あらすじ
胸に妹尾肇のイニシャル「H」の文字を編み込んだセーター。外国人の多い神戸の街でも、昭和12年頃にそんなセーターを着ている人はいなかった……。洋服屋の父親とクリスチャンの母親に育てられた、好奇心と正義感が人一倍旺盛な「少年H」こと妹尾肇が巻き起こす、愛と笑いと勇気の物語。毎日出版文化賞特別賞受賞作。2013年夏・映画公開決定。
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初めは何を言っているのかわからなかったけど、でも途中から戦争の理不尽さが描かれていてとても辛かった。少年までもが今では考えられないような困難なことをやらされていることが辛く、僕はそのような人達の苦しみに応えられるほどの努力をしたい
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少年Hの心の動きがすごく細かく詳細に描かれ、Hに共感しながら、あの時代を過ごすことが出来ます。恐ろしい時代。
「戦争はね、ある日突然くるもんじゃない。小石がパラパラと落ちてきたりするていど。でも実はそれが、戦争が始まる前兆だったことを、後になってから知ることになるの」という河童さんのことばに寒気を覚えます。
Hが感じた「なんかおかしい」ということに、私も気づけるだろうかとはらはらします。今後、起きないとは言い切れない戦争。
奇しくも沖縄戦終結69年の今日、読み終わりました。沖縄では4人に1人が亡くなったというとんでもない戦争。平和は作っていかねばならぬものと肝に銘じます。
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妹尾くんが見た(感じた)日常風景が、淡々と語られている。
戦中を舞台にした作品ですが、価値観の押し付けがないので、戦争についてフラットに考えられる。
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第二次世界大戦が始まる前に少年だった子供が、大人になる時期を戦争という時を通して
彼の目でおった日々の話
上巻は、まだまだ、外国人も多く、それなりに新しい文化に触れながら楽しく緩やかに育って行っていた。
だんだんと本格化するに連れて
理解出来ないことが多くなり
それを胸に秘めなくてはならない理不尽さのはけ口として
学校に行っても試験を白紙で出すなどのことをしてしまう主人公
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文庫化を待ち望んでいた作品でした♪ 読み応え充分♪
日本人が読んでおくべき、知っておくべき極近い過去の重い歴史を、1人の少年の目から見た史実として“生き生き”と活写している読みやすい文章は、おそらくは もの凄く 価値あるもののように思えます。
作者自身でもある“H”少年の日常は、その時代を実際に生きた当人だからこそのリアリティをもって迫ってくるけれど、決して悲観的ではなく、むしろ楽観的にすら見えてくるたくましさがありありと伝わってきて、ジンと胸にくるものがあり、時におかしく、ほんの少し悲しくもあった少年時代…
H少年の成長を追っていくに従って、否応なくその生活すべてに深く関わってくるあの“戦争”というものを、忘れることなど誰もできないのだなと感じてしまう。世界中を巻き込んだ狂乱の実態は、やはり「知らない」では済ませられるはずもなく、この国で何があったのか、その時この国の1人1人は何を感じ何をしていたのか?
