横山禎徳のレビュー一覧
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テーマである『社会システム・デザイン』の説明や論説にとどまらず、理論に基づいて行動をしてきたのであろう著者の思想がきれいにまとめられていて勉強になる。
戦略や課題について書かれているものが多い。
> 戦略は「自分の強さに立脚する」ことが基本で、その活用すべき強さを見定めるのが重要です。...「弱み」の裏返しのような打ち手を考えてしまうものですが、この考え方は戦略的ではないし、有益な課題を解決したことになりません。(戦略の本質─東大ビジネススクールにノーと言った理由)
> デザインの定義は、インテグレーション。すなわち統合作業です。バラバラに存在する要素をある意志をもって整合性のある形にまとめ上げること。デザインは、abductive(日本語で言えば仮説検証型の推論)です。...唯一の方法論は、行ったり来たり、仮説を作ったり壊したりしながら繰り返し考えること。それしかありません。(デザインとはインテグレーション、バラバラな要素の統合)
> 最も大事なことは、中核課題を発見し、定義することです。...「良循環」は「サブシステム」がないと機能しません。(社会システム・デザインの5つのステップ) -
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ネタバレ著者は横山禎徳氏、1972年に東大工学部卒→建設事務所→ハーバード→MITの MBA→マッキンゼー。三井住友FGの社外取締役も務めたり。2024年逝去。
感想
特に前半はとても面白い。後半は冗長だ。
備忘録
・戦略は自分の強さに立脚することが基本。ただし、強さを明確に理解して活用するのは難しい。つい弱みに目がいってしまう。弱みを裏返して打手を立てるのは戦略的ではない。「我が社は営業が弱い、営業を強化しよう」とか。競合ができない差別化こそが戦略の基本。
・組織とは組織図ではない。システムである。組織図には表しきれない各種の意思決定や行動システムの集合体が組織だ。戦略、資源配分、実行、モニター、評価、リスク管理といったシステムから組織は構成されて、組織そのものもシステムとなっている。
・社会システム。例えば、医療システム、徴税システム、教育システム、上下水道システムとかとか。人間が目的を持ってデザインした仕組み。
・大事なのは「システムはデザインできる」ということ。
・「デザイン」とは「インテグレーション」、つまり統合作業だ。バラバラに存在する要素をある意味を持って整合性のある形にまとめ上げること。デザインには正解や理想などなく、その時の現実的な答えしかない。だからこそ繰り返し作業を通じて練り上げれば練り上げるほど優れたものになっていく。
・デザインという作業に絶対的な方法論はない。唯一の方法は、仮説を作っては壊しを行ったり来たり繰り返す。それしかない。100回以上考える。人の10倍考える。
・社会システムをデザインするにあたり推奨されるのは、
①現状の悪循環を追求し中核課題を発見・定義する
②中核課題に答える新たな良循環を創出する
③良循環を駆動するサブシステム群を抽出する
④サブシステムごとの行動フローをデザインする
⑤行動をより具体的にし、広く伝達するためのツリーに分解する
・成長と拡大の違い。成長は拡大の一次微分。成長は背が伸びるようなもの、拡大は「風格が出てきた」「説得力が備わってきた」のような人間性の厚みのようなもの。スマホの誕生が成長なら、アプリの広がりが拡大。日本社会が目指すべきなのは成長よりも拡大。
・課題に対する「今の答え」を常に持っておこう。課題解決に十分な時間が与えられることなどない。「今の答え」が反証されたり否定されることもあるだろう、そしたら次の仮説を練り上げて再び持っておく。この繰り返しが解の質を高める。「仮説を立てて、データで検証してみたら、仮説はあってました」ではビジネスにならない。すでにデータとしてあるものイコールわかっていること、では弱い。
・イネーブラーシップ。無理にリードしない。理解して、期待できそうなら、やりやすくしてあげること。
・データを集めて図にしただけでは分析ではない。Sky is blueだ。
・分析はイシュー設定から始まる。誰もがまだわかっていない課題を設定し、それを証明し、課題の解決をビジネスにする。
