山口薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第一次、二次世界大恐慌を引き起こした元凶は債務貨幣システム。現在進行中の政府債務危機も債務貨幣システムが引き起こしたもの。債務貨幣システムを除去すれば、不況、失業、企業倒産、所得格差、政府の債務危機等を回避できる。
日銀が公開した株主構成は、政府出資者55%、個人39%、金融機関2.5%、公共団体0.33%、証券会社0.1%、その他2.6%。拒否権を持つ個人の名前はデヴィッドロックフェラーとステファンデロスチャイルド。
日銀が公表している日銀政策委員会4名(総裁、副総裁以外)の元所属は、東京電力、三井住友ファイナンス&リース、モルガンスタンレーMUFG証券、野村證券金融経済研究所。
日銀のビジネスモデルは利息のみ。政府と民間銀行が顧客だが、民間貸出金利利息は国債利息の5%程度なので、ほぼ顧客は政府と言える。政府は貨幣発行権を放棄して、民間である日銀からお金を借り、その利息を国民から税金を徴収して日銀の所有者に支払っている。現行の債務貨幣システムは、日銀の所有者が国民から利息という不労所得を合法的に吸い上げる仕組み。
毎年国家予算の半分を国債で賄い、その利息を税金から支払っているのに、政府も国民もその利息計算の確認ができない。国債保有額から考えると、推測される約半分くらいしか利息を計上していない。日銀には極めて不都合な点が多くある。
預金は法貨ではない。中央銀行通貨に比して、発行体の倒産リスクが存在する為、債務の支払いを受ける際には、銀行預金での受け取りを拒む事ができる。だが、通常は最終的に中央銀行通貨との引き換えが可能であるという安心感を背景に民間銀行預金は通貨として機能している。マネーストックの84.4%(2014年8月現在)は法貨ではなく、通貨として機能しているにすぎない。
研究論文“The network of global corporate control”によると、
146企業(0.024%)が取引全体の40%を支配しており、737社(0.123%)で世界の80%の取引を支配している。上位50社はほぼ全て金融機関(バークレイズ、キャピタルグループ、FMRコーポレーション等)であり、GM、トヨタ、エクソンモービル、ファイザー、モンサント等の有名企業ではない(非金融機関は50位のCHINA PETROCHEMICAL GROUP COのみ)。
2011年、連邦準備制度情報公開法により米国会計検査院が提出した報告書によれば、2007年から2010年までの三年間で、米政府の債務総額以上のお金16兆ドルがFRBから国際金融機関20行に密かに融資されていた。そして、融資先の半分は国外(欧州)の金融機関であった。
世界を支配する銀行家の多くはマルタ騎士団。
債務貨幣・株式所有システムが与える影響
経済、、、バブル、不況、失業、債務危機、所得格差等
社会、、、人種差別、男女差別、宗教対立
環境、、、遺伝子組み換え、農業破壊、環境破壊、放射能汚染
政治、、、戦争、テロ、核開発、TPP、安保法案、在外米軍基地等
過去40年で、世界経済は1年に10回以上の貨幣危機、銀行危機、債務危機に見舞われた。
日本は2014年に消費税が8%に上がった結果、実質GDPが1.9%下がった。税収は7.6兆円増えたが、17兆円弱のGDPを失った。救国のつもりが逆に滅ぼそうとしている。
国内金融資産のうち、自由に国債を購入する余裕のあるお金は80兆円弱。つまり、2年以内に国内の金融資産では政府の債務を賄いきれなくなる。
2000年から2014年までの日本の債務増加率は3.3%、米国は7.7%。
債務貨幣システムの3つの破局シナリオ
金融メルトダウン、、、借入増大→利子率上昇→国債価格暴落→債務超過・銀行倒産→金融メルトダウン
ハイパーインフレ、、、銀行倒産→政府の景気対策・臨時予算→政府支出増大→財政赤字→借入増大→量的緩和→マネタリーベース急増→ハイパーインフレ
デフォルト、、、借入増大→債務残高増大→デフォルト。
借入増大→利子率増大→利息返済増大→デフォルト
債務増大を阻止する為に歳出削減を行うと、逆に税収が減少し、債務増大を招く。そこで増税を行い、債務増大を阻止しようとすると、経済は不況に突入し、税収は減少、さらなる債務増大を招く。
税収危機ループ
財政赤字削減→歳出削減、増税→不況→税収減→財政赤字増大
歳出危機ループ
財政赤字削減→歳出削減、増税→不況→救済・景気刺激→政府支出増大→財政赤字増大
米国貨幣法
1.連邦準備制度を米国財務省に統合し、全ての新貨幣を利付債務ではなく、政府が貨幣として創造し、一般の厚生を促進する為に支出し流通させる事。
2.銀行業や金融サービス産業ではなく、貨幣制度を国有化し、現在民間機関に付与されている貨幣を創造する権限を中止し、穏やかで気品ある方法で部分準備制度を廃止し、かつ過去に法貨となり未だに流通している民間の信用を全て米国政府貨幣と換金する事。
