廣瀬陽子のレビュー一覧
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明確に定義付けされていないハイブリッド戦争、特にロシアのそれについて、実例豊富にわかりやすくまとめている。
正規戦・非正規戦の境を越え、ありとあらゆる手段を用いて政治的目的を達成しようとするハイブリッド戦争。ジョージアとの戦争で実績を積み、ウクライナで花開かせたと言われる。そしてシリアへこ介入もハイブリッド戦争の一環であり、かなりの部分がPMCに担われている。現代のロシアの戦争目的は領土拡大自体ではなく敵対的な同盟の弱体化、自身の同盟の拡充である。面白いのはロシア自体は自身の戦略をハイブリッド戦争と呼びたがらず、むしろ西側諸国からハイブリッド戦争を仕掛けられていると考えていること。ハイブリッド -
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「ハイブリッド」というのは「異質なモノが交じり合って成立している」という程の意味で、現在では広く用いられている表現になるように思う。それが付せられた「ハイブリッド戦争」ということになれば「??」という感だ…
「ハイブリッド戦争」というのは、正規軍による活動、非正規な武装勢力による活動、所謂“情報戦”ということになる情報操作等のあらゆる活動、陣営に有利になり得る勢力が権力に近付くことが叶うような、所謂“情報工作”というようなこと等、様々な要素を織り交ぜて「自身の陣営が有利になるようにあらゆる要素を適宜組合わせて展開する活動」という事柄の総称ということであるらしい。本書によれば、ロシアは21世紀に -
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実質的には国家であるにもかかわらず,国際的な承認を得られていない未承認国家。その誕生の背景や個別の実情,将来の地位について見通しよく描き出した快著。ロシアによるクリミア編入や,ISILの問題で騒がしい昨今,複雑な国際関係の理解を深めるためにも読んでおくべき一冊。
既存国家の領土保全・主権尊重と,民族自決の原則。互いに矛盾するこの二つの国際原則が,今に至るまで多くの戦争・紛争を引き起こし,未承認国家を生み出してきた。二度の世界大戦の後,冷戦の後には一時的に世界の趨勢は民族自決寄りに傾き,多くの独立国や事実上の独立国を増やす。そしてその後の揺り戻しで事実上の独立国は長い間未承認国家にとどまり,法的 -
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本書は2008年に刊行された本。
それから2014年経った今、既読。
アルメニアに関する本を読んで、コーカサス地方に(関する本)興味をもったので、本書を手に入れて読んだ。
コーカサス地方(アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア)の抱える問題などについて、わかりやすく書かれている本。
黒海やイランやトルコといった隣国との石油資源の利害関係、また古くからの民族対立、政治政策、そして、旧ソ連に組み込まれていたこともあり、ロシアとの関係も絡まる。
EUとも近い関係にあるし、またロシア、あるいはトルコ、イランといった中東諸国との複雑なバランス、緊張関係になっていて、複雑な利害関係が本書から伝わってく -
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ロシアの外交政策とそのひとつであるハイブリッド戦争について知りたい人におすすめ。
【概要】
●ロシアのハイブリッド戦争とは
ハイブリッド戦争の現状、脅威
●ロシアのサイバー攻撃と情報戦・宣伝戦
●ロシア外交のバックボーン
●重点領域-北極圏・中南米・中東・アジア
●ハイブリッド戦争の最前線・アフリカをめぐって
【感想】
●ロシアとウクライナの紛争が顕在化した2022年以前に書かれた本
●ロシアが実施するハイブリッド戦争の内容がよくわかる。
●中国と同じく、ロシアの地政学的計算による世界への進出について地域毎にまとめられていて理解しやすい。
●日本では国内の些末な問題ばかりメディアで取り上 -
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ネタバレ2013年 ウクライナ危機
プロパガンダ、親露派政治家、民兵、フェイクニュース、サイバー攻撃、経済脅迫
領土拡大ではなく、旧ソ連地域での影響力の拡大による一極を目論む
PMC 民間軍事会社
最前線で戦う戦士一人につき100人の後方支援。
ロシアでは非合法事業
ワグネル 5000人以上? 2000人以上が戦闘要員
シャープパワー
ソフトパワーの悪質版 フェイクニュース クリミア併合
サイバー攻撃
攻撃範囲が無限大、相手の特定困難、小が大を攻撃、不可視、法的グレーゾーン
ロシア サイバー軍1000人 中国10万人、日本500人へ
APT28 ファンシーベア、APT29 コージーベ -
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ロシアが実施しているハイブリッド戦争や現代ロシアの地政学を解説した本。『コーカサスの十字路』を著した廣瀬先生の新作だったので早速読んでみた。この前に古川氏の『破壊戦』を読んでいたので、内容はすっと頭に入ってきた。第3章の『ロシアの地政学』は、『新しい地政学』のロシアの章とほぼ同じ内容であったものの、新書で手軽に読めるのは大変助かった。
第4章以降は、ロシアが近年重要地域とみなしている北極、中南米、アフリカについてであった。特にアフリカは、近年ロシアの「ハイブリッド戦争展開の最前線」と位置付けられており、ロシアの「安全保障の輸出」戦略、はたまた他地域に対する「ハイブリッド戦争」の展開に利用され