高橋繁行のレビュー一覧

  • 土葬の村

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    99.8%と、世界的に見ても火葬率が高い現代日本。しかし、昔ながらの土葬で死者を送りだす風習を残した村が奈良と京都にあった。1990〜2020年の30年に渡る聞き取り調査の記録と、土葬と同じく実施が難しくなった野焼き火葬や風葬などの伝統の実態を知る人びとへの取材など、施設での火葬に一本化されていく前の〈弔い〉を後世に伝える一冊。


    内容的に「面白かった」と言ってしまうのは憚られるけど、とても勉強になった。まず、この10年以内にまだ野辺送りをして土葬する形の葬送をおこなっている村があることを知らなかったし、土葬がスタンダードな国(たとえば20世紀までの韓国)から日本に移住した人びとの受け皿がな

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    2021年05月26日
  • 土葬の村

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    私設の葬祭研究所を主催するルポライターでもある著者が、滅びつつある日本の土葬文化や、野焼き火葬(近代的な設備を持つ火葬場ではなく、住民自らが操作する超小型のボイラー設備等で行うもの)、風葬など、様々な弔いの風習をまとめあげたルポルタージュ。

    正直なところ、本書を読むまでは土葬というのは何かしらの法規制で禁止されているものだとすっかり思い込んでいたが、そんな法規制というものは存在しない。単に利便性等の観点から、近代的な火葬場での火葬がメインになった、というだけの話であり、実は奈良県など関西の山奥の地区では土葬文化が存続しているという。著者は自らそうした土地にインタビューに赴き、土葬に紐づく様々

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    2021年04月29日
  • 土葬の村

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     日本人の精神性は、戦前あたりと現代では大きく違うものだと、本を読んでいるとそう思う。
     例えば今回本書を読んで、かつての日本の葬儀とは今とは全然異なっていることが分かる。
     死者と向き合うということを、現代日本ではその機会が無いことに気が付かされる。
     
     かつて日本人が持っていた風習、文化というものが、効率やグローバリゼーションの名のもとに簡単に忘れ去られている気がしてならない。
     そこに、日本人特有の、という精神性はあるのか甚だ疑問である。

     という本書を読んでの感想だった。
     本書では土葬、野焼き火葬、風葬について、かつて日本で行われていた葬儀の実態が著されている。

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    2021年03月17日
  • お墓は、要らない

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    流行りに便乗したタイトルはいただけないが、中身は特にお墓無用論というわけではない。むしろ、お墓のことを真面目に考える人ほど、お墓を持とうと思わなくなる、という認識を起点に、その背景を丹念に分析した書。

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    2010年07月31日
  • 土葬の村

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    近代まで存続していたが、現在消滅しつつある埋葬方法たちをまとめたルポルタージュ。【はじめに】にて「おそらく、現存する最後といっていい土葬の村に関する記録」と書かれているため土葬に限定した話かと思っていたが、他にも野焼き火葬、さらには風葬なども取り扱っている。
    近代まで日本は土葬や野焼き、風葬など様々な方法で死者を埋葬していた。しかしこれは20世紀に入って導入された、葬儀社主導の火葬によって取り替えられ、野焼き火葬や風葬は消滅、土葬に関してもいくつかの村でかろうじて残すのみであるという。
    まあ、野焼き火葬や風葬は衛生面であったり事件性の排除であったりを考えると近代社会にそぐわず消滅していくのはわ

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    2024年10月22日
  • 土葬の村

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    十津川村では土葬が行なわれていると聞いていた。この本は紙幅を割いて奈良市東部周辺と奈良県南部の土葬の現在について書かれている。土葬は手間がかかり地域の連帯がなければ難しいようだ。

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    2022年06月30日
  • 土葬の村

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    火葬場が近くにないと土葬が多いが、近くに火葬場があると便利なので土葬が少なくなっていく印象を受けました。

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    2021年12月15日
  • 土葬の村

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    タイトルに土葬と入っているものの、土葬以外にも日本国内外における火葬、風葬についても記載あり。洗骨の風習についても記載があるのだけれど、バリ島にも残っている風習との関係性には記載がなかった。

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    2021年05月01日
  • お葬式の言葉と風習 柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典

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    もともと墓地が好きということもあり葬儀には興味があったが、親戚の葬儀は式に出席するだけである。人が死んだあとどのように処理するのか、まわりの人間はどのように振る舞えばいいのかはわからないままだ。本書では各地域の作法や礼儀、土葬、火葬、風葬方法などが記されていてとても興味深い。不思議と親近感が湧いた。…という言い方はおかしいかも知れないが、今は業者がやっていることを昔は家族や隣家の人々がやっていたわけであり、今と昔とでは死との向き合い方が全然違ったように見える。生々しい描写もあるが、切り絵のおかげで緩和されているように感じる。切り絵もすばらしい。

    以下、気に入った語彙。意味が気になる場合は是非

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    2021年03月30日
  • 土葬の村

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    火葬が広まったのは明治以降、また土葬を上回るようになったのは戦後になってからと案外新しく、古代、中世から行われてきた土葬の弔い方をルポライターである著者が各地を周りまとめた本。2005年ごろまで京都の南、奈良のあたりなどでまだ土葬が主流であった地区もあったとのことだがここ十年ほどで急速に姿を消している。在日外国人の彼らの宗教観にあった弔い方ができないこと、海外の事情、野焼きや風葬、タブーなど初めて知ることが多く、消えつつある文化を記録しこれからの課題につなげていくことの意義を感じた。

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    2021年02月24日
  • 死出の門松<こんな葬式がしたかった>

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    今の日本の葬儀事情を幅広く活写しており、楽しく読める。

    ただ、
    ・関西での話が中心で、関東の者にはやや縁遠く感じた
    ・葬儀屋に好意的過ぎる
    ・話題がコロコロ変わるため、余韻がない
    ことにはやや不満。

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    2009年10月04日