・プロフェッショナルとは。合理的なものと非合理的なものを、現実を追求しながら組み立てて推進していく能力がある人。合理的に考えつつ、非合理的なものと対峙して、現実社会を変えていくことができる人。 -
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組織改革の目的は、「人々の行動を変える」こと。元マッキンゼーの東京支社長が、組織内の人々を動かすための組織デザインの方法を語った書籍。
人々の行動を左右する仕組み・仕掛けを「組織デザインのボキャブラリー」という。それは、例えば次のようなもの。
・人の行動を変えること、すなわち行動変容こそが組織を変える目的である。
人の行動変容は、組織デザインという、自分の組織にしか通用しない、個別、具体的なアプローチを通じて行う。
・ほとんどの組織のデザインが、素人仕事に終わっている。
組織のデザインには、意思決定や評価、人材育成などを熟知する必要がある。いかに優秀な担当でも、そのための訓練と経験を積まない限り、素人仕事しかできない。
・絶え間ないラーニングとアンラーニングが、欠かせない時代である。
変化の激しい時代を乗り越えるには「絶え間なく学習し、そして学習したことを捨てる」「過去の常識から脱却する」という2つの行動様式を身につけることが必要だ。
・過去、現在、未来を通じて「正しい」組織を求めない。変化できる組織を志向する。
組織は常に外部からの影響を受け続ける。従って、時代を超えた「理想の組織」は存在しない。より状況に適応できるよう、組織は変化を続けていかねばならない。
・組織の意思決定システムをデザインし直すことには、大きな戦略的価値がある。
事業の変化に伴って、意思決定のあり方も変わる。事業の特性に応じた、きめ細かい対応ができるよう、意思決定システムをデザインし直すことが求められる。 -
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サマリー
循環思考とは、著者が提唱する社会システムデザインのための思考方法。社会システムとは、「生活者・消費者への価値を創造し、提供する仕組み」と定義している。一般的な表現をすれば、社会的課題を解決するために課題の構造を線形ではなく循環型で整理し、さらに解決方法も循環型で構築するという思考フレームワークである。
ロジックツリーやプロフィットツリーなどのリニア思考では、社会課題のような複雑な解決することは難しい。社会課題は、様々な要因が相互に影響しあい、さらに要因同士には因果関係があり、時間軸による変化があるからだ。
循環思考による社会システムデザインでは、課題を引き起こしている悪循環を発見し、新たな良循環を作ることでこの問題解決を目指す。社会システムデザインのステップは、次のとおりである。
1.「悪循環の発見」
課題を引き起こしている「悪循環」を明らかにする。
大きな課題の中でもその中核課題を特定するためには、悪循環を見つけることが
適切な課題かどうかは、悪循環を描けるかどうかでわかる。
2.「良循環を創造」
課題を解決する良循環を描く。
良循環は悪循環とは無関係。「問題の裏返し」は答えではない。
課題が複数ある場合は、答えを求めやすいものからアプローチする。
3.「良循環」を「駆動」するサブシステムの抽出
良循環のより具体的な大枠の行動を示すもの。
サブシステムは三つが適切。
4.サブシステムごとの行動ステップ記述
サブシステム、サブサブシステムと掘り下げることでより具体的で詳細な行動が記述できる。
5.必要に応じてツリー状に分解する
社会システムデザインには、正しい答えや理想的な答えはない。自分の思考の枠組みを理解し、繰り返し考え、経験を積むことで身体知として身に着けることができる。
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感想
思考フレームワークとしてわかりやすくて有用。「問題の裏返し」は答えではない、悪循環が描けるかどうかが適切な課題設定であるかがわかる、といった指摘は今後問題発見解決を試みる際の意識していきたい。
ただし、「循環」だと要素の大小や階層関係、因果関係の強さなどが扱いにくいという弱点がある。肝心な情報収集や悪循環発見や良循環の組み立て方が経験則でしかなかったのが残念。 -
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「組織」という分かったような分からないようなものに対して、
言語化を試みた本。
