さいとうゆきこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大好きな児童文学作家さん、柏葉幸子さんの作品。とても温かく良いお話だった。アニメ化されたようで、人気なのも納得。
夫からの暴力から逃げてきたゆりえと、両親を亡くした萌花は偶然にも同じ場所で3.11のあの震災にあってしまう。震災自体はとてつもなく辛く大変な出来事だけれど、このふたりにとって、このことがこの後の人生を大きく良い方向に変えていくきっかけとなる。ふたりは、避難所で偶然居合わせたおばあちゃんに、嫁の結、孫のひよりとして守られることになる。そして、このおばあちゃんが不思議なおばあちゃん。カッパと知り合いだったり、お地蔵さんにお願いを聞いてもらえたりするのです。
「遠野」という地名を聞い -
Posted by ブクログ
冒頭のシーンはあの震災を思い起こさせるので、まだその話が難しい人はもう少したってから読む方が良いかも。
血縁関係もない偶然居合わせたおばあちゃんと女性と女の子が共同生活を初めて一つの家族になっていく物語。
老人介護施設に入居する為に東野から移動してきたおばあちゃん。
DV夫から逃げ出した女性。
両親を亡くし声が出なくなった状態で歓迎されていない親戚の所に預けられる為にやって来た女の子。
同じ日に着いた土地で大震災に見舞われ・・・ってかなり重い始まり方。
でも、このおばあちゃんはとても不思議なおばあちゃんで、
思いもよらない知り合いが。
成り行き上名前を偽りそんなおばあちゃんと一緒に暮らし始 -
Posted by ブクログ
この本の対象読者層は小学校中高学年?夫のDVから逃れてきたゆりえさんが夫の影に怯えながら生きていることをどう理解するのだろう。キツイ。
行く宛もないゆりえさん、両親を一度に亡くし言葉を失い、岩手県の親戚に預けられるために来たひより、そして不思議な力を持つおばあちゃんの三人は、東日本大震災のその日、避難所で出会う。
それから三人は家族として暮らし始めるが、穏やかな暮らしが、あの地震で封印されていた海ヘビが解き放たれ村は脅かされる。
遠野物語にも描かれた伝承の不思議なものたちや土地に棲む神々を巻き込んだ戦いになる。柏葉洋子さんのファンタジーの世界だ。
地震により封印が解かれることが物語として重要 -
Posted by ブクログ
敬老の日に紹介しようと「おばあちゃん」というワードから手に取った本、面白かった。
東京からさまざまな事情で狐崎にたどり着いた結とひより、そこで地震による津波に襲われる。
ふたりにたまたま同じ電車に乗り合わせただけだが一緒に避難所へたどり着くが身寄りがなく地元民ではないふたりをキワさんというおばあちゃんが助けてくれる。
まったく繋がりがない3人は狐崎のマヨイガで暮らすことになる。
震災によって封印されていたこの地の化け物が現れ人々を翻弄しようとするのをキワさんが救う。
震災後の東北で現実から逃避したように暮らす3人の様子が東北の民話を交えて進んでいく。
ハラハラドキドキ、この世の住人とは思えな -
Posted by ブクログ
ネタバレ同名アニメ映画の原作。元々この映画を観ようと思ったのは(WOWOWだけど),大好きな羊文学がテーマ曲を担当していたからでそれがなければ多分映画を観ることも原作を読むこともなかった。こういうきっかけが有り難い。
映画版の方は原作から色々改変されていた。悪く言えば俗っぽくなってるかも。避難所でおばあちゃん,山名キワさんに保護された年上の方は原作ではDV夫から逃げてきた既婚女性である。かっぱの活躍やアガメ伝説は同じだが,封印が解けて狐崎に戻ってきた海蛇が街の人を幻で操るところはちょっと違う。原作では海に引きずり込んでしまおうとしていた。街の人が会いたがってた人には海蛇が化けていて,その赤い目に何かが -
Posted by ブクログ
東日本大震災。
小学5年だった主人公・宏太は祖父母・母・兄を失い、父に引きずられるようにして故郷の岩手県宮古市から静岡県焼津市へ避難した。
それから9年が経って19歳となった宏太は、コロナ禍と就職不安で将来が見えない行き詰まりを感じながら、衝動的に焼津から宮古へ旅立つ。
すっかり様変わりした故郷には、むかし家族のように一緒に過ごした砂婆と、砂婆のかくまう少女・楓がいて、楓は謎の男に追われている様子。
状況に流されるままに楓の手助けをする宏太が、故郷の人々の優しさに触れながら、「むかし逃げ出してしまった自分」と「自分を故郷から引きはがした父」を許し、「帰ってきてもいいんだ」と思えるようになるまで