アン・レッキーのレビュー一覧
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叛逆航路」シリーズ完結編。
前作で明らかになった巨大な陰謀。それは最強国家プレスジャーとの間で結ばれた停戦合意が破棄されるほど危険な行為だった。
プレスジャーはとても強い。ということをなんとなく匂わせてくるが、どれくらい強いのか、どんな宇宙人なのか、は実はよくわからない。無敵の皇帝アマーンダを倒せる唯一の武器を造れるほどの科学力なので、皇帝もプレスジャーのことを最も恐れている。まともに戦えば100%負けるいうことは過去の戦いから明らかだったから、停戦条約を結んだのだけれど、プレスジャーがなんでその申し出に乗っかったのかは実はわからない。価値判断の基準がそもそも違うようだ。まあ宇宙人だか -
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「叛逆航路」シリーズ第2弾。
前作の最後で皇帝アマーンダに艦隊の司令官に任命されたブレクは、宇宙の辺境のにある閉鎖された星系間ゲートの調査に向かう。
ゲートを管理しているのは宇宙ステーションAI。このステーション内の住民は茶の栽培などで生計を立てている。いわゆる農村地域で、貧しい人が多いのだが、一方で富裕層もいる。居住地域は異なり、富裕層はステーションの上部。貧困層や、アウトロー的な生き方をしているの人たちは‘’アンダーステーション‘’で暮らしていた。
皇帝の勅命できた司令官ブレクを支配層は歓迎するが、星間国家間で結ばれた重要な停戦条約に違反する、ある重大な秘密を隠していて、それが -
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アメリカの作家アン・レッキー、2014年発表の小説。宇宙が舞台のSF3部作の3作目、完結編です。前2作に劣らず素晴らしい作品。完璧です。
多くの星々を従えるラドチ帝国での物語り。三千年に渡って多数のクローンとして存在していながらなおかつ一個の人格であった皇帝、その皇帝によって破壊された戦艦のAIの一断片が人間の姿をとっているのが主人公です。
皇帝のクローンたちが分裂、内戦に陥ったラドチで、一方の側の皇帝から艦隊司令官に任命され辺境の星系の守護任務に就いた主人公のブレク、本作では敵方の皇帝の艦隊と対峙することになります。しかし本心はどちらの皇帝にもつくつもりのないブレク、様々な政治的駆け引きを -
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スペースオペラになるのかな?ラドチという専制国家が宇宙の殆どを支配し皇帝が独裁的権限を持っているが、主人公がたった一人で叛逆に挑む。主人公ブレクは元は航空母艦「トーレンの正義」のAIであり、アナーンダの分裂により母艦を失い端末部分である「属躰」1体だけが生き残り復讐を誓う。
設定は凝ってる。面白い。スターウォーズのような派手なドンパチは全く無いが、ストーリーで読ませる。クライマックスは一応宇宙船外の撃ち合いなんだが、光線銃が出てくるだけでもなく、いわばこじんまりした闘いだ。それでもこれだけ読ませるのだから凄い。
この小説の為だけの造語が多くて慣れるまでは戸惑う。ご丁寧に末尾に用語辞典まで付いて -
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アメリカの作家アン・レッキー 2013年発表の小説。デビュー長編にして英米のSF文学賞7冠、受賞数で「ニューロマンサー」超えたということですが、「ニューロマンサー」のような革新的な作品ではなく、宇宙を舞台にしたわりとオーソドックスなSF作品。。
元巨大戦艦のAIで今は一個の人間の姿になっているブレクが主人公。わけあって辺境の星を流離っています。かつては戦艦であると同時に人間を元に作られた数多の「属躰」を操る無敵の存在であったのが、なぜ一個の「属躰」だけの存在になってしまったのか、過去と現在を交互に語りながらブレクの旅の物語りが描かれて行きます。
強大な帝国の専制君主、多数の分身を持つ皇帝への -
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あなたが、まだ前の2作を読んでいないのなら、そこから始めることをお勧めします。
きっと<叛逆航路>シリーズは、三部作というより超長編SF小説なのでしょう。
「素晴らしい想像力をお持ちの方」以外は、ぜひ順番に読んで。
さて、三部作最終話『星群艦隊』。
派手目なアクションシーンも加わり、ラドチ皇帝アナーンダとの対決はいよいよクライマックスの盛り上がりをみせる。
さらに前作で謎だったゲートの向こうに潜む影が、徐々に明らかに……。
特にこの編で、人の話の中だけではなく「通訳士」という実態で登場する「蛮族(エイリアン)プレスジャー」の存在が、ものすごく重要になる。
プレスジャーとの条約は「人類は意義あ -
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「それは正義といえるのか?」
SFでありながら、シェイクスピアのようでもあり、アガサ・クリスティでもある。
前作『叛逆航路』同様にレトロな香りのする日本語題名、原題は《Ancillary sword》、第1作に比べてスケール感は縮小するも、相変わらず独特の世界観で読む人を引き付ける。
特に“ジェンダーを区別しない”文章表現への試みは、現代のジェンダー問題を主張するというより「当たり前となったときの状況」がよく描かれている。
舞台となるアソエク星系では「アーナンダ同士の分裂抗争」により星系間ゲートが閉ざされ混乱が生じている。主人公ブレクは艦隊司令官として、自身が《トーレンの正義》だったころ -
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はぐれAIの物語
邦題『叛逆航路』とはえらく昭和の香りのするタイトルだが、原題は〈Ancillary(隷属する)Justice (正義)〉と、随分と意味深。
物語は「ラドチ」という専制国家が広く銀河を支配している時代で、中世ヨーロッパの様な閉塞感漂うスペースオペラファンタジー???
主人公のAIはなぜ身分を隠し「ヒト」として辺境の星を彷徨ってるのか……
相棒?のセイヴァーデンの存在が、物語のちょとしたスパイスとなっている。
後半になって、やっと民族、習慣、宗教、社会情勢などの世界観?に慣れてくる。
たしかに面白い。三部作、さあどうするか……。