諸星裕のレビュー一覧
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いつもの諸星先生の持論が展開されており、特に目新しい話はないのだが、数年前からこれだけ主張されていても、結局改善できなかったり、実際に学生募集停止になる大学が出現してしまうというのは、それだけ大学という組織が変化しにくいということなのだろうか。
打つ手はありそうな気がするのだが。
しかし、以下に思い当たる点が多過ぎる。
大学が独自の「ミッション」をもっていない
大学経営が未熟で、マネジメント力が欠如している
学部教授会の権限が強過ぎることの弊害、および高過ぎる学部の壁
(権限が強い訳ではないのだが経営への文句は多い)
大学教員の「教育者」としての職業意識の欠如
職員 -
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ネタバレアメリカの大学行政に長く携わってきた筆者の経験から語る部分も多いが、それ以上に論理立てて大学が破綻するまでの背景と経過をきちんとまとめられており、大学に関係する人にとってはとても衝撃的かつ現実的な事象もたくさん含んでいることに気づく。
世界レベルの研究大学、本当の意味での教養人を養成する大学、全入時代を明確に意識した大学の3つが、今後の日本に必要な大学だとまとめているが、すべてを達成するのは難しい。いずれかひとつに焦点を絞りながら、その大学の個性をいかに「入学者」「地域」にとって有用な存在であるように、大学は進化を遂げなければならないことは、自明の理ではあるものの知られていないかもしれない -
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教育評論家の尾木直樹先生と、長くアメリカで教授をし現在では桜美林大学の名誉教授を務める諸星裕先生の、大学教育へ向けた対談集。
日本の大学ではいま驚くべき現象が起きている。便所飯、モーニングコール、初年時教育などだ。大学側が学生を「お客様」として扱い、教育しようという意識が低い。学生側にも問題がある。いつまでも自立しない子どもたち。大学教育はどうあるべきか。TVでも有名な、ふたりの教育者が語る。
非常に読みやすく、勉強になる本。3時間ほどで読むことができた。海外での大学のとらえ方の件なんかは特にいい。北欧では高校を出て一端社会に出てから学びたいことがでてきたら大学に入るし、イギリスでは合格が -
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刊行されたのは今から9年前になるから、もう古い内容なのかなと思いつつ手に取った。でも全然そんなことないと思う。少なくともおととし1年間大学に通ってた身としては、いくつか共感できるところがあった。結局人間関係が何より大事で授業は二の次、雰囲気的にも高校の続きみたいだなと思ってたし。
個人的な話だけど、もう1度別の大学に行くことを許してもらえた。
大学は受かるのがゴールじゃなくて、受かってからどんな自分になるのかが大切なんだと痛いほど実感している。やりたいことを貫いて精神的に自立した人間になるために、これからの生き方をしっかり考えていきたいと改めて思った。 -
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大学経営の専門家による大学論。確かに各大学は自分たちが提供できる価値を明確にし、そのミッションに合致したカリキュラムを提供すべきとの説には説得力がある。
ただ大学で中学・高校レベルの教育を行うことをミッションにするのはどうなんだろう。そんな大学でも金さえ積んで卒業できれば大卒として遇される。一方で経済的な理由で進学を諦めざるを得なかった生徒は、いくら優秀でも高卒として人生の選択肢が狭められる。
はっきり言って、出ても出なくてもいいような大学が多すぎないか?そういう何の役にも立っていない大学の存在が学歴社会を助長する側面があるのだとすれば、無いほうがましである。『勉強ができない子』を無理やり大卒 -
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いまや大学が潰れる時代になった。
少子高齢化という背景もある中で、ビジネスとして、あるいは教育として、
学生も、教員も、大学職員も、何を考えていくべきかが端的にまとめられている。
キーワードは「ミッション」を持つこと。
大学によっては研究者要請を主眼にしても良いし、
あまり勉強面で芳しくない学生を教育して社会人として使い物になるようにする、
ということを中心にすることもありうる。
「できすぎる学生は要らない」と言えるようなミッションを打ち出せることが、
大学ごとの個性のアピールの仕方であり社会への責任となる…というのが概要。
他にも、今後、大学教員や職員に求められるであろう資 -
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大学の経営について書かれた本。
著者の説いている日本の大学が抱える「致命的欠陥」とは
1)大学が独自の「ミッション」を持っていない
2)大学経営が未熟で、マネジメント力が欠如している
3)学部教授会の権限が強すぎることの弊害、および高すぎる学部の壁
4)大学教員の「教育者」としての職業意識の欠如
5)いわゆるAO入試への誤解などにより、学生選抜のメカニズムが機能していないこと
6)学生のニーズにマッチした授業が出来ていないこと
7)客観的な成績評価システムがないこと
8)大学が地域の財産になっていないこと
であり、これらの項目について見解が述べられている。
大学は、もっと代わらなければなら -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学の生き残りのために,各大学のウリを差別化して絞り込み,昔ながらの「旧帝大型モデル」からどう脱却するか,というのが問題。
日本に今あるという700だか800だかの大学すべて(短大・単科大ふくむ)が,ノーベル賞を狙える研究者を育てます,というような研究大学である訳がなく,そうである必要もない。大学生人口とその後の生き方を考えれば,社会に出て良識ある仕事人,家庭人になるように,一定の読み書きそろばん能力や社会常識を学生の身に付かせます,と言い切る大学群があってしかるべきで,大学はもっとそういう現状にあった使命を自覚して,運営されるべきだというのがこの本の提案する解答。
まあ確かにその通りだろう, -
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大学。そこは学問を究めんとするものが敬意と羨望の眼差しで見つめ、そして目指す最高学府。『知の巨塔』とも言わんが如く聳え立つ様は、まるで強い志を持つ者にのみその門が開かれるよう。最高学府であるが故に集められた英知の数・規模は果てしなく、そこから生み出される様々な成果は、後の社会・科学への貢献となり、人類の多大なる貢献と明るい未来が約束される。それ故、全ての者が容易に触れられる存在ではなく、類稀なる能力と知性を持つ者のみが、その地に足を踏み入れることが許される。
なんていうイメージを持つ大学像も、もはや今は昔。少子化と海外の大学への知力の流出の煽りを受け、今やどこの大学も志願者・入学者は減るばか