【感想・ネタバレ】岬のマヨイガのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

大好きな児童文学作家さん、柏葉幸子さんの作品。とても温かく良いお話だった。アニメ化されたようで、人気なのも納得。

夫からの暴力から逃げてきたゆりえと、両親を亡くした萌花は偶然にも同じ場所で3.11のあの震災にあってしまう。震災自体はとてつもなく辛く大変な出来事だけれど、このふたりにとって、このことがこの後の人生を大きく良い方向に変えていくきっかけとなる。ふたりは、避難所で偶然居合わせたおばあちゃんに、嫁の結、孫のひよりとして守られることになる。そして、このおばあちゃんが不思議なおばあちゃん。カッパと知り合いだったり、お地蔵さんにお願いを聞いてもらえたりするのです。

「遠野」という地名を聞いてなんか納得してしまうという、遠野という地名の持つ力の大さにも感心しつつ・・・
私はやたらと長い文章で読点がたくさんつき、やっと句点がきた~と思うような文章が苦手なので、子どもでも読みやすい短い文章が好きなのですが、その短い文章でテンポよく物語を進めながらも、伝えるべきことがしっかり伝わってくる柏葉幸子さんの文章力は、あらためて素晴らしいと思った。(←長い(笑))児童書ならでは(?)なのか、主語がいちいちしっかりしているような気がする(?)のですが、それを煩わしく思わないリズミカルな文章。
もちろん物語自体も素晴らしかったです。思わず涙ぐむ場面もあり、本当に心が温かくなった。人ならぬものの気配を感じ、それに思いをはせ、祈り、共に生きていくおばあちゃんの姿にも学ぶものがあると感じた。また、「家族」というものについても改めて考えさせられた。「血」のつながりより、「地」のつながりといった言葉を見たことを思い出した。狐崎という地で家族になった3人に胸がいっぱいになった。

0
2022年04月20日

Posted by ブクログ

いきなりの辛い話に涙が出た(T-T)遠野からきたキワおばあちゃんと、辛い事情をかかえた萌花ちゃんとゆりえさんが名前を変えて岬のマヨイガで暮らし始める。このまま徐々に幸せに…と思っていたら、封印されていた悪いものが大震災で封印が解かれて…(゜゜;)そして岩手県中の不思議なものオールスターズが登場!キワおばあちゃんって何者?(・・;)と思いつつも、身近な川のカッパさんが登場したりして嬉しかった(*^^*)最後には大変だけれども3人がいつまでも岬のマヨイガで幸せに暮らして行けそうで、嬉し涙が…(´_`。)゙

0
2021年01月08日

Posted by ブクログ

冒頭のシーンはあの震災を思い起こさせるので、まだその話が難しい人はもう少したってから読む方が良いかも。
血縁関係もない偶然居合わせたおばあちゃんと女性と女の子が共同生活を初めて一つの家族になっていく物語。

老人介護施設に入居する為に東野から移動してきたおばあちゃん。
DV夫から逃げ出した女性。
親を亡くし声が出なくなった状態で歓迎されていない親戚の所に預けられる為にやって来た女の子。
同じ日に着いた土地で大震災に見舞われ・・・ってかなり重い始まり方。

でも、このおばあちゃんはとても不思議なおばあちゃんで、
思いもよらない知り合いが。
成り行き上名前を偽りそんなおばあちゃんと一緒に暮らし始める女性と女の子。おばあちゃんのおかげで様々な不思議な体験をし、家族として絆を深めていきます。
地元の人達にも受け入れられ、おばちゃんの不思議な知り合い達とも仲良くなり、ある困難に立ち向かいます。

悲しい事もあるけどほっこりする体験も沢山。
こんな不思議なおうちに住めたら面白そう。 

0
2016年08月08日

Posted by ブクログ

ある日、津波にあい、避難所にやって来た萌花とゆりえ。
命は助かったが、身元を聞かれて困惑する二人。そこへ救いの手をさしのべたのは、一人のおばあさん、山名キワだった。
そこから、女三人の不思議な生活が始まる。

私はこの本を読んで、津波で起きる奇跡はあるんだ!と思った。津波は、こわいイメージだけど、こんな共同生活が生まれるとは、思いもしなかったからだ。

ぜひ、みなさんも読んでほしい。

0
2016年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

児童書なのだが、読み始めると登場人物の人物背景はかなりシビアな設定で、DV被害にあい逃げてきた女性、両親を亡くし声をなくし親戚に預けられる予定だった少女、そしてとどめは町を呑み込む巨大な津波。救いなのは遠野から来た山名キワさん。随所に遠野の民話を盛り込みながら、そして遠野をそのまま体現する不思議で頼れるお婆ちゃん。河童や狛犬、座敷童、ふったち、マヨイガ等が登場しファンタジー色をなしながらも悲しさと建設的な内容を両立させた物語。若干「52ヘルツのクジラたち」を思い出してしまった。

