高橋繁行のレビュー一覧
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消えゆく土葬・風葬習俗の当事者の声を集めることにとどまらず、民俗学の体系の中でその位置付けと意味を考察する。死者を葬送するための儀式に遺族や村落共同体の生者が実務的、あるいは情緒的にどのような関わり方をしたのかがよくわかる。さまざまな意味でバランスがとれた良書。
頭北面西のエピソードからは、宗教的行為からその意味が剥落して民間習俗に浸透していくダイナミズムが伝わってくる。非常に興味深い話だった。
人や共同体の思考様式が合理化すれば消滅するであろう伝統的な土葬の風習が、その最期を迎える前にこのような記録として残ることは望ましいのことのように思う。細かな記法や、節の順序で事実と考察の部分を書き -
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全国各地のお葬式にまつわる言葉と風習の解説。
三津田信三さんの著作の参考文献から本書を知り購入。
もし自分が子供の頃、ここに書かれていたような風習が身近にあったらどう感じていただろうか…。
そう想像してみると、田舎の風習が出てくる怖い話に強く惹かれるあの気持ちになる。
京都府南山城村のタタリの山といわれる、カンオケ山、ヨメトリ山、カカトリ山の話、これは怖い話でもお馴染みの入山すると祟られる山が、実際にあることがわかった(タタリが本当かはさておき)。ぜひ行ってみたい。
辻ろうそく
実際に見たら幻想的なんだろうな。その場面を想像すると、怖い話の生まれるのもわかるような気がする。
湯灌は洗うこ -
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人は死んだら焼かれて骨になります。
当たり前と思われていますが、それは最近
のことです。日本でも20世紀までは、土
葬が一般的でした。
現在では火葬率は99.9%だそうです。つま
り100%ではないのです。
土葬が行われているところがあるのです。
この本はそのようなわずかに残る伝承と言
ってもいい風習を追います。
さらに土葬以外でも風葬や、現代の火葬と
は異なる野焼き火葬などの、失われてしま
った葬儀風習を伝えます。
面白いのは日本全国の葬儀形態は千差万別
ですが、現代まで伝わっている「縁起が悪
いこと」は共通しているところです。
お通夜から帰ったら玄関で塩で清める、な
どはその -
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本書が発売される以前、WEBで公開されていた著者の記事がとても印象的で、書籍化されたと知ったときは嬉しかったです。この記事をきっかけに、知人の実家で土葬が行われていたことや、土葬の村ならではのお墓参りのエピソードを聞くことができました。日本の、しかもとても身近なところで土葬の風習が残っていたとは想像もしなかったです。
本書は土葬だけではなく、各地に伝わる様々な弔いの風習について書かれています。なかにはかなり壮絶なものもありましたが、最後まで読みやすく引き込まれました。地域の貴重な歴史を忘れられてしまう前に書き残してくださったことに感謝します。 -
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一章では奈良などに残る土葬の風習について、2章はほぼ消滅した野焼きの風習について、3章では風葬など沖縄諸島における葬送の風習について、最後の4章は土葬や野焼きにまつわる怪談や奇談をまとめたもの。
まず、現代、しかも近畿地方に土葬の風習が残っていたことに驚く(とはいえ風前の灯火という感じみたいだが)。実際に行ってきた人への直接的な聞き取り調査の記録なので内容は具体的かつ詳細。土葬した墓地の周囲を先端を尖らせた竹でハリネズミのようにして野犬などの動物に荒らされるのを防ぐ「犬はじき」や、四十九日に墓を暴き埋め戻す「お棺割り」といった珍しい風習の記述も興味深い。関係者の年齢を考えると、今後、土葬や野焼 -
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土葬と一括りに言っても
棺への入れ方や見送り方に
バリエーションあり
他にも風葬や鳥葬...カニバリズムのこと
さまざまな見送り方が
その土地の特質や宗教と
結びついて残っていたのだなぁと
儀式を通して死を受け入れたり
次世代の交代など
コミュニティ内の役割分担を
確認したりする意味合いが
あったんだろうけど
今はそういった地域も
ほとんどが葬儀屋に
アウトソーシングになり
葬祭会館→火葬場
今年のはじめに父を亡くし
葬儀をしたけど
ほぼ家族葬で弔問客も無い分
とても楽だったけど
故人の性格を思うと
コロナ前の盛大な葬式?の方が
良かったのかもしれない
ちょっと寂しかったかなとも思う
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座棺いいな
死後硬直が始まる前に膝を折るのが子供の最後の親孝行ってすげー!かっちぇー!
