長崎夏海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『クリオネのしっぽ』の続き。前の話では大人しくて芯が強いという印象だった唯の視点で語られる。母子家庭で家事をこなし、弟の面倒も見なくてはならない、いわゆるヤングケアラーとしての問題を抱えている。(そういえば前作での美羽も、精神的な母親の心配をするという意味でヤングケアラーだった。)それでも良い姉でいることで安定を得ていたが、サッチによって変化を迫られる。サッチというキャラクターは危ういけど、つくづく面白い。大雑把なところと細かいところがないまぜになっている。本作が遺作ということで、彼女たちの今後について語られることがないのは、ちょっと残念だけど、『クリオネのしっぽ』で、なんとなく放り出されてい
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Posted by ブクログ
ネタバレ唯と自分の頭の中の声が同じで、自分のための物語かと錯覚した。
好きなこと、やりたいことが見つかって、純粋にやりたいって気持ちと同時にやりたいことが見つかったことに安堵するのも、考えたくないこと、中途半端にしてることをキャビネットにしまい込んで時々思い出してしまうのも、本当に共感した。
自分が高校生の時のことを少し思い出したよ。
自分の生きる目的を他人に委ねず、軸をもつというのは難しいことだと思う。
唯は特に軸を他人に合わせていたし、誰かと一緒じゃないと何も楽しむことができないという描写もあった。
最後のイルカの話はその時と対照的で、誰かと一緒にいることよりも、自分の好きなことをして、そこ -
Posted by ブクログ
中1の時のある事件以来、中2の今もクラスで浮いた状態の酒井美羽。
教師たちを信頼することは出来ないし、友達だと思っていた子たちとは今は話もしない。まわりからは危険人物と見られているが、本当は静かに過ごしたいだけだ。唯一の友達の唯ちゃんはおっとりとマイペースの女の子。美羽の今の状態でも、態度は何も変わらない。
そんな状況で、しかも変な時期に、同じクラスに転入してきた小宮山幸栄(サッチ)。どうやら、近隣の中学で暴力事件をおこして、むこうの学校にいられなくなったから転入してきたらしい。そして、そういう喧嘩上等みたいなタイプに、美羽は目をつけられやすいのだ。
帯に、あさのあつこさんが「ここには、少 -