黒川みどりのレビュー一覧

  • 増補 近代部落史

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    明治の頃から現代までの同和問題、部落差別の歴史的事実を、膨大な資料とともに著したもの。
    文章の書き方としては論文に近いかと。
    浅い感想になるが、改めて部落差別問題の根深さ、それゆえに現代において部落差別問題に対して知り学ぶことがどれだけ重要かが伝わってくる本だった。
    様々なマイノリティが人権問題を訴える中で、部落差別問題も決して話題として欠かしてはならない。
    問題について知らない方が、周知しない方が良いという声もある中、やはり差別があるからこそ知ることは重要であると改めて思わされた。

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    2023年10月27日
  • 近代部落史

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    身近に明確に存在せず、だから積極的に知ろうとしないまま、いままで自分の意見を持てていなかった部落問題。この本を読んで、身近に存在するかしないかに関わらず、日本の近代を俯瞰する時に避けて通れない問題なんだと強く感じた。
    また、人の中には他者を差別することで自己を保持する、本能に近い感情があると感じた。それは「優越感」とか「事故防衛本能」といった言葉に姿を変えて日常に巣食っている。
    「自分より下」の人間を想定することで安心する人間の愚かさに情けなさと吐き気にも似た嫌悪感が湧き上がった。

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    2012年06月19日
  • 被差別部落認識の歴史 異化と同化の間

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     20年以上前に出版された学術本が近年になって文庫化されたもの。被差別部落をめぐる各種運動・政策を俯瞰しつつ、部落史を日本史の中に位置付けようとの試みである。ややもすればエキセントリックな感情論が混入しがちなテーマだが、各時代の社会を見つめる著者の冷徹な視線のおかげで、二者択一を迫るような息苦しい議論に足を取られることなく読み進めることができる。
     
     内容はかなり硬く、読み進めるのは結構骨が折れる。被差別部落内外の運動における各種発言、当時の報道、国会答弁などを丁寧に拾い上げつつ、それら主張の微細な変化を時系列的に捉えていくため、いきおい記述量が多くなる。しかもあまり他方面で見かけない人物や

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    2025年04月17日
  • 増補 近代部落史

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    出身者ではあるものの、書物では部落史や政策史を学んだことはなかったので読んでみた。
    大筋の流れは同和教育で知っていたし、「なぜ私たちは差別されるのか」「この先、差別されることはあるのか」「同和教育は必要か」は実家にいた頃、母とよく話していた。
    貧困や職業差別がなくなっても、今だに部落差別がなくなっていない理由の変遷が追いかけられている。
    そう。行政が貧困や地名を消しても、私が部落を誇りに思っても、誰かへの偏見をあからさまにしその人たちの尊厳を傷つける行為をやめない人がいる限り、部落差別もなくならない。
    その認識でよいのだという確認ができた。

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    2023年02月12日
  • 被差別部落認識の歴史 異化と同化の間

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    専門的なので、歴史資料に慣れた人でないと読みづらく感じるかも。でも、現代の部落差別を考えるための基礎的な知識を押さえるために必要な1冊だと思います。

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    2022年04月20日
  • 近代部落史

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    自分にとって結局いつもモヤっとしたままになる問題。

    被差別部落の起源、江戸時代に権力者が民衆支配のためにつくったものだとか、もっと前、中世の賎民、忌み嫌われるような仕事をしていた人に対する差別意識だとか、世俗の権力や権利義務関係などが及ばない聖域=アジールだ、とか。

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    2017年09月11日