0
2023年10月22日

Posted by ブクログ

この本の対象読者層は小学校中高学年?夫のDVから逃れてきたゆりえさんが夫の影に怯えながら生きていることをどう理解するのだろう。キツイ。

行く宛もないゆりえさん、両親を一度に亡くし言葉を失い、岩手県の親戚に預けられるために来たひより、そして不思議な力を持つおばあちゃんの三人は、東日本大震災のその日、避難所で出会う。
それから三人は家族として暮らし始めるが、穏やかな暮らしが、あの地震で封印されていた海ヘビが解き放たれ村は脅かされる。
遠野物語にも描かれた伝承の不思議なものたちや土地に棲む神々を巻き込んだ戦いになる。柏葉洋子さんのファンタジーの世界だ。
地震により封印が解かれることが物語として重要だったのだと思うが、震災の余りに悲惨な現実とファンタジー世界がぶつかり合って消化できない感じがする。
その土地に棲むものたちと人が繋がりを持つ物語は好きだし、新たな家族の繋がりの物語として心に沁みた。

0
2023年01月24日

Posted by ブクログ

年間100冊以上読む長女が小学3年生の時に「面白いから読んでみて」とはじめて薦めてくれた本です。

妖怪が出てきたりと、少し現実離れした不思議な話ですが、震災や登場人物が抱える苦しい背景と、子供の本でありながらワクワクと苦しさが同居しています。

0
2023年01月18日

Posted by ブクログ

敬老の日に紹介しようと「おばあちゃん」というワードから手に取った本、面白かった。
東京からさまざまな事情で狐崎にたどり着いた結とひより、そこで地震による津波に襲われる。
ふたりにたまたま同じ電車に乗り合わせただけだが一緒に避難所へたどり着くが身寄りがなく地元民ではないふたりをキワさんというおばあちゃんが助けてくれる。
まったく繋がりがない3人は狐崎のマヨイガで暮らすことになる。

震災によって封印されていたこの地の化け物が現れ人々を翻弄しようとするのをキワさんが救う。
震災後の東北で現実から逃避したように暮らす3人の様子が東北の民話を交えて進んでいく。
ハラハラドキドキ、この世の住人とは思えないキワおばあちゃんがいい。

マヨイガ、迷い家、知らなかった。
3人の永遠のマヨイガであって欲しい。

0
2022年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同名アニメ映画の原作。元々この映画を観ようと思ったのは(WOWOWだけど),大好きな羊文学がテーマ曲を担当していたからでそれがなければ多分映画を観ることも原作を読むこともなかった。こういうきっかけが有り難い。
映画版の方は原作から色々改変されていた。悪く言えば俗っぽくなってるかも。避難所でおばあちゃん,山名キワさんに保護された年上の方は原作ではDV夫から逃げてきた既婚女性である。かっぱの活躍やアガメ伝説は同じだが,封印が解けて狐崎に戻ってきた海蛇が街の人を幻で操るところはちょっと違う。原作では海に引きずり込んでしまおうとしていた。街の人が会いたがってた人には海蛇が化けていて,その赤い目に何かが当たると消えてしまうというのは映画では描かれていなかった。そして最後にマキリで海蛇を退治したのは猿の「ふったち」だった。映画で言っていた「フシギット」なんて言葉は原作には登場しない。最後にユイママがいつまでも隠れて逃げ回るのはやめて東京の夫とちゃんと話をして離婚する,日和のおじさんも探して話をつける,と宣言したのはとても良かった。総じて原作のほうがしっかりと書かれていると感じた。
色々違いはあるが物語の大筋は同じでとても良い話だった。映画も原作もそれぞれに楽しめるので良いと思う。

0
2022年08月04日

Posted by ブクログ

東日本大震災を題材にしたであろうファンタジー。
残った人たちへの、力強く生きてほしい、負けないでほしいというメッセージを感じました。
現実にあったことや作者のメッセージが強く感じられますが、東北の妖怪や伝説が出てきたりとファンタジー要素も多めなので、重くなりすぎず読みやすかったです。

