野崎浩成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10年ぐらい前に証券アナリストをしていた人なら著者を知らない人はいないと思う。
銀行セクターのトップアナリストでいらっしゃった。
この本を表現するなら、
自分が大学でファイナンスの授業を担当するなら教科書にしたい
本。
ファイナンスの教科書はこの本で言うならPart2以降にフォーカスされがちだけど、実はPart1がこの本のいいところだと思う。
通貨、金融機関、金融システムの古から現代にかけてを丁寧に記述している。
メガバンクがもと何だったかわからない人、例えばかつての勧業角丸証券が今何になっているか知らない人、多分いると思う。
そんなことは知らなくても困らないけど、この辺りは読み物として -
Posted by ブクログ
地銀の置かれている状況および現在に至るまでの経緯が理解できる。リーマンショックやコロナに日本の金融機関が耐えられたのは、20世紀末の金融危機を経て、小泉・竹中構造改革による公的資金投入、自己査定・貸倒引当金の導入、および時価会計の導入で財務諸表をきれいにしてきたことが大きかった。一方で、地銀の収益源は縮小の一途であり、結果貸出先を失って資金利益に頼るようになる。そうなると市場が荒れると収益源を失い、赤字転落するリスクがある。
そうならないために、いわゆる業務純益を上げるための取り組みが必要で、それは徹底的なコスト削減であり、地元企業への資金繰り支援である。コスト削減の方法は地銀間の統合・連携に -
Posted by ブクログ
現在の経済の問題点として「格差の問題」、「地球環境の問題」を挙げ、経済成長前提の経済には無理があると指摘し、これからの経済は「仏教経済学」や「定常経済」の考え方を取り入れるべきだと主張する。そして、金融の観点から議論を深め、新しい金融のかたちとして「仏教ファイナンス」を提言している。
経済や金融の仕組み、仏教経済学とはどういうものかという解説は非常にわかりやすく、現在の経済についての認識や、持続可能性を重視した経済に移行すべきという考え方には共感した。ただ、大風呂敷を広げた割には、具体的な提言は、どちらかというとシャビーなものが多く、結局、精神論的な議論から抜け出せていないような気がした。
金