石井好子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
食べるのも作るのも大好き!だからご自身の体験を思うまま豊かに表現していて、人の生活に欠かすことのできない「食べること」の楽しさを存分に楽しめるエッセイ。
本業はシャンソン歌手だけど、晩年は料理の人と呼ばれるのも納得いくほど楽しんで料理の研究や学びを受け手に伝えてくれる。
「豊かさ」を感じる印象なんだけど、戦時中の厳しい体験も織り交ぜて作品に落とし込んでいるので話の深みがある。食の楽しさを気軽に楽しめる現代が如何に素晴らしいことなのか説得されている。
紹介されているレシピは正直真似するの大変かもだけど、卵を使ったオムレツ料理はバリエーションも多くて試してみたいと思った! -
Posted by ブクログ
「色褪せない」とはこういうことなのか、と思わずにはいられませんでした。
本書は1963年に暮しの手帖社から出版されたものの新板とのこと。1963年!
その時代に、アメリカに留学し、その後パリで歌手としてデビュー、仕事とはいえ、ヨーロッパ各地を訪れている筆者が当時の一般の人たちから憧れの目を向けられていたであろうことは想像に難くないですが、たびたびそのような恵まれた環境についての記載があることを除けば、本当に食いしん坊が書いた美味しいものの思い出という内容でした。
わりとシンプルに、余計な言葉を使わずに、美味しかったものの思い出を語り、簡単な文章で作り方を紹介する。それがすごく良い味わいとなっているエッセイだと思いました。美味しいものを食べたい、美味しいものを人にも食べさせたい、というシンプルな思いが伝わってくるからかもしれません。
戦時中のひもじさも書かれてあって、それを知らない世代としては、そこからの「美味しいものを食べられる」ということへの喜びは大変なものだったのだろうと・・・。
それにしても、初めて目にするようなものも臆せず食べる筆者は筋金入りの美食家だと思いました。それでも、高級かそうでないかではなく、とにかく美味しいものを食べたい、食べさせたいという気持ちが強い人だったのだな、と思いました。
素敵なタイトルも本書の魅力ですね。 -
Posted by ブクログ
外国の空の下、美味しい記憶。
ずっと昔に読んで大好きなエッセイを再度読む。外国文学を読んではカタカナの食べ物に憧れてきた自分だから、次々と出てくる海外のお料理の描写に夢中になってしまう。それと同時に一緒に食卓を囲む人たちとの楽しい空気が感じられるのも素晴らしい。何度も読んで味わいたい作品だ。
現在では珍しくなくなった料理もあるけど、憧れの異国情緒は健在。同時にお招きした人を作ったお料理でもてなす習慣にノスタルジーも感じる。手の込んだ料理はしないし、著者が簡単にしているという手順さえ自分にはハードルが高いものだけど、これを読んでいると無性に料理をしたくなる。オムレツ作ろうかな。 -
Posted by ブクログ
2024.12.14-2025.01.17.
