池田邦彦のレビュー一覧
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昭和20年代の戦後、バスガールの少女を主人公にした連作短編集。どうもかつてはこういった「バスもの」「職業もの」の伝統があったと思われるが、本作はその伝統にのっとって、現代にも通じるメッセージを描こうとしている。かつての・・・おそらく東京オリンピック以前までの日本映画や小説には、「有りがたうさん」「暁の合唱」などバスガールやバス運転手を主人公にした映画や小説が定番として存在していたようだ(谷口千吉「吹けよ春風」ではタクシー運転手が狂言回しとなっている)。それにしても昭和30年代までの日本映画を観たあと、そのまま読んで違和感を感じないような作品を現在描け、なおかつ同時代性をも感じさせるのは、ただな
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Posted by ブクログ
おそらく国鉄最後の時期は、すべての職員が自分の働く国鉄だけでなくこの国に対して不信感、閉塞感、不安を抱きながら働いていたのだと思う。
ひたすらに誇りを持ってカレチとしての仕事に勤しみ、自分も成長してきた荻野だが、最後の最後になってひとつの大きな決心をする。しかしそこでの仕事は他と対立し自分の意思さえも揺るぎかねない辛いものであった。
荻野だけでなく長年一緒に働いてきたチーフや後輩、その他の職員たち…ある者は不本意に、ある者は思っていた通りに、それぞれがそれぞれの選択をする。最終章の国鉄民営化のストーリーは、それぞれの登場人物のそれぞれの思いすべてが、ある意味では正しくある意味では間違ってお -
Posted by ブクログ
昭和40年代後半。まだまだ未熟だけれども常に乗客のために身を削る新米カレチ・荻野の奮闘を描いた読みきりシリーズ。
暖かい絵柄で描かれる、鉄道に関わる人間の決意がとても気持ちがいいです。仕事がイヤになった日はこれを読みたいな、と思いました。荻野カレチみたくひたむきに頑張ってみよう、という元気が貰える気がします。
絵柄は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、柔らかく、雰囲気があって私は大変良いと思いました。
収録作『RAIL GIRL~三河の花~』がまた素晴らしかったです。
短編漫画でありながら、主人公である女の子の成長や、。特に、雨中のシーン(詳しく書けませんが)は白眉。傑作だと