著者はマッキンゼーの元日本代表の方だけあって、
企業の組織を主な対象としています。
いきなり、冒頭から
「組織変革というのは組織の形を変えることではなく、
組織に属する人の行動変容を変えることだ」
といったガツンとした主張から始まります。
組織が変わるときに、部長がメンバーに対して、
「組織は変わるけど、やることは変わらないから」と言っていたら、
その部長はクソだと。
(クソとまでは著者は言っていなかったと思いますが。)
言われてみれば、その通りなんですが、中々ハッとさせられます。
また、「組織は生き物(有機体)」というのも、
どこかで聞いたことがあるような気もしますが、
本を読みながら納得感のある主張でした。
生き物故に、常に揺れ動いており、
だからこそ「コレっ!」という固定解が存在しないのが、
組織の難しいところでもあり、魅力なのかもしれません。
本の中で出てくる「ボキャブラリー」という表現が何とも抽象的で、
分かりにくさを感じますが、
組織の変革に携わる方なら、学びの多い書籍だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ元マッキンゼー東京支社長の横山氏の「組織デザイン」についての本。「組織論」ではない。氏の「組織デザイン論」の全体像を示したこと自体に意味がある。
主体を誰にするか、ガバナンスの観点、パーパスなどの位置付けなどいろいろと自分なりには、付け加えたいところが出てくるが、それこそボキャブラリーを増やすことはもとより文法を改変することも視野に入れてよい。
以下、意訳も含め、各章にコメント。
組織をデザインする目的は、人の行動を変えること・・・つまり変革論
・人の行動を変えること、すなわち行動変容こそが組織を変える目的である・・・そのとおり
・組織をデザインする上で重要なのはボキャブラリー・・・本書では28ある
・ほとんどの組織のデザインが、素人仕事・・・これは致し方ない面もある
・「小さな幸せグループ」こそが組織の変化を阻害する大問題・・・「性怠惰説」の裏返しか
・「外界との接点」からの発想を最優先すると、優れた組織になる・・・大事
・「性怠惰説」に基づく組織をデザインせよ・・・組織は、ほっておくと何もしない方にいく
・「優しいが実は冷たい」組織ではなく、「厳しいがどこか温かい」組織を志向する
・組織ごとに異なる「体内時計」は能力差につながる・・・「時間による差別化」は、やはり重要
・座りにくい椅子を用意する・・・フォーシングデバイス
組織デザインはプロフェッショナル組織である
・組織の「美意識」に注目する・・・大事
・企業カルチャーは最大公約数にすぎない。各部門にはサブ・カルチャーが存在する
・組織は隅から隅までデザインしてはいけない・・・玄人ならではの視点
・「問題意識」では人は行動を起こさない。「いつまでに」という時間軸を持たせて、「危機意識」に昇華させる・・・「デッド」ラインの重要性
・組織図をいじることが組織デザインだと勘違いする人が多すぎる
・過去、現在、未来を通じて「正しい」組織を求めない。変化できる組織を志向する
・組織は永続しないもの、そう割り切る方が賢明である
・組織デザイナーには戦略立案時に考えるべき二つの落とし穴がある・・・戦略とは「強みへの立脚」であり、また「コインの裏返し」ではない
マッキンゼーの7Sを組織デザインに使う
・マッキンゼーの組織の7Sは、組織の問題を採集・整理する枠組みとして使う・・・チェックリストとして使う
・戦略執行体制としての組織には、デザインする手順がある
・都市デザイン同様、組織においても「ミニ・プラン」アプローチが有効である
・マッキンゼーの7Sのうち、最優先すべき「S」は、シェアドバリューである
意思決定システム、業績モニター評価、人材育成が組織の3要素である
・組織の意思決定システムをデザインしなおすことには、大きな戦略的価値がある
・どんな評価であっても組織に不満は出る。「(評価対象者を)よく見た評価」でありさえすればよい
・「人材重視」のはずの日本の組織だが、実際は人材育成がおざなりである
組織デザインの普遍性、時代性
・組織図の箱、線、配置の意味するあいまい性を理解せよ
・ネットワーク型組織を一般解とするのは危険である。それを成り立たせる特殊状況を棚上げしてはいけない
・組織デザインは4段階に発展する。 ハード論=[実体論=形態=組織の箱→〈機能論=機能のパーツ→構造論=機能のパーツの集まり〉]→ソフトウエア論=OS?