高橋泰邦のレビュー一覧
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古典
それは原点とも読み替えられるべきほど
舞台はイギリス、ロンドン
毒入りチョコレートによる殺人事件を推理する「犯罪研究会」の6人が、ひと夜ごとに犯人とその推理を披露する。
場面はほぼ固定で、舞台を見ているような感覚でお話は進む。
各メンバーの語りは、現代の犯罪捜査で実際に用いている「プロファイリング」の原型とも思えてくるもので、しかも、その欠点である「仮説から犯人像を描いたあとは、物事をそれに基づく証拠として固執し過ぎる」という点を、見事に小説に仕立て上げている。
そしてエンディング
古典的ではあるけど(事実古典である)効果抜群で、ここまで読んできたことが報われる瞬間と出会える。
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Posted by ブクログ
ずっと読んでみたかった古典の名作。
『最上階の殺人』を読んで、阿津川辰海さんの書評のおかげで「堅そうに見えて実は笑える」という印象になったアントニイ・バークリー。
犯罪研究会のメンバーが全員の前で1人ずつ推理を披露していく。
名探偵気取りで自分に酔って発するセリフや、指を突き刺して大げさなポーズで犯人を指名したり、真面目そうに見せて結構ユーモラス。
大真面目に何とも笑える結論を出してしまう人もいて、もし自分がその場にいたら絶対に笑いを堪えきれずに吹き出してしまう。
ラストもその時のみんなの顔を想像するとジワジワくる。
読んでいて三谷幸喜さん脚本の『12人の優しい日本人』を思い出した。裁 -
Posted by ブクログ
古典の名作。
紳士淑女のための限定された推理倶楽部の会員たちが、日替わりで自分の推理を述べてくので、探偵小説の醍醐味であるクライマックスが6度も楽しめる。
これはなかなか探偵小説を読む人への挑戦とも言える試みではないかな。ただ探偵役の推理を鵜呑みにするのではなく、その実証性や証拠の有用性を検証することが、冤罪や間違った推理を見破ることになる。
各探偵たちの得意げに述べる推理が楽しくて、状況証拠でしかないような根拠で推理を進めていても、そうなのかー!じゃあそいつが犯人なんだな!って毎回思ってしまうからおもしろい。
誰かに話したくなるような推理小説であると思う。 -
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最初はもう読みづらくて読みづらくて読むのやめようかなと思ってしまった。
例えば今ぱっとページ開いた文章で
「つまりですね、この部屋の中でいわれたことは、虚心坦懐に、あるいはーー友人間の内輪のこととして、あるいはーーあるいは、とにかく、とがめだてはしないで聞き流すこと、というような申し合わせをしておいたほうがいいというわけです」
ぱっと読んで意味がよくわからなくない??申し合わせをしておいたほうがいいというわけ、とかなんか言い方が変にクドいので意味がすんなり頭に入ってこないんだよなぁ。聞き流してはいかがです?でいいじゃん、みたいな文章が多すぎて前半本当辛かった。
よくある英語の翻訳の、主語がやた -
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あれ?シュリンガム(一応主人公)ってもっとシュッとしてなかったっけ?シュリンガムだけに(いらない)
Σ(゚Д゚)
そうか!
これが、世に言う思い出補正ってやつだな!
あーわいも思い出補正で同級生とかに「そう言えばめっちゃ面白い奴いたな〜」って思われてるといいな〜
ってそっちかーい!
はい、古典ミステリーを読みまくっているNaotyさんに触発されて、ミステリーファンなら一度は読んだことあるであろう『毒入りチョコレート事件』を再読です
え?読んだことない?つか知らない?
マジか…まじかる☆タルるートくんか…(いらないって)
じゃあ「多重解決」は聞いたことあるよね
ミステリーファンなら
え -
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杉江松恋さんの解説によると、本書(1929年)はミステリの長い歴史に於いて、後続の作家の創作意欲を掻き立て、模倣を行わせるだけの魅力を持ったマスターピースの一つなのだそうで、好き嫌いはともかく、「なるほど、これが『毒入りチョコレート事件』なのか」と、唸ることができたのは確かであった。
迷宮入り寸前の難事件に挑む「犯罪研究会」のメンバー6人は、フィールドワークを経た後、予め決められた順番によって、一夜毎に一人ずつ推理を披露していき、それに対して他の5人が意見を述べていく展開には、高尚な語り口や、自らの思い描く犯人像へ自然と持っていくような言い回しを皮肉っているように思われた中で、どうやら『 -
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ネタバレ111108さんの「偶然の審判」への言及に触発されて。
『第二の銃声』は読んだことある気がするけど、こちらは初読。
小説家、兼素人探偵ロジャー・シェリンガムが立ち上げた犯罪研究会の面々が迷宮入り寸前の事件を題材に探偵演習。
ロンドンの”レインボークラブ”の会員であるベンディックス氏の妻が、元々は別のクラブ会員ペンファーザー卿へ送られてきた毒入りチョコレートを食べ死亡した事件の真相を推理する。
一週間の間、銘々が調査し推理した結果を一夜一人ずつ全員の前で披露していくという極めて限定的空間で繰り広げられる思考実験の応酬。
ああ、これが多重解決の”型”なんだなぁと。
ところどころにまどろっこし -
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ネタバレ87分署シリーズ第四作。詐欺事件の発生と時を同じくして、ハートの刺青のある死体が川から引き上げられる。詐欺事件は引き続き起き、同じ刺青のある死体がさらに発見される。この二つの事件が交互に描かれ、87分署の刑事たちによる捜査が続く。
詐欺事件はおとり捜査により犯人が捕まる。殺人事件は刺青師の捜査から一気に事件に動きがある。ここにスティーヴ・キャレラの妻テディが巻き込まれる。テディが犯人を尾行し、中国人刺青師が87分署に急を告げる。キャレラが妻の危機を知り現場に駆けつける。キャレラが犯人を撃ち逮捕する。三人目の被害者は保護され、テディも無事だった。
一作ごとに季節を替え、今作は春となり一年が経 -
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第2次世界大戦終戦直後のイギリス。
積み重なった戦費は戦勝国イギリスの経済を破綻に追い込み、
大英帝国は消滅した。
連合軍によって開放されたフランスや、敗戦国イタリア、ドイツにおいて
食料の配給制が撤廃された後においても英国は配給制が続く有様。
ビーフ・ステーキの代用品として鯨肉が重用されたものの、
庶民のテーブルには鯨肉さえ上らなかったという。
人口が爆発的に増加し、食糧の確保が困難となった近未来。
馬に跨ったカウボーイが牧場で牛を育てたように、
潜水艇で鯨を追い、育てることで食料問題の解決を図るのが
本作品の基本骨子。
著者であるアーサー・C・クラークには戦争直後の、
長引く食料配給制時