小沼文彦のレビュー一覧

  • 白夜

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    随分と昔に書かれた話のはずなのに、全然古っぽさを感じない。そしてその古っぽさというのがこれから先も一生出ない作品であり続けると思った。消えてくれない愛に目を背けて、それでもやっぱり無理!好きだ!を繰り返す彼女に、振り回される主人公はすこし可哀想だけれども、何をしたって消えてくれない愛というのは確かに存在していて、それを知っているからこそ、わたしは彼女にどうしても自分を重ねてしまった。

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    2025年03月30日
  • 白夜

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    白夜の闇は深い。

    出会いは、
    濃霧に抱かれたような夜。
    彼女とある約束を。

    饒舌な会話劇が白夜の幕開けか。

    日本の近代文学の奔流を想起する
    硬質な文体と憫然な恋慕。

    そう云えば、
    彼は友人も身寄りもない独り身だったな。

    彼の闇も深い。

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    2022年01月24日
  • 白夜

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    ネタバレ

    『夢想家の妄想が生み出した純愛失恋物語』

    孤独な夢想家の青年。祖母の束縛から逃れられない娘。偶然の出会いから純愛へと発展し、白夜の下で交わされる二人の会話。どこまでが妄想で、どこまでが現実なのか?甘く切ない恋物語かと思いきや…!?

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    2021年12月22日
  • 白夜

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    ドストエフスキーの初期の短編作品。夢想家の主人公がやはり夢見る娘と偶然知り合い、逢瀬を繰り返すうちに2人が、というお話。『カラマーゾフ...』や『罪と罰』とは一味違った雰囲気を持つ作品ですが、主人公のモノローグの部分など、大作に通じる片鱗が見受けられます。

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    2011年11月14日
  • 白夜

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    ネタバレ

     孤独に空想家として生きる主人公が、町を歩いていてお祖母さんと二人で生活し同じく孤独を抱えたナースチェンカと知り合い、身の上話をしていく話。
     現代に置き換えると恋愛相談してきた相手に恋をして成就しかけるも、相談相手は結局、相談内容の相手と付き合ってしまうという話だった。
     セリフ回しが舞台や演劇のようで、最初は取っ付きにくさを感じたがだんだんと慣れていった。
     別れの失恋のシーンは肉薄するような表現で美しくも儚い夢の終わりだった。
     主人公の弱気や人の良さがさらに切なさを加速させ、この主人公はナースチェンカを祝福はしているが、きっと今後、自分と上手くいった未来を空想するものの特に行動はせず、

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    2025年08月05日
  • 白夜

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    純愛小説。まだきわめて若い男女の、三角関係のような恋物語を描いた話。

    彼や彼女たちと同じくらい若い方々に特にお薦めしたい。でも、この類の経験が比較的多いであろう年齢層の方々のほうが、内容は解りやすいかもしれない。
    このような小説に書かれていることは、実際に似た経験をしてみなければわからないところがあるからだ。遠い昔の僕がそうだった。

    『愛していれば、いつまでも侮辱されたことを覚えていられるものではありません』
    僕に最も印象的だった言葉だ。こんな僕でも、ある異性に対して似た心地をいだいたことがあるから。
    あの子も今もどこかで元気にしていればいいなと、柄でもないことを考えるのだった。

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    2025年06月07日
  • 白夜

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    短いドストエフスキーの本が読みたいと思って手に取った。丁度今実写化の映画が上映されている。この本を読んだ後に予告編を観たら、絶対に映画でも観たくなった。読んでいながら自分の恋愛のことについて思いを馳せた。叶わなかった恋は忘れようとして一度忘れても、こうしてふとした拍子に蘇える。話としては古典的に見えるようなものだけれど、でもこうして現代まで読み継がれているものを読めた功績は大きい。

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    2025年05月08日
  • 白夜

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    人間は子供の頃に持っていたものを取り戻すために生きているのではなかろうか。

    自分を三人称化する

    今の愛vs過去の愛

    ドストエフスキーは愛と恋をどう分けているのだろうか。
    愛は存在を対象とし、恋は性質を対象とする、という考えではなく、愛は恋の上位互換のような扱いだろうか?