とは言え重いばかりではなく、読み手のことを考えてほぼ全ての漢字にルビをふっているなどの配慮もあり、誰でも手に取りやすくなっている。
本当に心に残る物語でした。 ^^
蛇足ですが、願わくば文部省推薦(今は文部科学省?)図書とかにはしないでいただきたい。子供の頃、『文部省推薦図書』とか『夏休み読書感想文対象図書』とかの言葉を見るだけで、その本はゼッタイにつまらない面白くないのは確実だから読まないでおこう、と本気で思っていた人間として、ささやかな希望ですw
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映画を観て原作を読んでみたいと購入。
戦争物と呼ばれる作品は数多くあるけれど、これは戦争中の普通の人々の生活を書いた作品。
好奇心旺盛な小学生のHから見た世界だけれど、本来なら戦争体験者から今の子供たちへ聞かせてあげたいお話。
今は戦争体験者の方の方が少ないからそんな機会も少なくなってしまったけれど、子供たちにはぜひ読んでもらいたい作品。
24時間の時間表示を教えるようになったり、旧かな使いが今の様式になったのはこの頃からとか、今の「時刻表」がこの時代に「時間表」から変更になったとか知らないことがたくさんあった。
今から下巻読みます。
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子供に読ませたい本。戦争がどのように起こっていったのか、普通の人たちは何を考えていたのか知る事ができた。子供目線で笑いありなので楽しく読める。
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小学生くらいに推薦図書みたいなんで買って、ずっと本棚で眠っていた一冊。
名作と言われるにふさわしい一冊やった。
内容的は、戦時下で過ごした少年のストーリー。
少年から見ての戦争と戦争に対する周囲の人たちの反応が描かれていて、なるほどなーと思わせられる内容でした。
笑いあり、涙ありのホンマに読むべき作品やと思います。
ちなみに、上巻は笑いメインですw
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まだ下巻を買ってないので急いで買いに行かなくては。
とにかく読みやすかったです。
少年Hにまつわる様々なエピソードが少しずつ少しずつ戦争の色を濃くしていく過程がよくわかります。
2012.10.18
Posted by ブクログ
戦争があったころのお話。
主人公は私の父より少し年上で、
こういう時代だったのかぁ、と思い浮かべながら読んでいました。
今、下巻を読んでいます。全部読み終わったら父にもすすめようと
思っています。
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戦争が表面化していく中で、もがき苦しみでも楽しんで生活していく自伝的長編小説。
少年の淡々とした考え方やいつの時代も子供は子どもらしいとほっこりさせられる。
世の中が暗い時代になっていくのに、少年たちの明るさに救われた。
妹尾少年の友だちや家族もいい味を出していると思う
Posted by ブクログ
少年Hの好奇心旺盛な所にドキドキしたり
H少年のお母さんに対する思いとか読んでて一緒にイラついたよ(笑)
H少年は頭の切れる賢い子だったんだ~ってでも一言多いのよね
まぁ素直とも言うが・・・
下巻の後半の方はH少年の苦しみや苛立ちが凄く伝わる。
下巻はほぼ戦争の話だけど子供の視点だからか全体的に暗くなりすぎずに読める。
が、やはり戦争は怖いと改めて思った。
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大学時代(10年くらい前)に一度読んだ本。
とてもおもしろかった、という感想だけ覚えていて、古本屋に売っていたので再度購入。
好奇心旺盛な肇少年。大人がたじたじになるくらいの、なんでなんで攻撃は、大人になっても忘れてはいけない感覚だと、改めて学んだ。
知恵がある人が勝つ。
小学生って、大人が思っているより大人びているんだよな、って思い出させてくれる本。
お父さんの包み込むような優しさにもキュン。映画化の後なのでどうしても水谷豊を想像してしまう。
Posted by ブクログ
舞台美術家、妹尾河童氏のベストセラー小説。映像化も多数で、最近もテレビ朝日の開局55周年記念企画として映画化されていましたね。
形式は短編連作で、エッセイ風。漢字は総ルビになっていて、小学生でも十分に読める内容になっています。
少年Hの目から見た戦争が、少年のままの声で、分かりやすく丁寧に描かれています。戦争というものが、色濃く伝わる、そんな良作でした。
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太平洋戦争のころに神戸で少年時代を送った著者の自伝的小説です。
洋服屋の父、クリスチャンの母、幼い妹、さらに学校の友人たちや近所の人びととの心温まる交流を中心に、軍国主義教育がしだいに強化されていくなかでも懐疑精神をうしなうことのなかった少年の姿をえがいています。
ところで、本書の刊行後に、史実における誤りが含まれていることが、山中恒・山中典子『間違いだらけの少年H』(辺境社)によって明らかにされています。本書のストーリーが感動を呼ぶものであるだけに、アジテーションの書という批判を招く結果になったことは非常に残念だといわざるをえません。そういったこともあって、本書はイデオロギー的な文脈のなかでさまざまな評価を受けることになってしまったのですが、そうした事情を度外視するならば、興味深く読むことができる作品だと思います。とりわけ、主人公である少年Hの疑問に耳を傾けながら、自分で考える道筋をさりげなく指し示すHの父が印象的でした。
Posted by ブクログ
Hの育った環境とはあまりにも異なる為共感は出来ないが、Hの親父がマジかっこいいことだけは認める。戦前戦中にこんなリベラルな思想を維持するのは相当大変だったろう。余談だが、妹尾河童さんはよくこんなに昔の事を覚えてるなと感心した。
Posted by ブクログ
これ、自伝小説?
