芳川泰久のレビュー一覧

  • 先生の夢十夜

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    こんな夢をみた。
    『夢十夜』を含め、『吾輩は猫である』『こころ』『それから』も登場人物の名前や特徴は憶えていても物語の詳細は忘れてしまっていて、また読み返してみたくなりました。
    猫好きなので、『吾輩』が大活躍で楽しめました。
    主人(夏目漱石)に対して「語り手が死ねば小説が終わるという根性が小説家としていかにも志が低い」「小説の最後に甕を用意して殺すとは非道いではないか」などと弾劾するラストがとても良い。成仏出来て良かったねと読後感はスッキリ。

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    2017年03月31日
  • ボヴァリー夫人

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    ネタバレ

    レオンとの関係が冷め、しかし借金はかさみ、のっぴきならなくなり、薬剤師の鍵付き倉庫を開けさせて、無理やり砒素をあおる。
    自らが招いた、破滅。
    夫である医師シャルルは、後に、手紙を発見し、妻の不倫を知る。その後しばらくして亡くなる。

    前半は、退屈で、挫折しそうになった。後半から急に話が動き出し、次第に追い詰められていくエンマの様子に夢中でページをめくった。エンマが亡くなって即、物語が終わると予想していたんだが、その後の描写も予想外に長かった。そして、あっけなくシャルルが亡くなったのには、ビックリ。

    あとがきを読んでビックリしたのは、実際にあった話を元に小説が書かれた、ということ。こんなことが

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    2025年04月15日
  • ボヴァリー夫人

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      主人公エンマは自分が既に持っているもの、手を伸ばせば届くものには幸せを見出さず、だからこそ遠くにあるもの、かけ離れたもの、失ったもの、身分不相応のものを追い求める。その気質は奇しくも彼女の忌み嫌う市民的な平凡さそのものとして描かれているように感じた。おそらくフローベールもそのように意図して書いているのだろうと思われた。
     対して夫シャルルには特別の同情を禁じ得なかった。ただただ可哀想だった。
     また文体や自然描写は悪くはないけれど、一文一文が長くて難解なため、もう一回読まないと全然分からないと思う。フローベールは自由間接話法を初めて小説に取り入れたとされているそうだ。私は語り手と登場人物が

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    2024年03月19日
  • ボヴァリー夫人

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    田舎の退屈さに倦む恋多きエンマの破滅への道。つけ入るロドルフ、レオンはやがては退いてしまう。狡猾なルルーに莫大な借金を負わされ服毒する。献身的な夫シャルルが哀れ。推敲を重ねた文体からの翻訳が馴染まないのか読み終えるのに随分かかったが満足。2023.3.21

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    2023年03月21日
  • ボヴァリー夫人

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    途中棄権。ストーリーの流れよりもその場その場の情景描写が緻密すぎて、読んでいて少し疲れました。さっと脳に入ってこない。翻訳だから仕方ない部分もあるし、もちろんこれがこの作品の凄さの一つなんだろうけど。話がずっと足踏みしてなかなか進まない印象。あまり物語に入り込めませんでした。

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    2021年02月27日
  • ボヴァリー夫人

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    翻訳が馴染まないと思って読んでいた。解説に、著者と同じ読点を使ったと書いてあり納得。原文の雰囲気を取るか、日本語にした時の自然さを取るかは難しいところだ。ボヴァリー夫人も、もう少し落ち着いた口調の方が合うのではとか、物語以外のことをたくさん考えてしまった。海外文学は翻訳で登場人物のパーソナリティも全てが変わる。他の翻訳も読んでみたいと思った。

    鹿島茂の本に、ボヴァリー夫人は3人いる、と書いてあった。そういえば、初めの方に何人もボヴァリー夫人がいて混乱した。シャルルの母、最初の妻、後の妻だ。この3人が凡庸なシャルルを成功させようとする物語という見方もあるという論に、本作の深さを感じた。

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    2020年04月26日
  • 坊っちゃんのそれから

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    ネタバレ

    東京に帰った坊ちゃんと山嵐のそれからのを描いている。社会情勢を取り込んで数奇な人生を送ったように描いている。楽しめる読み物だ。

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    2017年12月28日
  • ボヴァリー夫人

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    情熱的な恋を夢みるボヴァリー夫人(エンマ)の物語です。夫シャルルは優しくて一途で、エンマも彼のことを好きになれたら普通の幸せを手に入れることができたのだろうと思います。
    けれども現実はそうはいかず、エンマは浮気をし、莫大な借金を抱え、服毒自殺をしてしまいます。エンマは幸せを追い求め続けていましたが、決して幸せだとは思えませんでした。彼女にとっての幸せとは何だったのか、よくわかりませんでした。

    また、解説を読んで、フローベールが「自由間接話法」を用いて「神の視点」を排除したと知りました。この“表象の革命に値する(p656)”話法には、感心しました。

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    2017年07月08日