    「われわれは自分が不幸のときには、他人の不幸をより強く感じるものなのだ。」

    「でもやっぱりあたしはなんだかあまりにもあの人を尊敬しすぎてるみたいで、これじゃまるで二人が対等な人間じゃないようね?」

    「いったいどうしてあたしたちはみんなお互いに、兄弟同士みたいにしていられないんでしょう?どんなにいい人でも、いつもなん

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    2023年10月30日
  • 白夜

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    心やさしき孤独な夢想家青年の、恋と失恋の短編。名もなき主人公は惨めに描かれてはいるが、長い人生誰しもこのような時期はある。つらい苦しい結末にも良心を失わない主人公にほのかな安堵感を覚える愛すべき小品。

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    2023年06月24日
  • 白夜

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    ネタバレ

    最後まで名前のない青年の未来に、幸せのあることを祈りたくなる話だった。
    丁寧に心の動きが書かれ、2人きりの会話から感情がほとばしる様子は非常に瑞々しい。無垢で無邪気で純粋な愛に満ちていることが羨ましく思えてくる。
    青年を苦しめるナースチェンカの発言や、行動の一つ一つに切なくなった。けがれのない青年の心を余すことなく表現されていて、感情移入せずにはいられない。

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    2021年10月23日
  • 白夜

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    妄想過多なひきこもりっぽい男性の恋愛における一人相撲。ちょっと寅さんぽくもあるが、寅さんほど純情じゃなくてニヒルか?ドストエフスキーさんは意地悪い人なのかなぁ~とか思った。

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    2018年06月20日
  • 白夜

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    子供じみたことはもうたくさん。
    さあ、家に帰りましょう。

    こんな風に愛する人がいるのだろうか。
    こんなにたやすく恋に落ちてしまうものなのだろうか?

    なんという弱々しさだろう。

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    2016年08月23日
  • 白夜

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    かえるくんの紹介で。

    結局、主人公は、また犯罪的な生活に戻っていくしかないのか。それすらもできないのか。

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    2011年10月13日
  • 白夜

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    借本。
    哀しい話です。
    著者は固いイメージがあったので、目から鱗。
    ドストエフスキー初心者はこの本からはじめるのが良いかもしれない。

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    2012年12月29日
  • 白夜

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    映画から。ブレッソンが原作を自分の映画文体に落とし込むのがいかに上手いかが分かって良かった。こちらはかなりサッパリしていて絶望感は少ない。どちらにしろ私が抱いているドストエフスキーのイメージとは全く異なるのだが。妄想の詳細をことごとく台詞で語り尽くすところは狂気に近い。

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    2025年09月09日
  • 白夜

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    まず、会話がギャグ漫画かってぐらい突拍子がないし、そんなこと言わないだろーってツッコミながら読んでた。まぁそれはそれとして面白くはあるが。
    恋愛小説の世界一簡易的な本、みたいな小説。もはやすべての恋愛小説はこれぐらい軽くていいのではと個人的には思わされた一作。

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    2025年08月13日
  • 白夜

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    YouTube で短い海外文学傑作として紹介されていたので読んでみました。

    ドストエフスキーを読むのは初めてで、予備知識なし。どう読んだらいいのかわからず…。
    冒頭は「わたし」(26)がひたすら町が静かだ、みんな別荘に行っているのに私は友人もおらず、別荘に行くことができない、と、ひたすらうだうだうだうだ…長い…。

    そして、ナースチェンカ(17)と出会う。その時の「わたし」の正直すぎる心の内は中二病。
    そして結末も中二病…。

    ごめんなさい、文豪。笑ってしまって。
    でも最終章は本当に美しかったです。

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    2025年05月31日
  • 白夜

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    少女が、恋愛じゃなく友愛や兄弟愛のようなものを得て嬉しい気持ち少しわかる。
    その区別がまだよくついてないところもその年頃らしいのでは。(半ば監禁状態で世間知らずでしょうし)

    余計なお世話は重々承知で、男には幸せになってほしい。
    いや、一歩踏み出したんだからこれは確実に実生活に変化起きてるよ!

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    2025年04月27日
  • 白夜

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    ドストエフスキーとして、これがわたしが初めて読んだ本になります。夢想家が、自分のこれまでの人生を語る前半の長い告白のところは、なかなか頭に入ってこなくて、読み進めるのが大変でしたが、それ以外のところはなんとか読み進められました。すんなり読み進めにくい理由は、翻訳の問題なのか、ドストエフスキーの物語の特徴であるのかは、別の訳書であったり、別の作品を読んでみないわからない。

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    2024年11月24日
  • 白夜

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    一度昔の映画を見て本を手に取った。
    映画でのこのヒロインは勝ってな女性だなーと
    呆気に取られたのを覚えている。
    実際小説でも、純粋で夢想家の青年を無邪気に
    振り回している様に感じる。
    若い男女の恋愛の温度差が、最後のオチに
    皮肉に繋がっている。

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    2021年03月12日