筆者の子供のころのエピソードがこれでもかという形で語られる小説?エッセー?
ほとんどの漢字にルビがふられていて、読みやすいような読みにくいような本になっています(笑)
さて、上巻では戦前と戦中のエピソードが語られています。
戦前の人々の暮らしや戦争が始まってからの様子が赤裸々に語られると同時に、主人公Hの好奇心旺盛な思考、行動が描かれています。
しかし、何よりも驚きは少年Hではなく、その父親。父親の語るメッセージは、あまりに冷静で的を射ています。こんな父親はいないでしょう!!
ということで、感動するような物語ではなく、少年Hが感じたこと、経験したことを生き生きとと語る小説でした。
どちらかというと苦手...
Posted by ブクログ
その時代の風景だけでなく匂いや空気まで感じられる作品。
好きな俳優さんが出演していた映画の原作だったので遅ばせながら読みました。
舞台が神戸と私が知っている土地であるのも大きいが知っている記憶のようにリアルに感じられる文章でした。
下巻をまだ読んでいないので少年Hの日常にじわりと忍び寄る戦争がどのように描かれるか気になります。
Posted by ブクログ
以前見た映画の原作。
その時描かれていなかった部分も書いてあるかなと・・・。
そして、戦争になっていくといろいろな不自由がやはりうまれてきますね~。
H、頑張れって感じですね。
Posted by ブクログ
小説としては文章が拙い。
ほぼ総ルビの表記も読み辛い。
しかし内容は抜群に面白い。
ある時代のある人間の少年時代を鮮やかに描いている。
それを可能にするのは作者の記憶力。
細かいところや心情まで、本当に良く覚えていて感心する。
振り返ってみても自分の少年時代はおぼろげで・・・。
やっぱり出来が違うんだなぁとしみじみ思う。
Posted by ブクログ
色々な人が指摘をしているが、当時の一市民では知りようもない機密が記されていたり、明らかに当時の人の感想とはかけ離れていたりという点はあるが、その点はフィクションと割り切れば、戦時下の青春を描いた物語としてはよくできていると思う。
Posted by ブクログ
戦況の悪化、空襲、原爆投下、そして終戦とその混乱。戦争に人々は翻弄されていたのだなと思う。そして疑問に思う少年H。好奇心旺盛すぎだけど。子供の疑問ってこうだったのかもしれない。こんな日常が本当にあったんだと思うと、平和であることは本当に幸せなことだ。
Posted by ブクログ
※全編通してのレビューです。
いつだったかのベストセラー。妹尾少年から見た戦前・戦中・戦後の世界を率直に述べたもの。上下巻あわせて1000ページ弱、字は大きいにしても、なかなかの文量ですな。また、妹尾さん曰く「少年少女にも読んでほしいという思い」があるようで、ほぼ総ルビに近い形での出版とは恐れ入ります。
残念ながら、もはや「少年少女」としての視点を持つことはできないのですが、高校で日本史を受講していた身からすると面白いところも多かったです。自分がある程度、太平洋戦争らへんを俯瞰できるからこそ、それぞれの記述が何を言いたいのかがわかる、という面白さがありましたねー。戦時中のアレコレを知るためには使える書籍かと思います。
それから、妹尾少年のシャカリキっぷりあふれる姿勢に学ぶ部分もあります。「少年少女」が読んで、この積極性を、少しでも身に付けてくれたらいいですね。
ただし、山中恒さんの批判本なんかを代表に、本書の問題点が指摘されているのも事実。当然ながら、少しはフィクションも混ざっているよ! という気持ちを忘れずに。
【目次】
『少年H 上巻』
推薦の言葉 立花隆・澤地久枝・椎名誠
少年H
赤盤の兄ちゃん
タンバリン
オトコ姉ちゃん
ナイフとフォーク
二銭糊
(以下略。25見出し)
Hの家の周辺地図
Hの思い出の写真
Hのまんま 阿川佐和子
『少年H 下巻』
少年H
教練射撃部
血液型
実弾射撃
蛸壺
雑炊と疎開
(以下略。25見出し)
Hの家の周辺、戦災焼失図
「人生二十五年」の時代 井上ひさし
『少年H』の反響