【感想・ネタバレ】日本漁業の不都合な真実(新潮新書)のレビュー

あらすじ

日本漁業が危うい。担い手は減り続け、生産量は40年前から7割減、30年後には漁業者がいなくなり、日本人の食卓から国産魚が消えるという声もある。中国との漁獲競争、温暖化による環境変化、エネルギーコスト上昇など、かつて世界一の漁獲量を誇った漁業を取りまく状況は極めて深刻だ。輸出拡大や企業進出、資源管理など、国が進める水産業改革は本当に有効なのか――漁業と魚食文化を守るために、渾身の論考!

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Posted by ブクログ

 世界全体で進みつつある食料不足は、今後確実に深刻化します。今や食料問題は重大な安全保障問題です。今の日本を攻撃するのにミサイルや戦車は必要ありません。軍事攻撃や領土の侵害といった、仕掛ける側が国際的に孤立しかねない行動を取らずとも、 日本に肥料や種子や飼料を売らなければいいのです。これなら軍事同盟である日米安全保障条約も発動しません。肥料や種子の輸入が止められれば日本の農業は1年と持たずに崩壊し、国民は飢え、日本の社会は内部崩壊するでしょう。軍事的侵略行動より食料貿易における禁輸措置のほうがはるかに実行へのハードルが低いと思われます。


 筆者の研究室には毎年、欧州諸国から留学生がやってきます。2024年にはドイツとノルウェーから3名の留学生を受け入れました。ドイツ人留学生はベジタリアンで、「畜肉の消費は環境に良くないから」というのが理由でした。また同時期に逆にドイツに留学した日本人学生もいたのですが、ドイツの大学食堂で肉料理を食べていると冷ややかな視線を浴びることが多く、否応なしにベジタリアンになってしまったといいます。 ドイツの統計では、ベジタリアンやヴィーガンなど環境に配慮して食生活に制限をかけている人が人口の1割以上いるそうです。そこまで行かなくても、畜肉を食べることが環境に負荷をかけるのはすでに常識で、多くの若者が意識して畜肉の消費量を落としているといいます。
 同じ畜肉でも、牛肉と豚肉、鶏肉では地球環境への負荷がかなり違います。国立研究開発法人である農研機構の調査によれば、牛肉の生産時に排出される温室効果ガスは、 同じ重量の豚肉の4倍、鶏肉の10倍以上です。焼き肉を月一回我慢してその代わりに焼き鳥を食べるだけでも地球温暖化対策に貢献できるのです。これなら負担感もなく、簡単で効果のある取り組みだと思います。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

タイトルは扇情的なきらいがあるが内容自体は、法学部卒の銀行家から転身して水産業にまつわる研究を行うに至った筆者の漁業推進論。肩入れは立場上避けられないだろうが、社会的共通資本としての保全のあり方や、食料安全保障上の必要制などは頷く部分も多い。

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

現状把握と問題提起。政策における主流の考え方である新自由主義が、日本の漁業に与える影響について、筆者のこれまでの経験や知見を踏まえて論じている。
特に現政権が養殖を成長戦略にも挙げているが、技術があれば漁業が守られるのか、食料安全保障が成り立つのか、本書はその一助となるだろう。

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2026年04月25日

Posted by ブクログ

本著は、日本漁業の構造的問題を鋭く突いた前著から10年を経て上梓された、著者の第2作である。私自身が前作を読んでいないため、これは想像のになるが、前著がマクロな視点からの問題提起であったとすれば、今作はそこから派生した個別具体の課題を掘り下げた「各論」としての性格が強いのではないか。そのため、一見すると論点が多岐にわたり散漫な印象を受けるが、それは変革期にある漁業現場の複雑さを反映しているとも言えるだろう。

内容は一貫して、近年の官邸主導による水産改革(漁業法改正など)に対し、批判的論考が目立つ。著者の立ち位置は、既存の漁協組織や漁師の営みを、単なる効率化の対象ではなく、地域社会を支える不可欠なインフラとして捉える「現場主義」に根ざしている。養殖業や海業の推進など、拙速な市場原理の導入が、長年培われた漁業秩序を破壊しかねないという著者の警鐘は、持続可能な一次産業のあり方を考える上で極めて示唆に富む。

一方で、批判の矛先が行政側に偏っている感は否めず、提示された論理を鵜呑みにすることには慎重でありたい。背景知識を補完するためにも、水産庁の公的データや、異なる立場(市場開放推進派など)の論考をあわせて参照し、多角的な視点から日本漁業の進むべき道を検証していく必要があると感じた。

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2026年02月20日

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