表紙の素朴な可愛さに惹かれて本屋で手に取り、「あら、これはどこかで聞いた本だ」と思った。
誰のpodcastだった定かではないが(川村明子さんの『今日のおいしい』だった気もする)、なんとなくこの本が取り上げられたことを覚えていた。ずいぶん情緒あふれるタイトルだな、と思ったからだ。
東京と巴里はセットでちょこんと並んでいて、どちらも一緒に購入した。
現状、東京は少し時間を置いてから味わいたいなと思っている。
「とにかく、私はよほどお料理ずきらしい。仕事に追われてくたくたに疲れていても、家に帰って台所にはいると、一日のつかれがいやされる。お酒など一杯入ろうものなら、なにか食べさせたくなって、台所に行ってこまごまと料理をはじめる。」
このフレーズは私にはとても理解できないなと感じた。一方で、「母はこの人と同じだな」とも。私にとって料理というものは、母と強く結びついている。お酒を飲みながら、もくもくと好きな料理を作る姿は、小さな頃から今でも変わらない。ストレスや疲れと、母のメニュー量は比例するので、金曜日の夜の食卓はずいぶんと熱がこもっている。
本人は味見で満足するらしく、もっぱら私と父(と、時々妹)がせっせと母の美味しいストレスを消化するのだ。
石井好子さんの文章は、思わず舌を遊ばせてしまうほど、味わい深い。言葉に香りと味があって、素直な描写が想像力をふんわりとかきたててくれる。
こうした本を読んでいると、「料理って楽しいものなのかな」なんて思うけれど、同じ行動をとっていても彼女の感情を理解することはできない。
けれど、「何かを好きな人がその何かの魅力について、宝物のように書いている」本というのはずいぶん魅力がつまっており、「こんな気持ちになりたいな」、「彼女のように料理を慈しめたら」と感じた。
また、一点気づいたことは、エッセイの難点だ。ジャンルや書き手が変わらないので、一気に読むとお腹いっぱいになってしまう。ずいぶん味わって読むことになったのは想定外だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「生活」で面白かったです。1950年代の8年間、欧米で一人で生きるバイタリティーに圧倒されました。
表現が率直過ぎる…と思ったところも、石井好子さんの周りの人々がリアルに浮かび上がってきて面白いです。周りのショービジネス界に生きる方々もそれぞれバイタリティー溢れている。華やかだけどシビアで、キラキラばかりじゃないところも好きでした。
一章しか割かれてないけどキューバは衝撃…マリアもたいへん濃い人物ではありましたが。
藤田嗣治とアルベルト・ジャコメッティ…凄い。。
欧米とひとくくりにしてしまっていますが、フランス、スペイン、再びフランス、キューバ、アメリカ、最後にまたフランス…なんとなく、パリで1番生き生きとされてる印象です。日本でさえちょっと居心地悪そう。
好子さん、かなり客観的というか第三者目線なところが凄いバランス感覚だなぁと思います。でもそんなところも、好子さんにとってはあとがきに書かれてたような心持ちになるのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
"パリの料理"という言葉に惹かれて買ってあったものの、1年ほど寝かせてしまった。
不意に手にして読み始めたところ、瞬く間に引き込まれて夢中になった。
これは読んでいるとお腹が空く、危険な本だ。
夕飯前でお腹もそろそろ減ってくる頃合いではあったのだけれど、即座にグーグー鳴り出してしまうくらいだ。
ひたすらに美味しそうな話が続くが、半ばあたりからはシャンソンの話一色になる。あれ?タイトルと違う、と思い、シャンソンにはあまり興味のない私には少し辛くなった。
それでも石井さんの書く文章がとても素晴らしいのだろう、すぐに引き込まれて気づけば読み終えていた。
涙するような話もあり、興味深い話もあった。この石井好子さんはものすごい人脈を持っている方で、時々驚く。それも楽しい。
全く知らなかったけれど楽しませてもらえた。 -
Posted by ブクログ
『女ひとりの巴里ぐらし』同様に、あくまで淡々とした描写から戦後フランスの市井の人々の息づかいが聞こえてくる様が素晴らしかった。
年表からは知り得ない「時代」。
しかも、今から半世紀以上も前に日本人女性が単身異国で生計を立てつつ経験した「時代」であり、密度が違う。
『女ひとりのー』では「ナチュリスト」での1年間について描かれていたが、『いつも異国のー』はその前後関係までがつまびらかになる。
実に8年間世界3周の記録。
彼女の鋭い観察眼は時に自分自身にも向けられており、彼女のエッセイストとしてのすごさはそこにあると思う。
当時の自身のことを「三十を過ぎた、一度結婚にもやぶれた女性」と突き放す一方で、フランスでの日々を「私の力で克ち取ったもので、非常に高価なものであったような気がしていた」と肯定する強さも持っている。
こんな強さ・・・矜持が自分の中にはあるのか、と問いたくなる。
ーそれにしてもフランスでの交遊関係が豪華すぎ。
朝吹登水子、藤田嗣治、ジャコメッティ、ジャン・ジュネ・・・。
ジャン・ジュネの名前を見つけて、読みかけになっている『花のノートルダム』を読まねばと思いました。