本屋で何気なく目をとめて、興味を惹かれて買った本だったのですが、大正解でした。
僕自身は法学部出身の元公務員なので、あまり経済学はきちんと勉強したことがなく、仕事の必要に応じてちょっとずつかじったり、興味を持って本を読んだりした知識だけなのですが、それにしても最近の経済学はジャンルが分かれすぎてよく
...続きを読む判らないという印象をずっと持っていました。
ところがこの本を読んで、いろいろな経済学のジャンルが歴史的にどのように登場し、相互にどのような位置づけにあり、現実の経済状況をどういう問題や方法で分析しようとしているのかということが、実に明解にまとめられており、全体像が実にすっきりとわかりました。まさに、こういう本が欲しかったって感じです。
最終章の、「社会科学は本当に客観的な科学なのか?」という問いに対する説明も、「存在論的客観・主観」と「認識論的客観・主観」という枠組みを使っての説明はわかりやすかったですし、そこから社会科学が人間科学として、単に現象の分析にとどまらず、よりよい社会の実現のためのツールとして発展を遂げるべき(これは筆者の表現ではありませんが)という主張は、非常に共感できるものでした。これは良書です。