竹内敬人のレビュー一覧
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何十年ぶりに読んだだろう。手にしたのは1933年第1刷の岩波文庫の第53刷。勉強になったなあ。
1本のロウソクから始まった科学講義が深い導きとなって自然と科学のありようを語るさまは驚きしかない。ファラデーが数々の実験を交えながら伝えたかったことはもちろん科学の素晴らしさだろう。
しかし、今回は6つの講義を締めくくる言葉に注目したい。
⋯私はこの講話の最後の言葉として、諸君の生命が長くロウソクのように続いて同胞のために明るい光輝となり、諸君のあらゆる行動はロウソクの炎のような美しさを示し、諸君は人類の福祉のための義務の遂行に全生命をささげられんことを希望する次第であります。
素晴らしい! -
Posted by ブクログ
今年のノーベル賞受賞者の吉野彰氏が,小学校の先生に勧められて読んで教えられた本として紹介されていたので,すぐに店頭から消えたという。この現象,毎度のことだけど…。
わたしの本棚にあったのは,岩波文庫版。矢島祐利訳である。
内容は,子ども向けクリスマスレクチャーの講演の様子を収めたもの。講演の場所は王認学会(ロイヤル・インスティテュート)で,当時は,いろいろな科学者が一般人向けに講演をしてきたらしい。
ファラデーは,製本屋にはたらきながら,そこに書かれている文章を読んで科学に興味をもったという経緯がある。その後,曲折を経てデーヴィーの助手として働き始める。そして,中学校でも習う科学的な大発見をするのだ。
本書は,「ろうそくの科学」と書かれているが,「そうそく」は単なる出発点である。6回の講演の中で,「ろうそく」が燃えると何がどうなるのか。空気とはなんなのか。燃えるとはなんなのか…など,いろいろな知識をユニークな実験を交えながら教えてくれる。本書にはところどころに分かりやすい実験器具の図も掲載されているので,ややこしい解説を読む助けになるだろう。
子どもにはちょっと難解だと思われるが,吉野氏は本書を手に取って読んだんだと思う。他の会社からも数冊,『ろうそくの科学』が出ているけど,吉野氏の小学生の頃には出版されていなかっただろうし…。(本書の発行は1933年)
ここまで感想を書いてみて,気づいたことがある。それは,今,手に入るの岩波文庫版は訳者も変わっているし,ページ数も多くなっているようだ。これは読み比べてみるのもおもしろいかも。 -
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角川文庫のかわいい表紙に騙されて、きっと角川文庫の方が易しいだろうと角川文庫を読んだが、こっちの方がずっといい。角川文庫とこちらとどちらにしようか迷っているなら、こちらが絶対いいです。
訳が新しいことはもちろんだけど、解説も充実しているし、何より訳者がとことん調べて考えた上で注釈を付けている。足りない図は補ってあるし(アルガン型ランプ、角川は絵もないし、ネットでも日本語ではヒットしないし、一体どんなものかと思っていたが、こちらにはちゃんと絵がある。)、角川みたいに図に番号はあるのに本文にどれを指すか書いていないなんてこともない。とにかく、かけてる情熱と手間が角川の比じゃないんです。値段は若干高めだけど、内容の差はこんなものではない。
同じ内容なら安い方、と安易に決めないでほしい。ファラデーの伝記もついています。出し直すなら、前よりよいものを。さすが岩波文庫。 -
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むかし、お仏壇のろうそくと線香でイタズラして、
初めて祖父に怒られた苦い思い出があります。
思えばそれが祖父との最期のやりとりだったかもしれません。
おかげさまで人様に大きな迷惑もかけず、こうして生きられております。
叱ってくれる人がいる、というのはありがたいことですね。
この本は、山本有三の『心に太陽をもて』を手にした時、
ファラデーについて描かれた内容に特に興味をひかれましたので、
いつかきっと読んでみたいと思っていました。
ここでは、ふだんなにげなく見ている、当たり前に燃えるろうそくをテーマに、
それ単体を科学的に説いた内容が主題となっていますが、
自分は控えめに言っても、不真面目な学校生活を送っていましたし、
理科はとりわけ、座学も実験もイヤイヤやってた記憶ですので、
興味があってこの本を手にとってみたはいいものの、
書かれていることは恥ずかしながら、あまり良くわかりませんでした。
科学的な内容の細部は別にさせてもらいまして、
あくまで自分が直感でつかんだ印象としては、
講義をするファラデーも受講者も、ひとつひとつがエネルギーを
燃やしている独立した生き物であり、ろうそくと大きな違いは無いこと。
ファラデー自身の燃える炎が、ひときわ明るく周囲を照らし、後進を育み、
影響を与える存在として光を放っている光景が目に浮かびます。
ここには、冷たい現代的な詰め込み教育とは真反対の、
暖かみに満ちた一体感を感じますね。
いちばん生活のそばにある物が、実は世界の真理になっている。
なるほどこういう意識が持てれば、距離感はグッと近づく。
もしも自分が、このファラデーのクリスマス講義に参加する様な、
何かのきっかけがあったとしたなら、科学に限らず、その後の意識は
また違ったものに変わったかもしれません。
冒頭に述べました山本有三氏の本にあったように、
ファラデーは元々、エリート街道を歩んだのでなく、
人よりマイナスの状態から、大出世した偉人であるからこそ、
未来を生きる子どもへの育成の取り組みに熱心だったのかなと。
この本を読む限りでは、研究の成果に対する外部の妬みから不本意な
仕打ちも受けたように書かれていますが、彼の科学者としての
純粋な気持ちは、限りなく曇りのないものと言って間違いないかなと思います。
今日も世界の至るところ、科学者は地道な努力に明け暮れていることでしょう。
自分も1本のろうそくとして、持ち場を守ろうと思います。 -
Posted by ブクログ
「ろうそくの科学」はファラデーが行ったクリスマス講演について記録したものである。この本はノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんがおすすめした本であり、理系的な知識、または考え方を身に着けるべく本書を購入した。
ろうそくの燃焼をきっかけとして、水や酸素などの反応物について様々な実験を通して、それらの性質を解き明かしていく内容となっている。一見難しそうな内容に思えるが、大半が高校までに習うような現象を解説している。
私が特に感動したのは炭素の性質について説明している第2講と第6講の箇所である。その理由は、これまで水素や酸素の働きなどについては理解できていたが、炭素に関しては特徴がいまいち分からなかったからである。本書を読むことで炭素は燃焼にとても大きな役割を果たしているとともに私たちの生活に深く関わっていることが容易に想像することができた。
個人的には化学に一度おおまかに触れている高校生以上の人におすすめしたい。また、理系では知識の蓄積、文系では科学実験の感覚を味わうことができるだろう。 -
Posted by ブクログ
王立研究所にて、1860年の年末から翌年初にかけて行われた、恒例のクリスマス講演。ファラデーさんが行われましたその内容を、雑誌の編集者だったクルックスという方がまとめられたものです。ろうそくの燃焼から始まり、物の化学変化を6回に分けて講義されています。化学式などを使うことなく、実際に目の前で行うことで、何がどのように変化するのかということを分かりやすく示されています。私たちが知っている化学変化について、一つ一つ丁寧に、具体的にどのような環境で発生するものなのかを知ることができます。このような目線での授業というものがあったならばと感じさせられる内容でした。
ろうそくに限らず、物が燃焼するときに、何が起こっていて、何が発生しているのか。それは常識として知っている感があるものですが、実は化学式として知っているだけで、実際に現実を見たわけではなかったこと。本書を読むことで、そういった、一見簡単で基本的なことが、実は本などからの受け売りにすぎないことを教えられました。