浜尾四郎のレビュー一覧

  • 彼は誰を殺したか

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    純粋にミステリーで勝負

    一見単純な殺人と、それに対する報復殺人が、終盤で二転三転する構成は、ミステリーとして現在でも通用する力を持っている。100年前の作品とあって言葉遣いや言い回しはやや古いがそれほどの違和感なく読みすすめることができる。この作者の他の作品のように法律家や作家としての自分自身を表に出さず、純粋にミステリーで勝負している所が良い。

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    2024年05月03日
  • 殺された天一坊

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    全く古さを感じさせない。

    政治の目的とか 世論の動き 権力行使 と いわゆる「正義」について深く考えさせられる好短編である。江戸時代の大岡越前を題材にしているせいもあって、1世紀近く前に書かれた作品なのに全く古さを感じさせない。現代にも共通する重い課題を提示している。

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    2024年05月01日
  • 途上の犯人

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    私小説?

    100年近くも前の作品だけあって言葉遣いや舞台にやや古さを感じるが、それもあまり気にならないほど緊迫したやり取りが続く。推理小説としての出来よりも、作中に「検事、弁護士、探偵小説家」である自分自身を登場させ、社会正義を代表すべき検事、弁護士であるものが犯罪を助長する可能性がある探偵小説なんかを書いていいのだろうか と自問する気持ちをそのまま書いたようにも見える 点のほうが気になった。

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    2024年05月03日
  • 殺された天一坊

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    天一坊の結末を考えるとやるせない。論理と科学に基づかない、とんちと権威による裁きは唾棄すべきものだとつくづく感じた。

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    2022年01月03日
  • 鉄鎖殺人事件

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    なかなかおもしろかったのですが
    ネタバレにならないだろうから言っちゃうと
    ずっと怪しいと思っていたなら
    もっと早くに犯行を止めてくれ給えよ!
     ↑それを言っちゃあお終めぇよ(笑)

    でも、これ戦前の作品だもんね。
    そう考えると風俗はレトロだけど
    犯行現場の西郷像が散乱していた理由とか
    犯人が殺人におよんだ動機とか
    ミステリの道筋としては
    今もって楽しめるのがすごいのかも。

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    2021年04月10日
  • 鉄鎖殺人事件

    Posted by ブクログ

    時系列で『殺人鬼』の後の話という設定なので、先にそっちを読んだ方が良いかな。(前作のネタバレはしてないけど、キャラの設定やらを引きずっているので…)
    探偵が行く先々で人が殺されていく様はまさに、探偵が犯人じゃないかと警察に疑われてもしょうがないレベルで(作中、そういう描写あるしね)潔い。探偵はデータが全部揃うまでは推理の内容は喋らないんだとワトソン役にブーブー文句言われながら二人連れだって捜査に出向く所とか、久しぶりにシャーロック・ホームズ以降の古き良き探偵モノの風格いっぱいで読んでて楽しかった。
    浜尾四郎といえば法律ネタ、そしてヴァン・ダイン大好き、と一通りお約束を用意してくれてるのもたまら

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    2017年10月16日
  • 殺人狂の話

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    昔から有った〈怖いもの見たさ〉

    牧逸馬(林不忘・谷譲次)の世界怪奇実話と同類の内容である。
    週刊誌的な、刺激的・野次馬的アプローチで殺人事件を記述してある。そこそこ面白い。以上。

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    2014年06月09日
  • 夢の殺人

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    江戸川乱歩風味

    法律問題を加味した、乱歩風犯罪小説。幾分衒学的な、気取った文体が可愛らしい。
    もっとも、文才のある作家なら、同じネタでもっと面白く書けそうではある。

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    2014年06月09日
  • 黄昏の告白

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    文筆家としての焦り 恐怖感

    100年も前の作品であるが文体や言葉遣いにあまり古さは感じられない。手堅い構成ではあるが途中でネタが割れてしまっているのでミステリーとしての面白みはあまりない。「書けなくなったらどうしよう」という文筆家としての焦り 恐怖感の方に実感がこもっているような気がする。

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    2024年05月03日
  • 夢の殺人

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    現代においては目新しい題材では

    作家であると同時に検事 弁護士であった作者らしい作品である。刑事事件の中でも繰り返し取り上げられている、正当防衛と無能力者の責任 このふたつを題材にしている。ミステリー小説が書きつくされているような現代においては目新しい題材ではないが100年前の当時としては画期的な作品だったのだろうか。

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    2024年05月03日