カレル・ヴァン・ウォルフレンのレビュー一覧
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カレル・ヴァン・ウォルフレン氏については、ヨーロッパ目線の日本通ということで彼の本を数冊読んで知っていましたが、白井聡氏についてははずかしながらこの本のことを知るまで知りませんでした(涙)。
この二人には戦後日本についての歴史認識に共通する部分もありこの対話本になったのでしょう。
久しぶりに質の高い歴史認識に基づく対話を楽しむことができました。
内容は以下のとおりです。
第1章 日本はふたたび戦争に踏み出すのか
第2章 敗戦国の空虚な70年
第3章 右傾化する日本人
第4章 新自由主義が支配する世界
第5章 終わらない「敗戦」を乗り越えるために
でした。
ところでお二人の会話の中で共通していた -
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外国人研究家から見た日本の問題点を浮き彫りにした本書。
「ここが変だよ、日本人」と外国人に唐突に言われても「そりゃあ、何も知らない外国人だからね。」ってなもんで、まともに取り合おうとしない。けれども彼の指摘は圧倒的な裏付けによって、強い説得力を帯びた論理である。多分日本人が気づかなかったこと、気づいていながら「まあ仕方ない。」と我慢する、波風立てないようにするという、謎の美学の元闇に葬られてきたことが、一切遠慮することなく記されている。(実はこの「まあ仕方ない。」とする日本人の美学こそ、個人的にはもっとも可笑しな日本人の性質だと思ったりもする。) -
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第一の罠:TPPの背後に潜む権力の素顔
第二の罠:EUを殺した緊縮財政という伝染病
第三の罠:脱原子力に抵抗する非公式権力
第四の罠:国家泣き対米従属に苦しむ沖縄
第五の罠:権力への無関心という怠慢
TPPを推進しているのはアメリカ国民ではない。
「市場原理」を推し進めるアメリカの巨大企業は、物事を「市場任せ」などにはしない。
「思想の自由市場」という愚かなメタファー
日本人は”国(nation)"の一員であるという強い自覚に対し、”国家"に所属しているという意識は漠然としたものでしかない。
沖縄は日本の一部か?宗主国の一部となりながら、アメリカの植民地となっている。 -
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本書で繰返し述べられている「主権」に関して深く考えたこともなかった。
「ナショナリズム」と「愛国」の違いに関しても同様。
上記以外にも教えられる事や気付かされる事が多かった。
気になる点に関しては、中国への認識であろうか。
少数民族への非人道的な扱いや、
戸籍を持たない人が相当数存在すること。
尖閣以外にも領土紛争を抱えていて、
強引な外交姿勢で圧力をかけていること。
有史以来、選挙の実績がない国であること。
共産党への不満を和らげるために反日暴動を利用するなど
ロクでもないヤクザ国家であり性善説が通用しない相手として認識しているので、本書での指摘はナイーブ過ぎるのではないかというのが正直な -
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1994年に良書「人間を幸福にしない日本とおいシステム」を書いて注目をあびた著者が、現代の日本の状況に対して再び警鐘を鳴らした。
現在、日本は、アメリカやEU諸国よりもましな状況にあるという前提で日本の現状を好意的に捉えている。しかし次に記す5つの罠にはまり込むとアメリカの思うつぼになり、EU諸国と同様な失敗をおかす恐れがあると考えている。①TPP;これは経済だけの問題でなくアメリカの政治的な押し付け。これを推進するとアメリカ企業の搾取にあう。②財政緊縮;EU諸国でみられる国の負債に目をむける緊縮策は本来金融機関の失敗が問題だったのを国の問題に摩り替えている。③原子力政策推進;日本は太陽光エネ -
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■経済
1.もし初めから海外メーカーと価格競争を強いられていたら、日本の重工業も化学工業も今日のような発展を遂げることは決してなかったらだろう。世界に冠たる日本の自動車産業も、20世紀半ば以降の高率関税という壁で守らなければ、産業として成立することすらなかっただろう。
2.政権の座から転落する前の自民党と同様、日本の官僚もほとんど過去に生きている。官僚たちがそのような生き方をするのは、事態をかき乱すようなことをすれば、昇進できないからである。
3.日本にとっての罠とは、執拗に続く有害な慣例に対処しようとしないということだ。それは本来、習慣を基盤として生じ、さらに思考によって培われ正当化さ -
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TPPの問題が書かれていたので、第三者から見たこの問題に関する意見を知りたく購入しました。
このTPP論議でいつも感じる事は、反対派の意見には多くの数値と理論が展開されているのに、賛成派は『安くなるのは消費者に良いことだ』と言った風な大雑把な表現が目立っている点でした。
基本的に自由貿易は賛成派ですが、気になる点であった規制や制度の共通化と言った事に関する隠された部分の答えが書かれているのではと思います。
財政に関しては緊縮か出動の意見は分かれると思いますが、現状の欧米日を鋭く見抜いていると思われる点や、これから先の日本に対する提言は大変考えさせられました。