でもきっつきつの棺に納めるために腕が体にめり込んだり頸骨が砕けるぐらい縛るとかこわすぎそれは無理
しかも野焼き火葬だと燃えやすいように腸に炭を詰め込むとかそれもう死体損壊じゃんえっっっぐ
くっそ不謹慎だけど野辺送りの風景ってくっそ絵になる〜
骨壷に入りきらなかった残骨は、火葬場の裏手にあるドラム缶に捨てられるーーってまじかよ
そんで満杯になったドラム缶はどーするんこわ
日本で土葬が激減したのは法律の規制ではなく生活改善運動の一環で、新型コロナ対策に罰則を設けず自粛を求めたことに似た、同調圧力の強い日本 -
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民俗学の本というよりも、どちらかといえばルポや民族誌に近い。著者は直接その村を訪ね、現地の人たちから生の証言を得た上で、この本を書いている。
中には一度埋めた遺体を掘り返したり、埋葬する前に傷つけたり、燃やしたあとに焦げた脳みそを食べる風習をもった村もあったそうで、日本の習俗の裏に隠れた奇妙な世界を垣間見たようだった。
日本の火葬率が99%になったのはここ最近であり、以前は土葬も多く見られたそうだが、なぜこのような推移があったのか、著者は言明していない。そもそも、法律で禁止されたわけではないから、分析が難しいし、それ以上立ち入って考えるのは本書の主旨から外れると判断されたのだろう。
読者として -
Posted by ブクログ
ベースは民俗学だけど、終活に興味がある人が読んでも面白い。現代の視点から語られているので、単なる昔ばなしではなくどのように今にいたるのか、今、葬式や埋葬方法についてどう考えるかというヒントを投げかけているように感じた。民俗学は今をいかに生きるかという学問なんだというわかりやすい例かも。
印象に残ったこと
○「死んだらどこへいくのか」。もともと日本人は極楽浄土へいくという仏教的な考えよりも身近なふるさとの山に帰ると思っている人が多い。山中他界観というらしい。葬式=仏教のイメージが強く、神式のお葬式は想像もつかなかったので、本書で初めて知った。また「山にかえる」的な考え方は神道由来の考え方という -
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ネタバレ死んだら火葬ではなく土葬にしてほしい
長らく食物連鎖に加わってこなかった罪悪感みたいなものを払拭したいと思い
そもそも日本で土葬はまだできるのかとぼんやり悩んでいたところこの本を知ることができた
土葬はできるが、どんどん減っているらしい
ただ、土葬の会という民間の保存会のような会が存在するという情報は私にとって朗報だった
土葬文化の他にも風葬や遺棄葬、他にもそれぞれの地域で行われている葬送について書かれており勉強になった
伝統が廃れてしまうのは外野から見ればとても寂しく、残しておいてくれればいいのになぁと思うが
それを行なっている地域の人にとっては負担が多くを占めている
座棺や野焼き火葬の -
Posted by ブクログ
ネタバレ「土葬」と銘打たれているが、一般的な火葬以外の葬送も併せて紹介されている。
例えば風葬、火葬でも「野焼き火葬」といって屋外で遺体を火葬する場合など。
丁寧に聞き取りがされているため、紹介されている証言は非常に生々しい。
携わった人だからこそ言える証言というか。
座棺の場合、遺体の足を曲げなくてはいけないから苦労するとか。
土葬の場合は、何年かすると地面がくぼんでくるとか。
自分たちで火葬した場合、炉内に脂がこびりつくため、それを掃除しなければならないとか。
野焼き火葬で焼き上がった骨は美しく、口にできるほど清潔に思えたなど。
普通の火葬しか知らない人から見れば、衝撃的な内容が多いのではないだろ