ケヴィン・ウィルソンのレビュー一覧
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おもしろかった。
発火する特異体質の双子・ベッシーとローランドと、そのお世話をすることになったリリアンが繰り広げる物語。
最初、敵意を剥き出しにして反発していた双子。リリアンとの関係性が変わり、次第に信頼感が生まれていく様子がいい。
双子の父は身勝手で不快でしたが、だからこそリリアンのちょっとした毒舌が光ってました。
子どもたちは反抗的な態度も含め、だんだん可愛く思えてきた。何度も同じ質問をするシーンはちょっと切なかったなぁ…。
お世話係は仕事だけど、子どもたちと一緒に過ごす時間は心地いいものへ、そしてベッシーとローランドは守ってあげたい大切な存在へと変わっていくーー。
終盤、一体どんなラストを迎えるのかと心配になりましたが、ラストページ、とても良かったです。
子どもたちだけでなく、不本意な人生を歩んでいたリリアンにとってもいい心の変化だったように思う。
ラストはウルッとしました。
『ふたりとも、世界を焼き払いたかったわけじゃない。ただこの世界で味わう孤独を、いくらかなりともやわらげたかっただけなのだ。』 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとも奇妙な短編集を味わった!
主人公が「代理祖母」だったり「スクラブルのQのパーツ集め」だったり「おもちゃの音入れ屋」だったり謎で奇妙でファンタジーな職業についていたりするのに、細部がリアルに書かれているので本当にそんな職業ありそうって思ってしまう。
主人公はみんなどこか陰の雰囲気を纏った人々で、言ってしまえば変わり者。でもみんな愛を抱えながら複雑に生きてる人々なので、奇妙なのに温かい。
「今は亡き姉ハンドブック」は淡々と「姉あるある」を単語ごと解説していっているのにえらく切ない。シスコンには全然萌えないけど、なんでだろう、この短編が一番頭から離れない。
走り去っていく姉の背中という存在しない記憶が生まれかけるほどです。
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Posted by ブクログ
正確な分類はよく知らないけど、私の中ではこれは青春小説。しかも極上のやつである。
ストーリーはシンプルだが、この小説の魅力はとにかく登場人物すべてが愛おしいというところに尽きる。主人公のリリアンはこれまで思うような人生を歩むことができずにぐずついていた、一方で親友のマディソンは大金持ちで上院議員夫人。そのマディソンからひと夏の家庭教師を頼まれた双子のベッシーとローランド、だがこの双子は興奮すると”燃える”というとんでもない子供たちだった。悪戦苦闘するリリアンだったが、そこには徐々に強い絆が生まれていった。
作者であるケヴィン・ウィルソンの技巧が随所に光る。脇を固める登場人物もみな魅力的、お目付け役のカールや家政婦のメアリーなど本当にいい味を出している。リリアンの粗雑だが純粋な語り口は誰もが感情移入でき、かつ表現力豊かな色彩を持っている。
双子との交流を通じてこれまでの自分を見つめ直し、新たな気持ちで人生に向き合うことになるリリアン、ラストは本当に清々しく、最高の読後感を提供してくれる。だからこれは青春小説と言っていいんじゃないかと思う。
最後にこの小説の魅力を存分に引き出してくれた芹澤恵さんの邦訳が素晴らしいことにも触れておきたい。リリアンの生き生きした言動はこの邦訳無しでは表現しえなかったと思う。この訳で読めて本当によかった。 -
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ネタバレ面白かった。
リリアンの自虐的なところと観察眼が良かった。わざわざ口に出さなくても、心で思う気まずさが良い。
マディンソンとの関係も良かった。マディンソン大統領になって欲しいな。
ジャスパーはクズくて良かった。本人はクズだと自覚してないクズ。ジェイン・オースティンの小説に出てきそうなクズ。
双子達は聡明で良かった。愚かではない。
その気になれば、火をつけまわって、社会を混乱に陥れられる能力だし、良い能力でもあるけど、コントロールがな、難しいよな。
発火能力。障害であり、個性であり、問題であり、自然なものだなと感じた。
海外翻訳本は、読みにくいものにあたってて、億劫だったけど、これは批判的で面白かった。 -
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とってもおもしろかった!!