3.新貨幣を社会の成長・向上の為に必要となる教育や健康管理はもとより、21世紀の地球に優しいインフラやエネルギー資源の為に支出し流通させる。
1929年の世界大恐慌は、1932年後半から1933年春が底辺であり、33年の名目GDPは19年から45%減少、株価は80%下落、工業生産は1/3以上低落、1,200万人に達する失業者を生み、失業率は25%に達した。閉鎖された銀行は1万行、33年2月には全銀行が業務停止、社会主義革命の発生すら懸念された。
シカゴ大アーヴィングフィッシャーらの銀行改革のためのシカゴプラン
1.連邦政府は銀行預金を保証し、これ以上の通貨の減少を防止する。
2.この預金保証は、現在の銀行危機の再発を防止する銀行改革の一部とする。
3.長期的な通貨管理の基準を採用する想定で、(例えば15%を超えないような)卸売物価水準の緩やかな上昇をもたらし維持する政策を貨幣当局は公表し、実施する。
上記達成の為の具体的提案
1.連邦政府は連邦準備銀行の所有と経営を直ちに接収し、連邦準備銀行は連邦準備銀行券を法貨として発行、連邦準備制度加盟銀行、非加盟銀行の預金を保証する。
2.長期的な銀行改革として既存の商業銀行の持つ預金機能と貸出機能を二つの異なる機関に完全分割する。1つは預金銀行であり、小切手による振り出し可能な預金並びに要求払預金を受け入れて、100%の準備金を維持し、預金と資金の振替を行い、その手数料収入を収益源泉とする。他は貸付会社として、預金者からの貯蓄預金や株主や社債権者による投資資金を受け入れ、貸出・投資に振り向ける機関とする。
3.金の自由鋳造や輸入の廃止、金輸出の禁止等。
技術は豊かな時代を創り上げたが、唯一銀行システムの構造だけがこの豊かさを十分に享受し、貧困を撲滅する事を妨げている。
政府のみが貨幣を創造し、それを物価の安定に用いる権限を有している。この為には、銀行が貸出によってお金を創り出す事を排除する必要がある。要求払預金に対して政府貨幣のドルで交換できるドルを銀行が保有する事を義務付ける事によってそれは可能となる。
不況と失業ループ
債務返済→貨幣量及び流通速度の収縮→財サービスの収縮→貨幣量及び流通速度の収縮。
信用収縮ループ
債務返済→貨幣量及び流通速度の収縮→物価の下落→債務返済
不況の原因は、要求払い預金の収縮にある。
公共貨幣システムについて
1.公共貨幣の発行権能は国会に属し、その権限を独立の公共貨幣委員会に委譲する。政府が55%所有の日本銀行を100%政府所有の公共貨幣庫とし、新たに設立する公共貨幣省に統合する。公共貨幣省は公共貨幣の製造、発行及び管理、運営の実務を行う。
2.銀行の信用創造を禁止し、要求払預金の公共貨幣庫での預金準備率を100%にする。但し、準備率は日銀に於ける現行の約1%から段階的に引き上げていく。この過程で必要となる資金は、公共貨幣省が無利子、無期限で貸与する。また、銀行保有の国債で充当できるとする。
3.経済成長や社会福祉等に新たに必要な公共貨幣は政府が財政政策を通じて流通に投入し、過剰な公共貨幣は同様に引き上げる。
政策提言
非正規雇用を正規雇用にする
豊かな老後の為に社会福祉を充実する
教育の無料化
グローバリゼーション→民営化→国内寡占→多国籍企業による寡占→国際銀行家支配
ポスト資本主義「むらトピア経済」
1.むらトピア企業に雇用される労働者は、労働を共有する共働者として、雇用時にその会社の生産手段を自動的に保有し、民主的な方法で経営に参加する。共働者は自らの意思に反して解雇されない。
2.共働者が職場を去る場合には、その会社の生産手段は全て自動的に非保有となり、外部からコントロールできなくなる。死亡した場合も同様。
3.共働者の職場は生計を得る場所となり、生産手段から得られる経済利益を共有する。
すなわち、日本の伝統的な家族社会の組織を企業組織に拡張した企業からなる経済システム。
債務貨幣制度を終わらせる貨幣改革の動きは、スイスではMomo貨幣改革イニシアチブ、米国のNEED法案、英国のBank of England bill、豪州のAustralian sovereignty party等、世界中で誕生している。
持続可能な発展とは、将来世代がその必要を満たす事ができるのを犠牲にすることなく、現在世代がその必要を満たす発展である。-Our common future, Oxford Univ. -
Posted by ブクログ
現状の経済の状況について同様の主張している書はあるし、独自の加えられた主張の部分も言うほど論拠が強いとも思われない。作者の「真実」を言い当てているのは私だけ、異端が故に不遇を囲っているという被害妄想的態度に付き合わされエネルギーを吸い取られたので2をつけたいくらいだが、貨幣論をいろいろな角度から見たり、比較するのには役立った。
私の理解した山口氏の主張の覚書
