タン・ロミのレビュー一覧
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ネタバレ中国共産党の成り立ちについて、日本語で客観的に解説している基本図書。上海の第1回共産党大会博物館での見学時に並行して購読した。
1)共産党の成立、特に1910年代後半においては、日本の影響は非常に大きく受けている。このことを歴史上どう評価するかは日中関係とのパロメーターであると思っている。
2)共産党設立の経緯は、第一次世界大戦終了後のパリ講和会議でアジアの民族主義が否決されたこと、これにより孫文の三民主義への失望が生まれ、中国、ベトナムをはじめアジアは、共産主義の影響を受けることになった。(この意味で中国共産党は、あるいみ国民的革命政党と分析することができる)。無論、1917年のロシア革 -
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「(孫文は)ここ2、3年の間に非常に留学生の増えたことにより、留学生中変わった人物がいないかと問うた。(変わり者に関心がある)」p10
「昔日の日本で維新の始まりには、ほんの数人の志士を原動力としたに過ぎず、わずか30年余りで六大強国の一つに至った。今日の勢いでいけば、中国革命の事が成るのは時間の問題で、半分の年月しかかからないであろう」p12
「知識と好奇心にあふれた優秀な留学生たちが急増した日本は、革命思想を宣伝する絶好の場である。彼らこそ革命の中核となり次世代の担い手となるべき最高の人材であった」p16
「とりわけ清朝政府が科挙試験を廃止した1904年以降、清国の若者たちは日本留学熱に浮 -
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在日中国人による辛亥革命に至る中国革命史。孫文や宮崎滔天をはじめとする日中革命家のつながりにも焦点が当てられている。緻密な調査に基づいて書かれており説得力があり、また、たいへん読みやすい。
「(辮髪の強制について)頭髪のために古今幾十百万の漢人がその生命を失った。じつに世界稀観の奇怪な現象といわねばならない(桑原さい蔵)」p70
「偉大な天才が光り輝くためには、輝きの強さと同じだけの暗い影がある。裏方に徹する者が支え、愚直で地味な働きをしてこそ、天才は目標に向かって専念でき、開花して大きな成果を得ることができるのである」p142
「(義和団賠償金(北京議定書)について)清国を生かさず殺さず、 -
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[ 内容 ]
一九二一(大正十)年七月二十三日、上海の高級住宅に十三人の中国人青年が集まった。
そこで行われた会合こそ、中国で「歴史的壮挙」とされる、中国共産党第一回全国代表大会である。
欧米列強に蹂躙された国土を取り戻すために命を懸け、過酷な運命に翻弄された十三人。
彼らの青春群像を丁寧にたどっていくと、従来、中国共産党が意図的に軽んじてきた、党創設にまつわる日本の影響が浮かび上がってくる。
[ 目次 ]
第1章 帰国子女だった李漢俊
第2章 維新號事件で検挙された李達
第3章 西郷隆盛に憧れた周佛海
第4章 日本びいきの思想家、陳独秀
第5章 芥川龍之介が目にしなかった上海
第5章 上海 -
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中国の近代を,阿片を軸に見つめていく。コンセプトは興味深かったのだが,内容はかなり淡々としていていまいちぐっとくるものがなかった。阿片戦争の戦況推移とかあんまりいらなかったような気も…。
しかし中国は阿片で酷い目にあってきたよね…。異教徒と見下され押し付けられた阿片は貴賤を問わず大流行。弛禁論・厳禁論の争いは,結局外圧(阿片戦争)で,厳禁論の完全敗北。軍閥や日帝や蔣介石も重要な財源とし,阿片が根絶されたのは中華人民共和国成立後のことだった。
中共の阿片追放キャンペーンは功を奏したわけだけど,どうも内戦当時は共産党も阿片で軍資金を作ってた節があるそうだ。確証はないと言っているけども。しかし -
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今年は中国共産党結成90周年。1921年上海。若者13人の会合が出発点とされる。恥ずかしながら毛沢東以外の12人はほとんど知らなかったが,それもそのはず,中華人民共和国建国時に党に残っていたのは毛と薫必武のわずか二名。残りは初期の運動のさなかで死んだり,離党して漢奸として処刑されたり,復党を果たすが文化大革命で弾圧されたり。状況がめまぐるしく変わり,生き馬の目を抜く世界。権力闘争のすさまじさがわかる。
本書は,13人のなかでも日本留学経験のある4人を中心に,また13人には入らないが同じく日本に留学した陳独秀,李大釗の人生にも触れつつ,日本と初期の中国共産党のかかわりを描いている。西郷隆盛は -
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[ 内容 ]
阿片戦争から中華人民共和国成立までの約百年間の中国近代史は、阿片抜きには語れない。
阿片という麻薬に、これほど蹂躙された国は、世界史の中でも例がない。
中国人が麻薬としての阿片を知ったのはいつのことか。
最初はどこから入ってきたのか。
なぜ、超大国・清がいとも簡単に阿片に侵されてしまったのか。
そして共産党と阿片の知られざる関係とは―。
中国と阿片の長い歴史をひもとく。
[ 目次 ]
序章 煙館
第1章 ケシの到来
第2章 尼さんの阿片
第3章 「新商品」に生まれ変わった阿片
第4章 小説と現実の阿片商人
第5章 千トンの白煙
第6章 阿片戦争
第7章 日本にはなぜ蔓延しなかっ