決定を行う際は、人間のクセや法則性がある
【知りたかったこと】
・インタラクティブな意思決定におけるステークホルダーの意思決定のクセ
・経営層の意思決定サポートや組織に合意形成に役立つ法則を学びたい
【知ったこと】
・不確実性の高い意思決定はゲーム理論と行動経済学で一定の説明はできる
・しかし組織における意思決定については制度やメカニズムによって法則が異なる
・人間科学の範疇で経済を考えていくことが -
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要素還元主義=ミクロ経済学、全体論=マクロ経済学
新古典派経済学=ミクロ経済学、ケインズ経済学=マクロ経済学、ミクロ手法を取り入れたマクロ経済学=新しいマクロ経済学。
複数財の均衡は一般均衡、パレード効率性のものが望ましい。一つの財の均衡は部分均衡、社会的余剰が大きいものが望ましい。
資源の再配分だけが政府の役割、とする厚生経済学の基本定理(第二)。経済学者が小さな政府を主張しがちな理由。
限界概念が現れて新古典派経済学が出現。
ゲーム理論でナッシュ均衡が出現。各自の最適行動は全体として最適とは限らない。
情報の非対称性で逆選択(進化論の選択の逆、という意味)。シグナリングが重要な役割