「世界は負債で回っている」との比較で(「錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来」もおそらく同様の部分がありそう)。この本/(vs)後者
日本(特に失われた30年)を分析のベースに日本への提言(海外も?)/世界経済をベースに日本も分析。世界への提言。日本は特殊事例として扱われている。
世界の借金=負債は増えている。それには銀行の信用創造が大きく関わっている。銀行の信用創造は錬金術の如し(この根幹部分は同様)
負債により経済成長はしない/経済(GDP)の成長には新たな負債が不可欠(但し、効率は悪化する。日本は効率が悪化した例。日本は世界の未来。そういう意味では日本では負債が成長につながっていないと言う認識は同様)
負債は増えても個人資産は増えない(ゼロサムゲーム)、政府負債が増えれば個人資産は増える(但し、株と不動産の価値が上がることで富裕層の資産が増える)
政府負債が特に問題(銀行は無限に負債を抱え込めるが日本はバブル後あまり増えていない)。政府負債が増えていけば必ず破局が訪れる。2030年代に)/政府負債より民間負債が問題。政府については破局する前に止める手段はたくさんある(破局には至らない。ハイパーインフレも最悪な条件が揃っているのでなければ止められる。あるいは徐々にインフレが進む)
信用創造をさせないよう債務貨幣をなくし、全てを公共貨幣にすると言う提言/民間負債を監視し危険水域で止める(債務帳消し等)。政府負債については公共貨幣化も進める(ここは同じ?)と言う提言
なお、この本の主張として、欧米では、「労働は苦痛であり、余暇(レジャー)は快楽であるが、労働者は自らの労働を売らなければ余暇が得られないので、働くことは必要悪であると捉える」。日本では、「労働は苦痛ではなく、生産労働そのものに集中することが救済への道であり、幸福に至る道であるとみなされていた」。その日本の良さが近代経済理論で壊されたと主張するが、ちょっと??である。日本の職人魂という点ではそう言う部分が出ていると思うが、それを言うならプロテスタンティズムの倫理も同様の価値観ではないだろうか。
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Posted by ブクログ
世界恐慌後の貨幣秩序の回復のため、預金の100%を裏付ける流動資産の保有を民間銀行に義務付ける「シカゴプラン」を提唱したアーヴィング・フィッシャー。そのフィッシャーを高く評価し、主流経済学派に反旗を翻す著者らの主張「公共貨幣理論」を一般読者向けにまとめたもの。
著者らの主張は「貸金と預金をセットで同時に「無から」創り出すという民間銀行の錬金術を止めさせ、公共セクターである政府にマネーストック管理を任せ、バブルやインフレといった金融の発生を防ごう」というものだが、この主張事態は特段目新しいものではなく、たとえば前イングランド銀行総裁マーヴィング・キング「錬金術の終わり──貨幣、銀行、世界経済の未来(日本経済出版社)」でも提唱されている。ただそこでの議論は、本書のようにシカゴプランの100%マネー(法定準備率100%)をストレートに制度化しよう、という過激なものではない。
ケインズ経済学に基づくIS−LM分析の現実との非整合性を批判する件はややアンフェアなような気がする。政府支出でIS曲線が右シフトするとマネーストックMが内生的に増加しLM曲線も右方シフトするので利子率rが低下する、従って政府支出でクラウンディング・アウトが起こるという主流派理論は誤り、というが、それはケインズ経済学が想定しないアノマリーなポリシー(QQEという事実上の財政ファイナンス)が遂行されたからであり、IS−LM分析自体は妥当なのではと思える。
また、当然同一視されやすい現代貨幣理論MMTとの違いも問題になるところだが、僕にはそこまで違いがあるとは思えなかった。両者ともに「インフレやデフレになれば国会/行政が通貨発行吸収/増減税で通貨を直接コントロール可能」と主張するのだが、現行の短期的利益に迎合しがちな選挙制度のもとでは、財政拡大によるポピュリズム政策遂行を可能にするインフレ的金融政策がどうしても選択されやすくなるだろう。インフレが加熱した時、手遅れになる前にそれを制御できると本当に言えるのだろうか。
他にも所々に懸念すべき部分はある。例えば「国際銀行家」なる勢力の画策により、自らの主張する理論の普及が妨げられている、とするやや陰謀論めいた物言いは若干気にはなるし、また非主流派の恨みからか文体がやや感情的で冷静さに欠けると思える部分も。そもそも、最大出資者が財務大臣である日銀を一私企業扱いし、「国際銀行家」の支配下にあると主張するのは相当無茶な話だ。しかし本書のように、そもそもマクロ経済学の基礎中の基礎である「信用創造」の理論的裏付けをあらためて問い直すことは、貨幣の定義が揺らぎつつある現代においては極めて意義深い行為だと思う。