佐野雅昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本著は、日本漁業の構造的問題を鋭く突いた前著から10年を経て上梓された、著者の第2作である。私自身が前作を読んでいないため、これは想像のになるが、前著がマクロな視点からの問題提起であったとすれば、今作はそこから派生した個別具体の課題を掘り下げた「各論」としての性格が強いのではないか。そのため、一見すると論点が多岐にわたり散漫な印象を受けるが、それは変革期にある漁業現場の複雑さを反映しているとも言えるだろう。
内容は一貫して、近年の官邸主導による水産改革(漁業法改正など)に対し、批判的論考が目立つ。著者の立ち位置は、既存の漁協組織や漁師の営みを、単なる効率化の対象ではなく、地域社会を支える不可 -
Posted by ブクログ
水産庁を経て大学の水産学部の教授になった筆者が、漁業と流通に関わる問題を論じている。
タイトルが「日本人が知らない」である。確かに、農業に比べれば漁業に関する書籍は少ないと思う。著者は数々の規制撤廃や認証制度などに対し、根拠を示しながら一部反対の立場を取っている。こうした制度のメリットも認めつつも「そんなに単純じゃない」と批判と対案を示している。認証制度は一部企業による利益誘導の手段である、という言及は全くその通りだと思う。
流通業に関わる者として耳の痛い話題もある。流通側の効率重視の姿勢が日本人の魚離れを助長してしまっているようだ。魚の「目利き」による品揃えをしている企業が支持を得ており