0
2020年10月29日

Posted by ブクログ

これもYAブックガイドから。立て続けに読むの巻。遠野物語を3.11に絡めて、っていうファンタジー。妖怪好きにも楽しめる作品だったけど、どうしても気になった点が…。ママの旦那、避難所にちらっと探しに来ただけで、すぐに諦めて帰ったの??ここまで来たってことは、それなりの確信をもって訪ねているんだろうし、そんなにすんなり諦めますかね?子どもの叔父さんの方は、幻覚でしか登場しないのに…。最後の場面の布石ってのは分かるけど、それにしても、結構物語の主軸に近い部分だけに、見逃せない瑕疵に思えてならんかった。

0
2020年08月24日

Posted by ブクログ

震災のとき偶然に一緒に居合わせ、そのまま一緒に暮らすことになったおばあさんと女の人と女の子。それぞれ事情を抱えた3人が、震災後の狐崎で一緒に生きていく。

震災という現実に起こった災害に、遠野の不思議な物語がうまく組み合わされ、暗くも重くもない素敵なお話になっている。前半は、ひよりたち3人の生活に焦点があてられ、後半は遠野の昔話や不思議なひとたちが中心になって、どんどん物語の世界にひきこまれていく。おもしろかった。実際の出来事と物語の世界がとてもきれいに溶け合っていると思った。

0
2017年01月04日

Posted by ブクログ

震災を絡めたお話です。作者の方が、頼まれて書いたって聞きましたが、どうなのでしょう。
直接体験された方は、いろいろ思うところもあるでしょうが、わたしは好きなお話でした。
辛い経験も背負っていかなくてはならないけれど、それを過去として、未来をどう生きていくか。選ぶのは自分自身以外にはいないんだなと。
おばあちゃんが素敵でした。

0
2016年10月23日

Posted by ブクログ

大好きな柏葉幸子さんの児童書。女流児童書作家、水木しげる版というか、お話の中に、よく、昔からの不思議なものが出てきます。今回は震災後の岩手の話で、最初読み終えられるか心配だったけれど、わたしにとっては、良いリハビリになりました。
最近は、主人公がおばさんだったりすることも多くて、やはり、読者も一緒に年齢を重ねてるのかなぁと。

0
2016年03月02日

Posted by ブクログ

おそらくあの津波のあと、岩手の昔話や民話をモチーフに書かれた作品。
清き良き雰囲気のあるとこが素敵。
赤目の方は一方的に悪者扱いなのが残念。
世界中にある土着を新参者が駆逐したあと、土着が悪だったようにされるパターンのような。

0
2021年12月12日

Posted by ブクログ

あの日、両親を亡くした萌花は会ったこともない親戚にひきとられるために、そして、ゆりえは暴力をふるう夫から逃れるために、狐崎の駅に降り立った。彼女たちの運命を変えたのは大震災、そしてつづいて襲った巨大な津波だった。命は助かったが、避難先で身元を問われて困惑するふたり。救いの手をさしのべたのは、山名キワという老婆だった。その日から、ゆりえは「結」として、萌花は「ひより」として、キワと三人、不思議な共同生活が始まったのだ―。

0
2020年01月13日

Posted by ブクログ

『ビブリオバトルへ、ようこそ!』で紹介されていたのでまんまと読んでみたのだけど、いやあ、おもしろかった。
介護施設に入所する予定だったキワさん、夫の暴力から逃げてきたゆりえ、両親を亡くして親戚に引き取ってもらうところだった萌花。大きな津波が襲ったその日、遠野の近く、狐埼で偶然居合わせた三人は家族として生活を送り始める。
認知症だと言いながらなにもかもわかっているようなおばあちゃんは、三人が暮らす古家を整えたり、昔話を語ったり、とても頼れるのだけれど、なにやらふしぎな友達がたくさんいて…。
「津波のあの日」から始まる物語だったので、読みだしたときは少しどきりとしたけれど、そこから一つの家族のかたちが出来上がっていくのがとてもすてきだと思った。
おばあちゃんはどこか謎めいているけれど、このまま穏やかに進んでいくのかと思いきや、まさか妖怪たちが登場するとは!
海ヘビの必死さはどこか胸に痛かった。
あと伏線回収が大好きなので、コミセンに取りに行ったシーンで「ああ、やっぱりここはそうですよね!」とテンションが高まってぐっときた。
最後、私も「行ってしまう」のかと思ったけれど、この終わり方すきだ。

0
2017年10月14日

「児童書」ランキング