妹尾河童のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
太平洋戦争のころに神戸で少年時代を送った著者の自伝的小説です。
洋服屋の父、クリスチャンの母、幼い妹、さらに学校の友人たちや近所の人びととの心温まる交流を中心に、軍国主義教育がしだいに強化されていくなかでも懐疑精神をうしなうことのなかった少年の姿をえがいています。
ところで、本書の刊行後に、史実における誤りが含まれていることが、山中恒・山中典子『間違いだらけの少年H』(辺境社)によって明らかにされています。本書のストーリーが感動を呼ぶものであるだけに、アジテーションの書という批判を招く結果になったことは非常に残念だといわざるをえません。そういったこともあって、本書はイデオロギー的な文脈のな -
Posted by ブクログ
これ、自伝小説?
筆者の子供のころのエピソードがこれでもかという形で語られる小説?エッセー?
ほとんどの漢字にルビがふられていて、読みやすいような読みにくいような本になっています(笑)
さて、上巻では戦前と戦中のエピソードが語られています。
戦前の人々の暮らしや戦争が始まってからの様子が赤裸々に語られると同時に、主人公Hの好奇心旺盛な思考、行動が描かれています。
しかし、何よりも驚きは少年Hではなく、その父親。父親の語るメッセージは、あまりに冷静で的を射ています。こんな父親はいないでしょう!!
ということで、感動するような物語ではなく、少年Hが感じたこと、経験したことを生き生きとと語る -
Posted by ブクログ
※全編通してのレビューです。
いつだったかのベストセラー。妹尾少年から見た戦前・戦中・戦後の世界を率直に述べたもの。上下巻あわせて1000ページ弱、字は大きいにしても、なかなかの文量ですな。また、妹尾さん曰く「少年少女にも読んでほしいという思い」があるようで、ほぼ総ルビに近い形での出版とは恐れ入ります。
残念ながら、もはや「少年少女」としての視点を持つことはできないのですが、高校で日本史を受講していた身からすると面白いところも多かったです。自分がある程度、太平洋戦争らへんを俯瞰できるからこそ、それぞれの記述が何を言いたいのかがわかる、という面白さがありましたねー。戦時中のアレコレを知る