橋本五郎のレビュー一覧
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2次にわたる安倍政権7年9ヶ月間の内政、外交、国会論戦について、その時々で安倍元首相がどう考え、決断したかが、意外なほど率直に語られている。
聞き手も、タブーを設けることなく、答えにくい事柄についても適切に問うている。
本文だけで約400ページだが、内容に惹かれ、ほぼ一気読みだった。
本人の逝去(暗殺)後間もないこのタイミングで、網羅的な回顧録が出版されたのはほとんど奇跡といえる。
が、この本では語り切れなかった様々なことが、この十倍はあったに違いない。
毀誉褒貶はあるとしても、約8年間激動の状勢の中で自ら国の舵取りをした人物の知見は、今後の国の運営に大いに役立つはずだった。
我が国の -
Posted by ブクログ
パーティー券のキックバックや、森友、加計、いろいろ叩かれてますが、、、
新卒の内定率を劇的に上げたのは、安倍さん。
世界における日本のプレゼンスを上げてくれたのも、安倍さん。
増税一辺倒の財務省と戦ってくれたのも、安倍さん。
デフレ脱却に向けた日銀とのアコードを結んでくれたのも、安倍さん。
御用記者ではあるけれども、耳の痛い話にも裏話含めて包み隠さず話してくれているのには、結構驚いた。
全ての話題がニュースで取り上げられたもので、鮮明に覚えているだけに、その裏側を知ることができたのは、とても良かった。
この15年を振り返る、良い機会となった。
ここまでの人は、なかなか生まれないだろうなぁ -
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故安倍晋三元首相へのインタビューを中心とした回顧録。首相在任期間を追う形で、その時々の思い、決断の過程、自身を取り巻く環境などを存分に語られている。亡くなられたばかりで、政治家としての評価はこれからの歴史の中で定まっていくのだろうが、現時点では戦後最大級の政治家の一人として確実に名前を連ねる存在だったと言えると思う。毀誉褒貶の多い政治家であったが、これほどまでに日本の国益を考え、日本人のことを思い、政治にあたってくれている政治家がどれほどいるのだろうか。政治信条に関係なく、間違えなくそのように評価できる存在だったと思う。特に外交面での努力や取り組みは普段マスメディアからあまり伝わってこないもの
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日本政治の裏側、ダイナミクスがよく分かる本だった。安倍首相の志をヒシヒシと感じ、失っては行けない人を失ったのだと、強く感じた。
・拉致問題について
安倍首相は、個人的に拉致問題に力を入れており、他の国策もそれに合わせる場面があったのではないか。私から見ると、敢えて言うと、被害者の数が少ない拉致問題にそれほど固執する必要があったのかと思う。しかし、安倍首相のそういう足元の約束を大切にする人柄が、大きな支持となり、長期政権を実現できた理由なのかなと思った。
・国家観と信念
「美しい国、日本」。この国を良くしたいという志が強く伝わってきた。政治家なんて保身ばかり考えているのだろうと思ってい -
ネタバレ
ただただ、涙・・・。
2023年7月読了。
出版されて直ぐに買ったのに、どうしても手が伸びなかった一冊。
先日、「元番記者」を自称する元NHK解説委員の方の『実録…』とやらを読み、「それでは本人自身のお話を伺いましょう」と決意し、本を開いた。
読み始めて直ぐに、あの懐かしい舌っ足らずで、幾分セカセカと話す口調の、故人の声が聞こえてきて、一気に読了した。
まるで安倍さんが目の前で喋っているのを聞いているようだった。
「回顧録」として読むには幾分生々しい話題が多く、「もう済んだ事」として受け止められない部分は有るが、もう二度と話を聞く事の出来ない人の語りだと考えれば、より多くの善男善女に読んでほしい一冊だと、強 -
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ネタバレ安倍元総理の辞任後に行われた36時間のインタビューを取りまとめた、400ページ近くの大作! 第1章はトピックが広くあまりまとまっていない感はあるが、第2章以降はおそらくインタビュアが年表をしっかり準備して臨んでおり、各年の各出来事について時系列で詳細に網羅されている。単に語り口が面白いだけでなく、安倍政権下の日本政治を時系列で振り返られるような構成になっているほか、資料的価値も非常に高い。安倍氏の支持者はもちろん、(私のように) 支持していなかった人も、日本政治が好きな人なら楽しんで読めるはずの、素晴らしい本である。
特に印象に残った部分を記録しておく。
1. 官僚、特に財務省への不信が強 -
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○政治の要諦は人事。人事が目的になってはいけないが、何をやろうと本気で考えるならば的確な人事に精一杯心を砕く。(中曽根首相ページ)
○日本のリーダーのタイプ
縦軸・・・上・原則志向~下・状況志向
横軸・・・左・和の志向~右・力の志向
※原則志向+力の志向→小泉首相、サッチャー首相
※状況思考+力の志向→田中首相
※原則志向+和の志向→橋本首相
※状況志向+和の志向→竹下首相
○賛否の両陣営をリング上でガチンコで闘わせる。その上で両陣営にお土産を持たせる。(竹下首相ページ)
○人は政策だけでも、打算だけでも、人情だけでも一緒になれるわけではない。色々なしがらみ、人間関係といった要素が -
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国の総理が漫画や小説ではなくノンフィクションとして政争や外交を語った本として、読む価値があると思う。2006年の第一次安倍内閣、2012年末から2022年までの第二次安倍内閣の総理大臣としての言い訳、手前味噌の自画自賛も入った回顧録。一生懸命に考えて、総理大臣という職を続けたことは判るが、考えの方向性が私と全く合わないことが良く判った。
・コロナ対応:厚労省の薬務課長が薬事承認の実質的な権限を持っているが、課長クラスの人事権は内閣にないので言うことを聞いてくれません とのこと
薬害エイズで課長クラスが有罪になったので、アビガンにハンコ押すと後から何言われるか判らないから・・・ 緊急時なのだから -
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二度の政権によって憲政史上最長の首相在任期間を過ごし辞任した後の安倍くんへのインタビューをまとめたという。欧米では大統領などを務めた人が退任後に回顧録をまとめておくことが半ば当たり前のことだという。在任中に何を思い何をなしたか、下した政治の背景に何があったかを記録しておくことが務めだからといった趣旨。政治家のオーラルヒストリーをまとめている御厨貴さんなども同じようなことを言っていた気がする。安倍くんがいまだ存命であれば、いくらこの本が話題になろうと嫌いなまま読まなかっただろう。よいタイミングという言い方は不謹慎かもしれないが、安倍くんが鬼籍の人となる前にこのようなインタビューが行われていたこと