河島英昭のレビュー一覧
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5年ほど前に読んだ時と比べてかなり理解して読むことができたと思う。とは言え自分に思考的な進歩があったかと言えばそうではなく「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を先に読んだのが大きい。あの本は君主論の導入本としてはこれ以上なく最適だと思う。
本編は「運命」と「力量」が君主にとって最も大事な要素である事を説明し、「運命」とはどのような影響を及ぼすか、「力量」とはどのように形成されていくかを歴史の実例(主に古代ギリシャ・ローマや中世イタリア)を元に紐解いていく。君主が助言を聴くのはあくまで君主側のタイミングであり、判断は君主に委ねられると言う部分はその通りだと思った。あととにかく舐められ -
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「君主は必要に応じて悪人にもならねばならぬが、その悪を行うときは全て一気に行い、その後は善人に戻るようにすること」という言葉が印象に残りました。また、君主が自らの利益や安全を守るためには必要に応じて人を裏切り、反逆者を排除しなければならないということも、深く考えさせられました。
マキャヴェッリが16世紀初頭に書いた政治論の古典。君主としての成功のために、強さ、知恵、権力の行使を重要視する。その手段は道徳的に正しいとは限らないが、目的に合わせた選択をすることが必要とされる。個人の意見にとらわれず、国家を導くために必要な判断をすることが求められる。そのためには、一定の「虚心坦懐」と「愛されるこ -
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ネタバレ君主を社長に読みかえて読んでみた。君主論は上に立つ人にとっていい本だと思うけど部下にこれを薦めたいとは思わない。
君主がみずからの地位を保持したければ、善からぬ者にもなり得るわざを身につけ、必要に応じてそれを使ったり使わなかったりすることだ。
→手を汚すことも必要だと解釈した。ただこれはやりたくはない。
気前の良さとけちについて
→権力の座に着くまでは他人の所有物を惜しみなく与える者との評判を取るように行動し、権力の座に着いたら倹約を旨とし自分のものや社内のものを大事にしなければならない。
冷酷と慈悲について
→性悪説に立つべき。慕われるより恐れられよう。人間は恩恵を施している間だけ味 -
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p84. どうやって人に説明できただろう。ぼくが求めているのは、かつて見たことがあるものを、ふたたび見たいだけだ、などと?
初パヴェーゼ。作者も作品も知らなかったたので、「ぼく」の背景を知らず、この主人公の行動や人々の会話が何を意味するか分からず、最初は読んでいるだけだった。そのうち、イタリアの寒村の風景、「私生児」アングィッラの暮らしと、戦争で変わってしまった人々と村、祭りや労働の記憶などの味わいを感じた。ヌートのクラリネット、篝火、玉蜀黍の皮、孤児院と小作人、荒家と山羊と榛の茂み、葡萄とポレンタ、チントヴァリーノ老婆、マッテーオ旦那と2人の娘、司祭とパルチザン。貧しさの記憶と故郷パドリー -
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「国を守るために悪事を行わざるをえないときは、非難されてもひるんではいけない。あらゆることを考え合わせてみると、美徳と見えた物が実際は命取りになったり、悪徳と見えた物が安全と繁栄につながったりするからだ」ーー『君主論』
マキャヴェッリの『君主論』は無数の名言を世に残った一方、その批判も数え切れない。「マキャヴェリアニズム」という言葉すら存在しているように、マキャヴェッリの言論は、統治のために大衆を操作し、道徳的な関心を持たない政治思想の代名詞ともなっている。こうした先入観を持っていた私は、次の言葉を読んだ時に驚いた。「窮屈。死。恐れることはない。私は古人に魅了された」。40歳の頃に、やむを得 -
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中世ヨーロッパにおける政治生体や様々なリーダーの栄枯盛衰を俯瞰的に分析し、リーダー(君主)とはかくあるべき
というものを記している。特に、憎悪と軽蔑は避けるよう努めるべきであるが恐れられことは必要である、助言は必要なときに自ら得れば良く、それ以外に進言される助言は不要であるといった内容が心に残った。リーダーの多くの資質について述べられているが、とどのつまり社会情勢や自分や他社の能力や性格をつぶさに分析し、臨機応変に対応する必要があるということだと理解した。今から500年前に記された書物ではあるが、現在の組織にも十二分に適用できる内容となっている。 -
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君主としていかに臣下や人民を抑え統治するか、歴史上の君主の事例から言及されている。その方法には、人を恐れさせる、反逆されないための残忍な方法も説かれているため、現在を生きる自分からは賛同しにくいと感じられるような方法も多い。とはいえ、必ずしも否定できるようなものでなく、当時の時代背景からそのような方法が取られてきたこととその合理性に対する理解はできる。
また、考え方として、相手に恐れられるような存在であること、且つ、相手に憎まれたりしないことが大事であることと、それを維持するためにどのように振る舞うか、どのような施策を打つことが重要であるか、自分の影響力の与え方を考える上での新たな視点としての -
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ネタバレ私生児の「ぼく」が成長し、知恵をつけて独立し、アメリカで資産を得て故郷に戻ってくる話だが、時が行ったり来たりするのと登場人物が多くて整理しきれなかった。
解説を読んで、たくさんの象徴が用いられているのがわかった。
月は死と復活の象徴であり、篝火も夏至の夜、聖ジョヴァンニの祭りに焚かれて再生と豊穣を祈るものである。
最後に、ファシストと通じていた美しいサンティーナが銃殺されて葡萄の枝と燃やされ、その痕が篝火の痕のように残っていた、という描写があるが、それは祭りの供物であり、戦争の供物であったという解説になるほどなと思った。かつての「ぼく」の主人の3人の娘たちは、サンティーナをはじめ、それぞれ男に -
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職務に任じられた官吏が財を着服しても知られることはない。水中で泳ぐ魚が水を飲んでも知られることがないように▼射手に放たれた矢はせいぜい一人を殺すか、殺さないかである。しかし、知者により放たれた智謀は、胎内にいる者をも殺すことができる。 カウティリヤChanakya『実利論』BC4世紀 ※マウリヤ朝チャンドラグプタの宰相
民衆を指導する者は正義(社会維持の徳)・知恵・勇気(精神の高邁さ)・節度をもつべき。キケロCicero『義務について』BC44
倫理・道徳と政治は別。善き主君、善き政体を考えるよりも、現実の欲望渦巻く混沌の世界にどうすれば秩序を与えられるか、を考えるべき。「人間はいかに生き