今年の個人的ベスト5に入るし棺桶本としても追加したい一冊。
大好きな作家さんがおもしろいと仰っていたので息をするようにポチッとしたのだけど、本当に読めてよかったと思えるいとおしい物語。
人間嫌いのリリアンが10歳の双子と過ごす一夏の物語と言ってしまえば、どこにでもあるような物語に聞こえるけれど、これはどこにもない唯一の物語だし、発火体質という特異な要素がありながらも、ファンタジーではなく、あくまでリアリティのある物語。
子どもの描かれ方もとても好きで、余計な美しさもわざとらしい子どもらしさもなく、双子たちの描かれ方がナチュラル。アンナチュラルな発火という要素があるのにナチュラル。それがすごいよね。
『発火』と特別なのように思えるけれど、子どもって実際に燃えないだけでこの発火に匹敵する心の炎が燃えるときがある。だからとてもナチュラルに感じたのかもしれない。
わたしはリリアンとマディソンの関係性も好きで、女同士ってこういうとこあるんだよね、と時折頷きながら読みました。
またこうして死ぬまで大事にしたい一冊に会えて幸せだなぁ。
これから何度も読み直すとおもう。
三人がこの先も『悪くない』日々を過ごせることを祈ってしまうし、時々勝手にこの先を想像して楽しんでしまうだろうな。
年齢性別問わず楽しめる一冊だとおもう。 -
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ネタバレいかにも映画化されそうな、不遇を切り抜けそれぞれのハッピーエンドを手に入れる系の物語。
不遇とはいえ経済的には安定が確保されたどん底とまではいかない環境、これまでほったらかされていたから見出されていなかったけど実はこれこれ然々の才能あり、みたいな都合の良さが鼻につく部分もあるのだが、やっぱり前向きに道を切り開いていく物語は気持ち良い。
タイトルがキャッチーな割にどんな物語なのか想像がつかなかったが、蓋を開けてみれば実はそのまんま。
かつては今ここにいる場所から抜け出してやろうと全力で人生に立ち向かっていたが、一度のトラブルからレールを外れ(戻ったと言うべきか)、マリファナ片手にくすぶる日々を送るリリアン。
とある夏、燃える双子ベッシーとローランドの2人の家庭教師をする役目をかつての親友マディソンから持ちかけられる。
燃える?
そう、比喩とか表現としてではなく、その双子はストレスが掛かり気持ちが昂ると本当に燃えるという。
えー、まさかのSF的設定!?
と思ったけど、読み進めていくうちに、その不自然を自然に溶け込ませている感じ、かと言ってそれなくして物語が成り立たない感じが凄くうまーく用いられているなぁと感心。
双子はマディソンの夫で国務長官候補のジャスパーの前妻の子どもなのだが、前妻が亡くなったことにより引き取ることに。
その特質ゆえに奇異な目を向けられたり、異質なもののように扱われることが多い双子だが、リリアンの受け入れ力がとにかく気持ち良い。
普通ならキレたり、投げ出したりするところをぐっと堪えて最善を探る。
堪えるだけが最良だとも思わないが、この姿勢は一考の価値あり。
そして、そのガス抜き的役割がスポーツ(本書の場合はバスケ)というところもいい。
夏の間だけ面倒を見ることになっていたリリアン。
幾度となく繰り返される双子との会話が印象深い。
「夏が終わるまで、あとどれくらいある?」
「まだまだあるよ」 -
Posted by ブクログ
十一編収録されている短編集。タイトルに惹かれて読んでみたけれど、表題作はもちろん、他の作品もとても魅力的で楽しかった。孤独や不安を抱えてる主人公が多く、他者との違いに悩んでいたりもするのだけれどそれを徐々に認め受け入れていく過程がいい。代理祖父母を派遣する会社で働く女性を描く「替え玉」、クイズ大会のチームメイトでモテない男子二人の魔が差した瞬間からの関係性を描く「モータルコンバット」、転校先の高校でチアリーディングを始めたペニーが12歳の男の子と交流を描く「ゴー・ファイト・ウィン」。この三編がとくに印象的で読み終わった後もたくさんの場面が残り続けている。
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Posted by ブクログ
自暴自棄な生活を送っていたリリアンのもとに、高校時代の友人マディソンから頼みたい仕事があると連絡を受ける。マディソンは将来を嘱望されている上院議員のジャスパーと結婚し、子どもが一人いる。そのジャスパーと前妻の双子のこどもたちの家庭教師兼世話係になってほしいという。10歳になる双子は、興奮すると発火するという特異体質だった。
子どもたちの体質の設定が突飛過ぎてコメディーかと思ってしまうが、なかなか深い話だった。一癖も二癖もある登場人物ばかりだが、読み進むうちそれは必然と思えてくる。何よりもリリアンと双子たちが愛おしい。
脇役のカールとメアリーがステキだ。