あらすじ
マグロやウナギが規制されると、日本の食文化が守れない? そんなの漁業の本当の危機じゃない。年々衰退し続ける漁の現場、揺らぐ卸売市場流通、定番商品ばかりの小売の店頭、ブランドや養殖への過剰参入、的外れの政策のオンパレード、そして失われゆく魚食文化……新聞やテレビでは報じられない、日本漁業を取りまく深刻な構造問題を気鋭の水産学者が徹底検証。余命数十年ともいわれる漁業と魚食の今とは――。
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Posted by ブクログ
p97以下の「卸売市場システムは近代の傑作」は日毎に季節毎にめまぐるしく変化する水産資源を安全に効率的に消費する素晴らしいシステムであることを分かりやすく述べている.それぞれの段階でプロが的確な判断をしている.大手スーパーの考える画一的な消費形態とは全く異なる発想だ.HACCPに代表される欧米由来の安全性認証システムは、それに携わる人がプロでないことを前提にしたもので、日本の卸売市場とは全く別物だとの指摘は的を射ている.
Posted by ブクログ
苦い認識とともに、希望が語られている。
(2015年07月14日)
「雑魚こそ可能性はある――あとがきに代えて」
を読みました。
あー、いい本だな。
いや、涙が出てきた。いい「あとがき」です。
(2015年06月11日)
「読売新聞」(2015年04月19日付朝刊)で、
濱田武士先生が紹介しています。
(2015年04月19日)
Posted by ブクログ
日本人も2008年を境に魚介類より肉類の摂取量が多くなったのかぁ。食生活のガイジン化はもちろん感じるけど、若い世代がこれほど魚を食べなくなってるとは。家庭では魚をさばかず、スーパーでは年中代わり映えのしない刺身パックが並ぶ。サンマとか丸焼きしても、食べなれていない若者は骨を除くのが下手で、面倒だし食べ残しが汚くて嫌厭する。食卓でも、弁当のおかずでも、回転寿司に行っても、輸入もんのサーモン、サケばっかし食ってる日本人ねぇ。水産物の流通をめぐり、漁業者、漁協、卸売、小売そして消費者それぞれの問題を改めて学ぶ。
Posted by ブクログ
水産庁を経て大学の水産学部の教授になった筆者が、漁業と流通に関わる問題を論じている。
タイトルが「日本人が知らない」である。確かに、農業に比べれば漁業に関する書籍は少ないと思う。著者は数々の規制撤廃や認証制度などに対し、根拠を示しながら一部反対の立場を取っている。こうした制度のメリットも認めつつも「そんなに単純じゃない」と批判と対案を示している。認証制度は一部企業による利益誘導の手段である、という言及は全くその通りだと思う。
流通業に関わる者として耳の痛い話題もある。流通側の効率重視の姿勢が日本人の魚離れを助長してしまっているようだ。魚の「目利き」による品揃えをしている企業が支持を得ており、消費者の嗜好の変化よりも「美味しくないから魚を食べない」人が増えていることが裏付けられる。一消費者としても美味しい魚をもっと食べたいとも思うが、しかし日々の忙しさの中で肉より手間がかかる魚に手が伸びにくくなっているのも現実だ。
読んでいて魚を無性に食べたくなる一冊。しかし、鮮魚を買い、調理する時間が無いのが残念。